富士通は、大型放射光施設SPring-8の高輝度放射光X線を利用し、直径が1nm程度までの粒子や空孔のサイズ分布を高精度に測定する技術を開発した。この技術によって、従来測定が困難であった基板上の薄膜状態で測定できるようになった。また、高密度磁気記録媒体に使われる厚さ16nmのプラチナ合金の極薄膜の粒子サイズが評価できるようになり、次世代デバイスで使われる極薄ナノ薄膜の材料評価が可能となった。
現在、次世代デバイスの性能向上させる目的として、ナノサイズの粒子や空孔を持った多くの新材料が開発されてきている中で、サイズと分布の測定技術の重要性が高まっている。たとえば、磁気記録媒体用の鉄プラチナ膜や燃料電池用プラチナ触媒では数nmの金属粒が使われているが、その記録密度や触媒活性は、ナノ粒子のサイズや均一性に大きく影響されやすい。また、先端LSIの多層配線に用いられる低誘電率ポーラス絶縁膜は、膜中に空孔を導入することで低誘電率化を図っているが、空孔のサイズと分布が絶縁膜の機械的強度など製造プロセスに影響を与えることが知られている。
サイズと分布の測定するために、従来では電子顕微鏡で測定を行っていたが、評価に時間が掛かっていた。また、空孔サイズについてはガス吸着による測定方法もあるが、閉じた空孔のサイズ測定はできないという問題もある。
このため、同社はX線を試料に極めて浅く入射させて全反射現象を利用することで、測定上の有効膜厚を10倍以上に増やし、X線反射面内に生じる強いバックグラウンド散乱を低減させて、検出器をX線反射面から傾けて測定する「オフアクシス微小角入射X線散乱法」という測定方法とX線データから粒子や空孔のサイズ分布を解析するソフトウエアを開発した。
この測定方法で、高密度磁気記録媒体に使われるプラチナ合金薄膜に対して用いたところ、厚さ16nmの超薄膜における粒子のサイズ分布の評価できるようになり、低誘電率膜を対象とした測定では、100 nmの薄膜でも空孔分布が測定できるようなった。同社は、最先端デバイスの開発に向けた材料評価技術として今後利用していく、とコメントしている。
この測定技術の詳細は、2004年9月27日から29日まで開催されたAdvanced Metallization Conference(ADMETA2004)で発表された。