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産総研がAu電極での抵抗スイッチを開発、超小型不揮発性メモリー実現に期待

[issued: 2007.06.20]

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図1 ナノギャップ電極の概略図(左)とSEM像(右)



図2 スイッチング動作の繰り返し特性

 産業総合研究所(産総研)は、次世代超小型不揮発性メモリー実現に向け、Au(金)電極を用いた抵抗スイッチ「ナノギャップスイッチ」を開発したと発表した。 ナノテクノロジー研究部門分子ナノ物性グループの内藤泰久氏らは、Si基板上に作製した約10nmの微小間隙(かんげき)を有するAu電極(ナノギャップ電極)に電圧を印加することによって、金属原子の物質移動を介した抵抗スイッチ効果が現れることを見いだした(図1)。同効果は、ギャップサイズが約10nm以下でのみ動作し、ナノスケール特有の現象であるという。スイッチにともなう抵抗変化のOn・Off比は最大で107に達し、状態間の変化を1万回以上繰り返しても動作し続けることを確認した(図2)としている。ナノギャップ電極における抵抗変化は、電気計測と走査電子顕微鏡(SEM)観察の同時測定結果から、Au原子の物質移動によるギャップ幅の変化にともなうトンネル抵抗の変化(図3)によると考えられるとしている。電極材質はAuに限らず様々な金属材料で動作し、広い材料選択性を有するという。


図3 抵抗スイッチ効果のモデル図

 現在、高速動作や高集積化、低消費電力の実現を目指し、FeRAM、MRAM、PRAM、RRAM、分子メモリー、原子スイッチといった次世代不揮発性メモリーの研究が行われている。近年では、スイッチ効果を持つ化合物(導電性有機化合物、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボンなど)を電極間にはさんだ分子スイッチ、Pt(白金)電極と、AgS(硫化銀)やCuS(硫化銅)電極との間でAgまたはCu原子を物質移動させて電極間の接続・非接続を制御する原子スイッチなど、ナノスケール空間を利用した抵抗スイッチの研究が数多く行われている。
 中でも、原子スイッチは、チャージや磁気的性質をまったく用いず、印加電圧によって電極間の金属原子をコントロールして抵抗変化を実現する。通常、メモリー素子(MRAMなど一部を除く)は素子サイズを小さくすると応答速度は増し、消費電力は低下するが、信号の保持時間が短くなる傾向にある。これに対して、原子スイッチはチャージの拡散や励起状態の緩和などが起こらないため、サイズが小さくても保持時間があまり短くならず、他の技術に比べて微細化しやすいと考えられている。
 今回開発したスイッチ効果はナノスケールで発現し、微細化のサイズ限界が微細配線加工のみであるため、超小型の不揮発性メモリー実現の可能性を有している。また、シリコン酸化膜基板上で動作が可能で、絶縁体上の金属という構造は様々な素子の配線部で用いられる構成のため、既存のシリコンテクノロジーとの整合性に優れ、新たに高価な製造装置を開発することなく、次世代超小型不揮発性メモリーを実現できると期待されるている。
 産総研では現在、こうした超小型不揮発性メモリーやストレージ実現のため、スイッチ効果発生のメカニズムの解明や要素技術開発を進めているという。

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