1991年10月、漁船Andrea
Gailのクルーはマサチューセッツ州の港から出航し、生死をさまよう状況に直面する。海上で、彼らは現代史上まれに見る巨大で危険なストーム(嵐)"The
Perfect Storm"に襲われたと、この小説の作者Sebastian Junger氏は同名の小説であり、後に映画化もされた"The
Perfect Storm"で書いている。
半導体産業はPCからコンシューマ機器や携帯機器用に移行している。韓国Samsung Electronics社のシニアバイスプレジデントJon
Kang氏は、メモリー分野は用意周到な者だけが生き残ることのできる"perfect digital storm"に直面していると警告する。
「ある日、退屈で古いビデオを見ていたら、この映画があった。漁師たちは、1回目の漁で十分に確保できなかったため、何の準備もせずに再び出航し、史上まれな大嵐に襲われてしまう」。映画では、科学者がこの嵐がどのようにして完璧に形成されたかを説明している。寒冷前線がカナダから南下し、アトランティク海の温暖な風も加わり、また、以前のハリケーンの残渣が残っている状況だった」という。Kang氏は、「この3つの要素が重なり、Perfect
Stormを形成した。この推論には驚かされた。これはまさに携帯機器用前線、コンシューマ機器前線、そしてPC前線にかき回されている現在の半導体業界と同じだ」と語る。Kang氏の心配は、メモリー産業で成長しているのがPC以外の分野にもかかわらず、メモリーメーカーの大部分の売上はいまだPCに頼っていることだという。これは「Andrea
Gailのクルーがその海域にはメカジキが少なくなっているにもかかわらず漁に出かけたのと似ている」。
「わたしは、これらの要素が融合されていくように思う。PCはいまだに重要だ。PC分野の重要性は無視することはできない。PCは多分、多くのメーカーには売上の50%以上を占めている。しかし、わが社ではもうそれほどではない。Samsungにとっての新しい成長分野は、携帯コンシューマ機器だ。他の人々がどう見ているかは分からないが、PCの行列からは降りてしまったほうがいい。もう、あと数年でおしまいだ。携帯コンシューマ機器が次に優勢だ」とKang氏はElectronic
Newsに語った。Samsungはメモリー市場が大きく落ち込んだ2002年のISSCCから、このメッセージを発信し始めている。
PC市場は、PC誕生の歴史上、始めて収縮した。DRAM価格は前年比90〜95%の割合で暴落した。そして、われわれはこれらのメモリーメーカーが数十億ドル規模の損失を記録するのを目の当たりにした。DRAM世界の大量虐殺だ。それから3年後、メモリーは携帯コンシューマ機器に用途を見いだし急伸する。Samsungのメモリー売上高188億ドルの内、およそ半分が携帯コンシューマ機器からと見込んでいる。「このトレンドは2年内に業界全体に広がるだろう」という。
Kang氏は、彼の主張を補うために3つのコンシューマ機器を挙げている。1つ目は、MP3プレイヤ市場。「iPod Shuffle」のように5Gバイト以下のものはフラッシュメモリーに移行すると見られる。2つ目は小型化、軽量化が進むデジタルビデオカメラ市場。磁気テープに代わって半導体メモリーが採用されていく。携帯電話市場では、音声用途以上にデジタル画像などのデータを保存する必要がありNAND型フラッシュメモリーが足りないと悲鳴を上げている。
「パーフェクトデジタルストームがわれわれの追い風として吹いている。準備不足だと、沈没してしまう」とKang氏はいう。Samsungのコンシューマ機器、最終製品を提供するビジネスが同社のライフジャケットとなる。「準備を整え、挑む気があるのなら、この波に乗ることができるだろう」と語った。
(Suzanne Deffree
-- Electronic News)