2004年12月号
微細寸法の計測技術
 標準化、統合化の動向を探るAlexander E. Braun リソグラフィ工程の計測技術は、新材料の登場や年々進む微細化によって困難に直面している。またそれに追い討ちをかけるように液浸リソグラフィのような新しい技術も開発されてきている。リソグラフィの設計・プロセス・テスト一体となって行っていく話は進んでいるが、その一方で、必要な計測技術の標準化や要求事項は、まだ何も定義されていない。
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 リソグラフィ工程の計測技術は、簡便にするのは難しいと一般的に見られている。米FEI社製品マーケティング担当のバイスプレジデントAnantha Sethuraman氏もその見方の一人である。また、イスラエルNova Measuring Instruments社のマーケティング部門のディレクタ兼製品マネジャーBents Kidron氏は、「現時点でさえ最先端デバイスでは、実際のCD(critical dimension:最小寸法)と電気信号から得られるCDの相関を取るために四苦八苦しているのが実情だ」と述べている。
 同様に、米KLA-Tencor社の技術部門バイスプレジデントでパターニング・ソリューションズ・グループのKevin Monahan氏は、「液浸リソグラフィでパターンに起因する歩留まりを上げるためには、計測技術も相当の困難を克服しなければならないだろう」と述べている。 さらに、米Nanometrics社CEO John Heatonは、重要な計測であるのにたった一点の計測では、不完全で全く相関の取れないプロセス情報しか得られないと述べている。

3次元計測の検討
 FEIのSethuraman氏は、実際のCDと電気信号から得られるCDの相関を取ることは重要であると考えている。「それなくして、リソグラフィの設計・プロセス・テストが一体となって、いわゆるDFM(Design for Manufacturing)やDFT(Design for Technology)を行うことはできない。デバイスが、設計された構造と同じようにできているかが重要だ。もし、ひとつのパターンでも最終設計寸法と合っていなければ意味がない」。ただ、レジストについて問題が残る。どの化学物質が使われるかまだ決まっていないからだ。 計測技術を考えると、電子ビームによるレジストの劣化が大きな問題となる(図1)。
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もう一つの問題としては、構造計測すなわち3次元計測の実現だ。「これまで、2次元計測はうまくやり遂げてきた。今や、3次元計測で管理しなければならない。しかし、どうやって行うか?AFMやスキャッタメトリは使えるだろうか?これらの装置をどの用に参照し、モニターしていくのか?それが問題だ」と同氏は言う。スキャッタメトリとAFMは迅速にデータを取り、プロセス管理を行うのに十分な情報が得られる。「しかし、これらの装置を判断する参照データが一つもないのにどう判断するのか?」と同氏は言う。
 さらに、同氏はナノインプリント・リソグラフィでは管理できるのか疑問に思っている。「このプロセスは一見単純である。ナノインプリントは、ウェーハ上にレジストを塗ってパンチするだけだ。それ管理するには、これまでとは異なった計測技術が必要だ。」と同氏は言う。ナノインプリント・リソグラフィでは、おそらく破壊計測と非破壊計測を組み合わせたようなスタンドアローンの計測装置が求められることになるだろうと同氏は考えている。

有機的に統合された計測技術
 KLA-Tencorはパターンに起因する歩留まりを製造上の課題として見ている。複雑な設計とプロセス・ウィンドウが狭くなっていることが相まって、設計とプロセスの間でギャップが生じている。外形寸法が違ってくると、OPC技術(optical proximity correction:光近接効果補正)やPSM技術(phase shift masks:位相シフトマスク)、変形照明技術などいたるところで使ってレチクルを重ね合わせてきた。さらに、液浸を使ったリソグラフィ技術では、開口数(NA)が高いため、偏向依存についても考慮しなければならなくなる。世代が変わるごとにリソグラフィのプロセス・ウィンドウが狭くなり、露光の許容度が減少していくと、焦点深度も減少する」とMonahan氏は述べている。
