東京工業大学(東工大)と日立製作所は、従来の材料に比べ容量密度が1桁以上高い有機薄膜コンデンサ材料を開発した。高性能ポリマー材料にBaTiO3のナノ粒子を高密度で分散させる技術を開発したことで、容量密度を向上できた。これにより、「モバイル機器の半導体基板面積を小型化する多層配線基板に向け、次世代の高密度実装技術につながる」(東工大、日立)と述べる。
LSIに組み込むコンデンサは、セラミックスなどの無機材料による薄膜化/内蔵化が難しいため、これまでエポキシ樹脂にBaTiO3などの高誘電率粒子を混ぜることで作製してきた。しかし、誘電率を高めようとBaTiO3の含有量を増やすと、エポキシ樹脂の成形性、接着性、耐熱性などが低下してしまう。そこでBaTiO3の充填率は体積比50%程度に抑制されており、容量密度がセラミックスに比べ1桁以上小さな20pF/平方mmにとどまっていた。
東工大と日立は、従来のコンデンサ混合材料に比べて粒径が1桁小さい20nm〜100nmのBaTiO3ナノ粒子を混合材料として使用することで、高誘電率化を実現した。BaTiO3による表面修飾により、マトリクス樹脂中の分散性能を向上させ、充填率を体積比65%まで高められた。また、東工大が合成した芳香族ポリアミドベースのポリマー材料を用い、マトリクス樹脂の高誘電率化にも成功した。
こうした取り組みで得た具体的成果は以下の通り。
- 新材料を用いて厚さ0.5μmの薄膜を作成したところ、従来に比べ1桁以上高い1nF/平方mm以上の容量密度を確認した
- 開発した新材料は、260℃のはんだ温度負荷で300秒以上の耐熱性を持つ
- 新材料により、厚さ9μmのコンデンサを2層作り込んだ6層配線層を持つ多層配線基板の試作に成功した