2004年11月号
APC制御でプロセスの
ばらつきを大きく改善
Dimitris Lymberopoulos, Lias Liopoulos, Kyoung-Shik Jun, Howard Li, Michael Armacost,
米Applied Materials社, Santa Clara, Calif.,
http://www.appliedmaterials.com
 Low−k絶縁膜の成膜時のウェーハ間のばらつきは、層間容量、ビア抵抗分布またビアの開口歩留まりに影響を与えてしまう。APCは、膜厚を仕様の範囲内に保ちつつ、ウェーハ内の膜厚のコントロールを改善でき、また、成膜速度が変わるようなプロセスでもコントロールできる。ウェーハ間のばらつきはAPCのフィードバック/フィードフォワード制御によって低減する。
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 前工程を最適化させるには、以前は装置を個々に制御するしか方法はなかった。一連のプロセスを監督する制御技術は、先端プロセスコントロール技術(APC: Advanced Process Control)と言われるようになってきた。プロセスやウェーハのデータを収集する受身的なものから装置間のプロセスを調整できるものや、能動的に自己モニター/診断機能を搭載した装置から、それを実行するMES(Manufacturing Execution System)に至るものと、APCにはさまざまな形態が考えられている。APCの概念は少しずつ変わっているが、開発は加速している。微細化およびウェーハの大口径化に伴いウェーハ価格は高騰し続けており、これ以上ウェーハを無駄にすることはできない。APCへの要求がますます増加している。

 最近では測定技術で進展が見られ、特に測定器の小型化が著しい。この結果、プロセス装置に小型測定器を組み込むことが可能となった。これによりプロセスの前後で何度も検査・測定できるようになり、ウェーハの廃棄や歩留まり低下のリスクを減らせるようになった。装置に組み込む測定器によりコストが高くなっても、その装置はコストに見合うということが認識されつつある。CMP(Chemical Mechanical Planarization)工程はその良い例といえよう1)。CMP工程では、昔からIM(組み込み測定技術)による薄膜除去やウェーハ面内の均一性をモニターすることが行われていた。研磨前後での測定により膜厚のばらつきや、プロセスのドリフトを低減してきた。その他にも、ポリシリコン(Si)ゲートのエッチング工程が挙げられる2)。ゲートのエッチング工程では、出来上がりの寸法がデバイス特性に大きく影響してしまう。リソグラフィ工程後/エッチング前のゲート寸法の測定データを活用することで、エッチング時間を調整して寸法を均一にすることができる。また、このリソグラフィ/エッチング工程とIMによるAPCの統合システムは、ウェーハ間の出来上がり寸法のばらつきを低減するだけでなく、光リソグラフィによる転写が難しくなってきた波長未満の微細なゲートパターンの形成をも可能にする。
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 IMは、寸法が重要な工程で大いに威力を発揮することになりそうだ。しかし、膨大なデータを収集した後は、それを保存・転送し、実際にIMの値を使えるようにするために分析しなければならない。モニターの頻度と測定回数は増加する傾向にあるため、データ量が膨大になりデータのマネージメントが非常に重要になる。IMが効果的に機能するかどうかは、APCとネットワークを用いたデータの診断・分析機能であるe-診断3)にかかっているといえよう。

 ウェーハプロセスは、最終製品の出来ばえにも大きく影響する。プロセスパラメータの変動を詳細に分析することで、IMシステムとAPCが最も効果的な工程を見つけることができる。デバイスの電気的測定データが線幅測定の究極的な判断基準になる。ここでは、配線工程に注目し、APCがどの程度効果があるのかを見ていこう。特に、プロセスの工程能力指数(Cp、Cpk)の改善、デバイスの歩留まり管理、そして製造工程のフレキシビリティへの効果を調べる。

APCを検証する
 この実験には、モデルベースとラン・ツー・ラン制御を適用した。ラン・ツー・ラン制御では、リアルタイムにプロセスから得られたデータとすでに処理したウェーハのデータ、さらにはウェーハ間のばらつきを考慮しプロセスレシピを自動的に最適化している。一般的にラン・ツー・ラン制御がうまく機能したかどうかという検証は、プロセス後に要求スペック内に入っているかどうかで決まる。IMをAPCにとり込むことにより、APCに適用できるようになった。サイクルタイムを大幅に短縮できるためだ。

 製造装置、インライン検査・測定技術とAPCを有機的に組み合わせることで、ウェーハ間のばらつきをなくし、再現性の高いプロセス構築が可能になる。ウェーハ間のデータ処理にAPCを適用するときには、1台の装置(FOUP、ロードロック、ウェーハ搬送室、プロセスチャンバ、インライン測定等)の中で行われるウェーハの流れと、レシピ最適化のタイミング、測定回数などが考慮すべき重要なパラメータとなる。スループットを考慮しながら、ラン・ツー・ランを実行してその効果を調べるためには、測定の頻度やシーケンスなどについて必要最低限のデータ量を決めることが先決だ。例えば実行可能な測定法を使う戦略を立てなければならない。

