米Intel社は、通常のSi製造技術を用いて連続したレーザー発振を実現する技術を開発した。2005年2月17日発行の科学雑誌「Nature」で発表している。同社が開発したのは、レーザー発振の原理となるラマン効果という現象とSiの結晶構造を利用して、光を増幅する技術。Siは赤外線を通すため、光を通すための導波路をエッチングにより形成した。光は導波路に誘導されるとチップ内に収容され、チップ全体に送られる。外部から光をチップ内部に加え、光を励起させるとチップ内部を通過する際にSi内部の原子運動により光が増幅される。Siを用いたラマン効果の増幅作用は、ガラスファイバの1万倍以上に上るため、ガラスファイバでキロメートル級の長さが必要であったものが数センチメートルで十分な光増幅を得ることができるようになる(図1)。
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同社は、Siの光ガイドの両端にミラーを設置し、光ガイドの途中から外部ポンプレーザー光を加え、光ガイドの中でレーザーを発振させる構造とした。しかし、この場合光の励起エネルギーを高めても、ある一定のしきい値を超えるとそれ以上は増幅せずにむしろ徐々に減衰する。これは励起ビームから生成される2つの光子が同時に原子にぶつかると電子を離散させる「2光子吸収」と呼ばれる現象によるもので、この過剰電子が時間とともに導波路に積み上がり大量の光を吸収するため、光の増幅が停止する。
同社はこの過剰電子を除去するために、導波路内にPIN構造の半導体を形成し、逆バイアスを加えた。逆バイアスにより導波路内にあふれている自由電子を吸い出し、連続したレーザー発振を行うことができた(図2)。
同社によると、この技術に高度な半導体加工技術は不要だという。今回の実験では250nmプロセスを採用した。外部ポンプレーザーは波長1550nmのものを用い、出力は1686nmが得られたという。PIN素子への逆バイアス電圧は5〜25Vで、25Vの場合の出力効率(シングルモードでのスロープ効率)は4.3%という。図3に今回試作した8個のレーザー増幅器を搭載したチップを示す。
同社は今回の技術を10Gビット/秒クラスの通信への適用を検討し、さらにコンピュータ、医療など幅広い分野に応用していくとしている。(渡辺 二之)