 CD異常は、小さなプロセス変動から生じてくるものと思われる。これには、露光量の変動やフォーカスエラーも含まれる。この変動により、ウェーハ内もしくはチップ内のCDのバラツキやプロファイル分布のバラツキを生じ、性能や歩留まりに影響を与える結果になっている。液浸技術は、一時的に90nmノードで思っていたより焦点深度(DOF)を得ることができるようだが(図2)、焦点深度の問題は、65nmノード以降の微細化プロセスにおいて再び現れることになると思われる。90nmノードで、ユーザーは1以上の非常に高いNAを使うことはないだろう。しかしながら、NAが1以上になるにつれて、ウェーハ外周部にあるチップの問題やスキャンの焦点異常が、露光フィールド内だけでなくウェーハ全面にわたって生じてくると思われる。そのため、これらの問題に対してすべてモニタリングが必要になってくると考えられる。
 パターンに起因する歩留まりを議論するようになって、計測技術の統合が重要になってきている。一つの例として偏光分析法(SE)のような技術の利用である。偏光分析法はS/N比が高いため、微細化や配線層の増加に対応することができる。また、一つの場所でまとまった領域を計測できる。「典型的な問題にSTI(shallow trench isolation:素子分離技術)工程があげられる。STI工程ではしばしば製造ラインで問題が発生し、2%以上の歩留まりの低下を起こしていた」とMonahan氏は言う。「この歩留まり低下の原因の多くは酸化膜中のボイドによるもので、結果として十分な寸法制御性を得ることができなかった。STI工程の検査方法には、正確なCDや形状、トレンチの深さ、膜厚の計測がある。しかし、これらの計測に関して以下のような問題がある。すなわち、個別の装置でCD計測にはCD-SEMを使用し、トレンチの深さ計測にはAFMを、膜厚の計測にはエリプソメータを使わなければならないことだ」。三つの計測装置には、それぞれ異なった技術が使われており、計測回数も異なるため、十分にデータの相関が得られないという問題が発生する。

相関をきっちり抑える
 「米Texas Instruments社のロジックデバイスを作っているある工場で、我々は一斉に、STIプロセス制御に関わるすべてのパラメータを一つのインライン装置で計測した。この一つのインライン計測装置によりコストを低減し、設備の生産能力を上げることができた。また、三つの個別の装置は不要になった。そして、一つの計測技術でCDやトレンチの深さ、膜厚を一度に計測することができるようになった。さらに、我々はこの方法をゲートの計測にも適用し、CD-SEMでは観察できなかったすそ引きやノッチも発見できた。ノッチやすそ引きは電気テストの結果とよく相関が見られる。もし、偏光分析法と従来の電気的CD計測方法を比較すれば、偏光分析法は、電気テストの結果と60〜70%の相関が得られる。残りの部分については、他の原因で管理することができる。しかし、電気信号から測定されるCD値は、電気テストの結果と10%程度の相関しかえられないであろう」とMonahan氏は述べている。
 計測技術は、もはや実際のデバイスパターンを形成するプロセスの感度を正確に反映していない。今までは、回路設計者は、小さなモニター用のTEG(test element group:テストパターン)をスクライブ線上に配置してプロセスを管理してきた。しかし、現在のトレンドとしては、TEGの計測ではなく実際のデバイス領域を計測する方向に進んでいる。NanometricsのHeaton氏によれば、「チップ内のここがおかしいといえなくてはいけない。CMP(chemical mechanical planarization)を一つの例にとると、チップ内の微細なパターンと広いパターンでは、研磨レートが異なっている。そのため、スクライブ線上のパターンをモニターしてもチップ内でどうなっているのかを把握することはできない」という。
 100nm以下の領域になると、標準的な較正ツールは世の中に存在しない。光学的なCD計測技術(OCD)が導入されたとき、SEM(scanning electron microscope)と比較を行った。Heaton氏によれば「OCD計測データは、SEM計測データを多く取れば十分な相関が見られるが、ナノオーダーになると、相関をとることは難しい。三つ以上の異なった計測方法で、データすべての相関を取ることは困難になる」(図3)。

問題はどう解釈するかである
 これまで、ユーザーは観察点ごとに計測するようにSEMを見ていた。つまり、ウェーハのある領域のCDまたは膜厚はどうなっているかなど検査していた。「このやり方では重要な情報を見落としている。というのは、どれだけ多くのデータが必要なのかについて誤解がある。ユーザーは、新しい計測技術、特に光学式計測装置の場合、非常に多くのデータをとらなければならないのではないかと心配しているからだ」とHeaton氏は言う。しかし、重要なのは大量のデータをどうとるのかではなく、解釈の仕方である。
