ソニーは、台湾の奇美電子の子会社のインターナショナル ディスプレイ テクノロジー(IDTech)野洲事業所を買収することで奇美電子と合意した。買収額は185億円で、2005年3月末までに買収を完了する予定。ソニーは新たな製造拠点に約270億円を投資して、携帯電話機向けなどの低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイパネルを2006年4月から量産する。
ソニーは、豊田自動織機と合弁でエスティ・エルシーディ(STLCD)を1997年10月に設立した。デジタルカメラや携帯電話機などモバイル機器向け低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイを量産しており、現在600mm×720mmのガラス基板で月産4万枚の生産能力を持つ。しかし、今後の事業拡大には新たな増産投資が必要となっていた。
奇美電子は、高解像度の医療用ディスプレイやIPS(In-plane Switching)技術を使った広視野角のディスプレイモニターなどを得意とする。2001年に米IBM社からTFT液晶ディスプレイを生産する野洲事業所の第3世代生産ラインを買収し、子会社にした。一方で、台湾の本社工場でも大型のガラス基板を使った新工場建設を進めており、2005年第1四半期には5.5世代と呼ばれる新ラインが稼動する。今後、新ラインでの増産など生産効率を高める狙いからIDTechの売却を決めた。
ソニーはIDTech野洲事業所の従業員約420人や既存の生産設備を引き継ぐとともに、低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイの量産に向けて、新たに約270億円の設備投資を行う。これにより、550mm×650mmのガラス基板を使い、月産2万5000枚規模の生産能力を持つ工場となる。
今回の基本合意に基づき、IDTechの液晶ディスプレイパネル製造に関する事業を新会社として分割し、ソニーが新会社の全株式を買収する。新会社に対して、パートナーである豊田自動織機も当初20%程度の資本参加を検討している。