TI社のトータルソリューション戦略で忘れてはならないのが、標準アナログ、標準ロジックの製品だ。元々、TI社はこの分野に強かった。「この分野は決して死んではいない。むしろ着実に成長し続ける」と同社標準リニア&ロジック副社長のSteve Kelley氏は主張する。技術的あるいは経済的にSoCに集積できない回路や、コアチップの面積に制約があって集積できない回路などに標準品は生き残る。同氏によれば、最近はもっと積極的にノート型パソコンや携帯電話機、MP3プレーヤなどの携帯機器での伸びが期待されていると見る。
TI社が力を入れる標準製品の分野は、オペアンプなどの標準リニアIC、ビデオやバスなど信号のスイッチ、レベル変換回路、I2Cインターフェースなどである。例えば、スイッチなら10:20のDVI-HDMIビデオマルチプレクサ、TS3DV520や、10/100/1000Base-T高速LANスイッチのTS3L500などの新製品を最近発売しており、レベル変換回路ではメモリーのレベル変換ICのAVCA406Lなどの新製品がある。
では、これらの標準製品は何で差異化するのか。低消費電力とパッケージの小型化、そして鉛フリーでRoHS対応、加えてESD(静電破壊)に強いことが差異化要因となる、とKelley氏は語る。低消費電力化は低消費電力アナログICプロセスを利用、RoHS対応に関しては、全標準リニアICとロジックICの98%以上についてRoHS指令に準拠している。顧客は、従来のはんだに代わる材料として、ウィスカの発生しにくいNiPdAuを好むという。モールド樹脂はBrフリーの難燃性プラスチック、Sbベースの難燃性材料に代えつつあるという。ESDに対しては、保護ダイオードを内蔵することで破壊に強くしており、15kVもの静電気にも耐える製品を持っているという。
ただし、標準品とはいえ、カスタム化への移行も始まっている。特に、インターフェース用チップにその傾向が出ている。インターフェースはユーザーが定義するため、そのインターフェースチップは差異化の要因になりうる。インターフェースそのものが多様化していることがカスタム化の傾向につながっている。TI社では、インターフェース関係の新製品を相次いで出してきている。その1つ「TPIC9201/9202」は、8出力のリレードライバとマイクロコントローラ用電源、5VのLDO回路を集積している。同じく新製品「LV8153」は直並列インターフェースと64チャネルのLEDドライバを集積する。「MAX3318」新製品は2.5V動作で460kビット/秒のデータレートを持つRS-232トランシーバである。±15kVのESD保護耐圧を持つ。
(津田建二)