 「エンジニアは、非常に多くのデータを収集し、これらの計測装置から多くのサンプリングをとりすぎて、かえって何が重要なのか分からなくなってしまっている。それは、これまでによいソフトウェアがなかったからだ」とHeaton氏は言う。別の言い方をすれば、データをどのように見て、5000枚のウェーハの計測データからいかに結論を出すかの方が重要なのである。「一つのチップから1000点の計測を行い、製造プロセス上で何がおこっているか理解することは、今でも十分可能である。そして、それをウェーハ全面に対して繰り返すこともできる。しかし65nm以降の先端技術の場合には状況が変わってくる。サンプリングの原理そのものを変えて、チップに何が起こっているかを理解しなければならない」。
 たとえば、1万点とか2万点とか簡単に計測できるならば、プロセスの特徴を把握しモニターするために必要なサンプリングの数は、実質的に急激に増加するだろう。「エンジニアは、ウェーハ上のスペースとCDの間を関連付けることができ、例えば、ホットプレート上でどのようにフォトレジストが塗布されているか理解することができるだろう。これまでは、5点や9点の計測を行い、いわゆる点のデータによる管理が行われ続けてきた。今ではさらに多くのデータの収集が必要になっている。その上、膜厚やCD、位置合せの相関関係、スペクトルデータも合わせて必要になってきている」とHeatonは言う。計測項目や計測点数が増えるとスループットに影響を与える。しかし、個々の計測がそれぞれの装置で行われるならば、ボトルネックは発生しないであろう。 「従来の計測方法では、ラインエッジの荒れの状況やある種のレチクルのファクタを計測できなかった」とHeaton氏は言う。かつてはリソグラフィとエッチングの関係が関心事であったが、現在は、露光装置とレチクルの関係が関心事になっている。現状のリソグラフィ技術を先端的なマスク技術に合わせることはできるようになってきたが、これにも複雑な問題になってきている。マスクも複数の層からなり、それぞれ材料も異なっている。膜にもいくつか種類があり、それらはどのように決められ、どのようにウェーハ上に転写されるか依然として分かっていない」とHeaton氏は述べている。
 NovaのKidron氏は、リソグラフィ工程における計測技術は五つの問題に直面していると指摘している。「第1は、ウェーハ上にパターンを形成するとき、リアルタイムに多くのデータを収集することである。具体的には、CDのデータだけではなく、側壁の角度や完全な形状、ウェーハ上にパターンを形成した後のレジストの膜厚、焦点と露光不良の相関などがある。また、データを取ることだけではなくAPCを使って常に最適な状態を維持し続けることが重要である。第2は、リアルタイムにプロセスの管理を行いながら高スループットを維持し、パターン付ウェーハ上のマクロ欠陥やミクロな欠陥を検査することだ。第3は、プロセスまたは装置の異常や不適切なモデリングによる計測結果の変動である。第4は、プロセスが変動しても正確な計測を維持すること。第5は、重ね合わせやCD計測の精度を向上させることである」という。Kidron氏は、生産ラインに、統合された高速の計測装置を導入し効果的に運用することによって、リアルタイムにより多くデータを収集することができると考えている。

スタンドアローン型装置vs.統合型装置
 東京エレクトロン米国法人Clean Trackシステムの製品マーケティングマネージャのRobert Crowell氏は、300mm/90nmノードのような最先端プロセスでは、計測装置を小型化してClean Trackシステムに組み込んで計測を実施しているが、CD計測とマクロ欠陥検査にはスタンドアローン型装置の方が有利と考えている。「顧客は、スタンドアローン型装置で、検出能力を50μmレベルから20μmレベルあるいは10μmまでに上げるように要求している」とCrowell氏は言う。「その技術を実現するは、ウェーハ上を高解像度のビデオカメラでスキャンできるパターン認識が必要だ。出力結果は装置上で分析され、現像不良やホットスポット、露光異常、パターン異常などの欠陥を自動的に特定して分類している」。さらに、Crowell氏は、ユーザーはデバイスの歩留まりを犠牲にしてスループットを上げるというようなことはしないだろうと付け加える。「もし、ユーザーが1時間に180枚のウェーハを処理したくても、装置は1時間に150枚のウェーハしか処理することはできない。それでも、一般的なオフラインの装置が処理している以上のことを行っているため十分であるはずだ」という。 しかし、CD計測になると、欠陥検出の場合と話は変わってくる。ユーザーは、たいてい1ロットあたり1枚か2枚のウェーハしかサンプリングしない。「当社は、だいたい、1枚あたり10点サンプリングを行って、その後1枚おきにウェーハをサンプリングしている。