 また、プロセス間の相互作用、パラメータの感度、許容限界を把握するために、実験の計画を立てた。この実験から得られたデータは、実際の製造時のモデルを構築するために使用された。一度プロセスモデルが構築されれば、いろいろなプロセス条件を変えて最適な組み合わせを予測するのにこのモデルを使う。これにより制御された出力値の目標を達成できる。

 プロセス後の測定結果が予想値と異なっていた場合、次のウェーハのプロセス条件を修正するため測定データをフィードバックしておく。装置の役割は、前に処理されたウェーハのデータ収集、これから処理されるウェーハの状態の把握と製造装置の状態の把握である。すでに処理が終わって変更できないパラメータとこれからまだ変更が可能なパラメータの両方に重み付けを行い、これから行う処理の優先順位と許容度を考慮した。装置のシーケンスは、それぞれのデバイス仕様に対して独立して決められているため、複数のデバイスを連続して並行に処理することができるはずだ。この特徴は、特にファンドリーメーカーに有効である。多品種のデバイスを同一装置を使って処理するためだ。

 また、APCシステムは、さまざまな予防システムの機能も持っている。特にユーザーが自分でセーフティ・ネットワークを構築する時や、異常発見システムを構築する時に有効となる。その境界条件は、処理されたウェーハのプロセス・パラメータをベースにして設定されている。APCの最適化機構が、オペレータのなすべきレシピ最適化の作業の領域をはるかに越えてプロセス・レシピを出力しないようにするためである。エラー信号が製造装置に伝達されると、オペレータに対して警告信号が発せられる。オペレータが最適化の作業を行って、アラームを解除するまでウェーハ処理を停止する。

迅速に反応するIMシステム
 従来のロット間のプロセスコントロールでは、装置外部の測定ツールを使って、プロセス後のウェーハをモニターしていた。しかし、この方法ではプロセスへの迅速なフィードバックを行うことは不可能で、廃棄されるウェーハも出ていた。ウェーハ間のコントロールでは、装置から出てくるや否やモニターシステムが働き、次のウェーハに対するプロセス条件の調整が行われるため、迅速にプロセスの最適化ができる。この場合には、IMシステムはプロセスの変動や異常に対して迅速にフィードバック出来なければならず、それはその他のどのプロセスより優先されなければならない。

 製造技術が130nmノードから100nmノードへ進展するにつれて、要求されるプロセスコントロールのレベルはより厳しくなっている。IMシステムと丈夫なAPCを構築することによって、プロセスが厳しくなっても変動や異常をリアルタイムで検知し、歩留まり低下を最小限で食い止めることが出来る。

 量産現場でIMを機能させるためには、IMが正確でこわれないことが必須条件だ。ラン・ツー・ラン制御は測定システムからのデータに基づいて行われるため、もしそのデータが正確性を欠き再現性がなければ、制御系もフィードバック系もとんでもない結果を生むことになる。加えて、測定技術は、いかなる制約を課すことなく、生産ラインのウェーハを測定できるように定義しておく必要がある。

配線工程でAPCをフル活用
 配線プロセスは、CVD(Chemical Vapor Deposition)、リソグラフィ、エッチング、PVD(Physical Vapor Deposition)、ECP(Electro Chemical Plating)、CMPで構成されている。具体的に言えばそのプロセスフローは、絶縁膜の成膜、トレンチとビアのエッチング、バリアメタル/シードメタルの形成、Cuめっき、そしてCMPからなっている(図1)。130nmノードのデバイスでは、9層以上の多層配線が必要なため、配線プロセスではデュアルダマシン・プロセスが多用される。結果を早く出すため、われわは2層Cu配線でプロセスパラメータと集積化の問題を評価してみた。第1層のCu配線はシングルダマシン・プロセスで作られ、第1ビアと2層目の配線はデュアルダマシンのビア・ファーストプロセスで同時に作られる。すなわち、ビア・ファースト方式は、トレンチ・ファースト方式に比べて焦点深度に制限されることがなく、形状的な問題が発生しない。

 ダマシン・プロセスフローは工程間の相互依存が高いので、個別プロセスのAPCだけでは不十分だ。したがってデータのフィードフォワードとフィードバック機能を兼ね備えたマルチプロセス・コントロールあるいは装置間の相互コントロールが、統合的なプロセスコントロールおよび歩留まりの改善に必要になるであろう。さらに、一つの量産工場で多数の装置を使う場合、装置同士の整合をとれなければならない。異なるダマシン・プロセスの中では、データのフィードフォワード及びフィードバック制御を行うためには多くの運用方法が考えられる。

 APCを配線工程フローの一部であるCu配線とlow-kプロセスの中で用いて改善した例を紹介しよう。フィードバック及びフィードフォワードがウェーハ間の均一性の向上に影響し、さらに最終的には、電気的な測定結果にも大きな影響を与えることがわかるであろう。

 デュアルダマシン・プロセスで最も厳しいプロセスは絶縁膜の形成だ。層間の容量、ビア開口歩留まりに大きく影響を及ぼすからだ。ウェーハごとに膜厚を測定することによって、装置間及びチャンバ間のプロセスのばらつきはプロセス条件の最適化によって抑えられた。絶縁膜の成膜後、光学的な分光器と反射光測定器を統合した計器を使って膜厚の多点測定を行った。この測定レシピはCuパッド上での測定を規定し、必要な基板の反射率を出した。APCによるフィードバック・ループと連動させると、これらの膜厚測定から所望のウェーハの厚さがわかる。

