奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)物質創成科学研究科 微細素子科学講座の浦岡行治准教授、冬木隆教授らの研究グループは、産業技術総合研究所の三村秋男研究員らとともに、アルバックの協力を得て、低コストで高性能な薄膜を作製する基板技術の開発に成功したと発表した。レーザー光を用いて二層に積み重ねたSi薄膜を同時に結晶化することに成功、従来のSi基板で作製されたLSIに匹敵する性能を達成したという。
近年、プラスチック基板やガラス基板の上に、画素だけではなく記憶演算機能をも搭載したシステムオンパネルの研究開発が進められている。しかし、ガラス基板の上にSi薄膜を重ね、スイッチなどの素子として機能させるにはSi薄膜を結晶化して作製する必要があり、高温など製造装置にコストがかかる課題があった。
開発にあたり、奈良先端大の研究グループらは装置がコンパクトでメンテナンスも容易なグリーンレーザーを使用。グリーンレーザー光を照射し結晶化させることによって作製したスイッチの性能は従来のものと比較して2倍以上(移動度550cm-2/Vs)を達成、1000度以上の高温の単結晶Si工程で形成するLSIと同程度の性能を確認したという。二層の結晶化Si膜が得られたことで、素子を立体的に積み重ねることが可能となるため、今後は人工網膜など新しい素子の開発が期待されるという。また、次世代のディスプレイとして注目されているコンピュータシステムオンパネルの実現に道を開き、LSIレベルに近い性能をもつスイッチング素子をガラス基板上に実現できる可能性が高まったという。
研究グループらは今後、品質向上のメカニズムの解明を進めるとともに人工網膜など新たな素子の開発を行っていく。なお、今回の研究成果は、米国論文誌IEEE/Electron Device Lettersに発表する予定。
News Center
奈良先端大の研究グループらが二層Si薄膜の同時結晶化に成功
[issued: 2007.08.31]
二層Si薄膜の断面TEMの画像
結晶化後の表面形状
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