このようにして、リソ工程のスループットを維持し、Track装置や露光装置のスループットが低下することがないようにしている」とCrowell氏は言う。インライン計測装置は、露光装置のスループット合わせるように設計されている。しかし、位置合せの場合スループットに限界がある。「位置合わせの場合、1枚あたり5点から6点の計測を行うとすると、スループットは、およそ1時間に80枚から90枚くらい」と言う。従来の計測装置は、全数でなく1ロット中数枚ウェーハを計測することを目的にしていた。そのため、ステッパ−レンズで変動が起こっているのか、現像能力に問題があったのかを判断するには不十分な情報しかなかった。統合された計測装置のメリットは、独立タイプの装置では得られなかった製造上有益な情報が得られるところにある。
 また、米Timbre社のODP(optical digital profilometry:光学式CD・形状・膜厚測定技術)は、プロセス装置に統合し、装置に最適化されたアルゴリズムによりCD-SEM的なアプローチより優れた点がある。このスキャッタメトリは、CD-SEMより実際のパターンに近い情報が得られ、信頼性も高い。回折格子が使われるため、その計測結果は平均化されたものになる。ただ一つのラインだけを見ているのではなく、ある領域でどうなっているのかという代表的な情報を得ることができる。しかし、課題もいくつかある。それは、計測を速く行うことができるかどうか、計測装置をより小さくできるかどうか、スタンダーアローン装置では問題とならなかった熱や化学作用、振動などの過酷な環境に設置できるかどうかが、課題となっている。

モデルと3次元構造
 米Therma-Wave社 CEO Jon Opsal氏は、スキャッタメトリをベースにしたOCD計測技術を、今日のリソグラフィの計測技術の限界を克服する新しい技術として期待している。「基本的には、そのリソグラフィ工程における計測で難しいのは、さらに微細になったCDをどのように計測するかということと、CD特性はどうなっているかを把握することだ」と言う。「高歩留まりで高速・低消費電力のデバイスを実現するには、より適切なCD計測技術と詳細なCDプロファイルの情報が不可欠である。これまでにの方法に替わる計測技術として、最先端の光学的な手法でCDを計測する技術(OCD)の開発を行っている」。Opsal氏によれば、計測装置の変動から与えられる精度(P)とICの規格から与えられる許容値(T)の比をさらに厳しくすることが要求されている。「ITRSロードマップでさまざまなCDに関する要求項目を参照することができる。それを見ると、将来の技術ノードでP/T比に関して赤く塗られている項目が多いことが分かる。それらのロードマップ上で赤く塗られた未解決の項目に対して、偏光分析法とスキャッタメトリ法を組み合わせた方法が有力だ」と言う。
 現在のOCD計測装置のアルゴリズムはさらに完成度が高く、結合波分析や有限時間差分分析、実空間有限差分分析などを行うことができる。量産現場にあるリソグラフィ装置にとって大変有効である。「計測される構造に合わせて、最適なアルゴリズムを選択することができるのは大きなメリットである」と同氏は付け加えた。
 アルゴリズム改良されたわりには、今日のOCD測定装置は、リソグラフィでの複雑な測定を行うのに十分な処理能力を備えているためコスト効率が高い。例えば、現在は20GHzで動作しているがおそらく数年後には100GHzで動作するようになるだろう。コンタクトホールの計測で重要なことは、3次元での散乱光をどう処理するかということである。これを正確に行うためには、従来の2次元の散乱光の計算処理能力と比較しておよそ100倍の処理能力が必要となろう。
 「45nmノードへ移行すると、30nmあるいはそれ以下の寸法計測をクリアしなければならないだろう」とOpsal氏は言う。「もし、再現性や正確さが0.1nm以下のオーダーで要求されるとすると、測定装置のデータ精度やデータ量も検討する必要があろう。つまり、四角いものか丸いものか分からないくらい、何か極端に小さいものを見ているようなものだ。しかし、もし、異なる角度で見ればその形状を正確に示すことができるようになる。これは、現在の最先端OCD計測装置の実力だ。スキャッタメトリは、あらゆる最先端半導体チップでCDや膜厚に関する情報を多く提供するように設計されている」。また、Opsal氏は、先端リソグラフィの計測技術は、問題と関連のあるデータを十分な量を提供しなければならないと指摘する。90nmノードから65nmノードへ移行は3年以上かかると思われるため、90nmノードでもリソグラフィの計測技術の問題に対して何か対策をとる必要があると思われる。
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