 図2は、APCを採用した装置と採用していない装置の性能を示している。二つの装置が開ループで動作している場合は、ウェーハ間の膜厚の均一性は1.36%であり、Cpkに換算すると0.79であった。それに対してフィードバック制御で動かす場合には、ウェーハ間の膜厚の均一性は0.7%に改善し、Cpkに換算すると2.15になった。このコントローラは、二つの装置が絶縁膜を成長している間ずっと働いている状況で、ターゲットとする膜厚を維持することができた。

 ビアのエッチングでは、次のウェーハの絶縁膜の膜厚変化が、ビア抵抗チェーンへの障害となりかねない。膜厚が要求以下だった場合にはバリア膜を突き抜けCuスパッタを誘発する。要求以上だった場合にはビアを閉口させてしまう。ビアのエッチング・プロセスではバリア膜の膜厚制御がとても重要となる。ビアエッチング工程をテストするために、最大±40nmのばらつきを持ったさまざまな膜厚のウェーハを用意し、時間制御のエッチングと膜厚に応じて調整するエッチングを行った。あるウェーハのセットは、エッチング時間を固定し、他のウェーハはビアの厚さに応じてエッチング時間を変えた。フィードフォワードを作動させると、ウェーハ間のビア抵抗のばらつきは2.94%から1.82%へと減った。30nm以上の膜厚だと効果を確認することができた。図3に見られるとおり、ビアの厚さを調整することでビア抵抗チェーンのばらつきは低減されている。

 絶縁膜形成後の膜厚測定データをエッチング装置にフィードフォワードすることで、個々のウェーハのエッチング時間を最適化した。これによりプロセスのばらつきはなくなり、エッチング装置に対するエッチング選択比の要求も緩和された。バリア膜も薄膜化できたため、実効誘電率も低減することができた。

 絶縁膜形成装置とチャンバにおけるミスマッチが電気的特性に及ぼす影響は、図4にはっきりと現れている。2つのチャンバにおける左と右のミスマッチは層間の容量に影響を与える。2つのチャンバにAPCを導入すると、ミスマッチが解消されて層間の容量のばらつきが19.3%から5.7%に低減された。われわれは、何の問題もなくミスマッチを解消することができた。

 APC技術は過去数年の間に半導体産業界に広く受け入れられるようになってきた。そして最先端の半導体の製造ラインにおいて急速に定着し、130nm以降のCuプロセスでなくてはならないものになりつつある。その技術は、プロセスの変動を低減して歩留まり、生産性、ロット間、ウェーハ間、そしてウェーハ面内のばらつきまでも改善することが証明されている。

 APCの組み込み型測定器とプロセスコントロールのアルゴリズムとの間の閉ループによって、高性能なデバイスに関係する厳しい誤差でも許容できるリアルタイムのプロセスコントロールが可能になる。成膜速度が序々に変化する場合においても、ターゲットとする膜厚を維持できることも大きなメリットの一つである。特に絶縁膜として使用されるFSG(Fluorinated Silicate Glass)の成膜のウェーハ間ばらつきは、層間容量やビア抵抗チェーンにおける抵抗の分布、極端な場合にはビア抜け不良の発生確率に影響を与えるが、APCのフィードバック/フィードフォワード制御により大きく改善できる。ここで述べて来たAPC技術は、生産性を最大にし、全体のプロセスモニターコストを最小にする非常に効果的な方法を提供するものとなる。
参考文献
1. A. Huang, J. Jiang, D. Li and J. Qian, “Using APC for Wafer-to-Wafer Control in CMP,” Solid State Technology, May 2004, p.63.
2. D. Mui, H. Sasano, W. Liu, J. Kretz and J. Yamartino, “Integrated Optical Metrology controls Post-Etch CDs,” Semiconductor International, June 2002, p.83
3. V. Kot and M. Yedatore, “The Next Step in E-Diagnostics:Mining the Tool Sensors,”Semiconductor International, October 2003, p.45
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Dimitris Lymberopoulosは、AMATのYield Enhancement Services部門でAPCプログラムを管理している。Houston大学で博士号を取得。
Lias Liopoulosは、AMAT Yield Enhancement Services部門のプロセスコントロール・エンジニアで、各種製造装置に制御系ソリューションを導入している。Minnesota大学Minneapolis校を卒業し、Illinois大学Urbana Champaign校で博士号を取得した。
Kyoung-Shik Junは、AMAT Yield Enhancement Services部門テクニカルスタッフのシニアメンバー。Arizona州立大学で博士号を取得している。
Howard Liは、AMATのMaydan Technology CenterでCu/Low-kプロセスインテグレーションを担当するプログラムマネージャ。Rensselaer Polytechnic研究所で博士号を取得している
Michael Armacostは、AMAT Maydan Technology Centerインテグレーショングループのシニアディレクタ。Western Maryland Collegeを卒業し、Clarkson大学大学院で修士を取得した。

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