韓国政府から資金援助を受けている非営利研究機関のElectronics and Telecommunications Research Institute(ETRI)は、LSIに適用可能なモット絶縁体を見つけたと発表した。絶縁性を示すこの金属はSiと同じく発熱しないので、将来、微細プロセスにおいてSiを置き換える可能性があるという。
モット絶縁体は、ある種の非晶質金属で絶縁性を示す物質の総称。物質内の電子によるクーロン斥力が電子の移動しやすさを上回る結果、格子上の空き領域に電子が入れなくなり、結果として絶縁体になる。ただし、常に絶縁体であるわけではなく、何らかの刺激によって導体に変わったり、絶縁体に戻ったりする。
「モット絶縁体に高電圧刺激を加えると突如として導体になると信じる科学者は多いが、56年ものあいだ誰もそれを証明できなかった。このたび、我々がそれを実証した」(ETRIの研究チームを率いるKim Hyun-tak氏)。
ETRIの研究者らは「モット絶縁体は電気伝導性を制御できるうえ、発熱の問題もないので、SiをベースとするLSI技術を代替できる」と主張している。「直ちに利用可能なモット絶縁体を使えば5nmレベルのトランジスタが実現可能で、最終的にはSiの代わりに使えるだろう」(ETRI)と述べている。