標準化、統合化の動向を探るAlexander E. Braun リソグラフィ工程の計測技術は、新材料の登場や年々進む微細化によって困難に直面している。またそれに追い討ちをかけるように液浸リソグラフィのような新しい技術も開発されてきている。リソグラフィの設計・プロセス・テスト一体となって行っていく話は進んでいるが、その一方で、必要な計測技術の標準化や要求事項は、まだ何も定義されていない。
3次元計測の検討
FEIのSethuraman氏は、実際のCDと電気信号から得られるCDの相関を取ることは重要であると考えている。「それなくして、リソグラフィの設計・プロセス・テストが一体となって、いわゆるDFM(Design for Manufacturing)やDFT(Design for Technology)を行うことはできない。デバイスが、設計された構造と同じようにできているかが重要だ。もし、ひとつのパターンでも最終設計寸法と合っていなければ意味がない」。ただ、レジストについて問題が残る。どの化学物質が使われるかまだ決まっていないからだ。 計測技術を考えると、電子ビームによるレジストの劣化が大きな問題となる(図1)。
スタンドアローン型装置vs.統合型装置
東京エレクトロン米国法人Clean Trackシステムの製品マーケティングマネージャのRobert Crowell氏は、300mm/90nmノードのような最先端プロセスでは、計測装置を小型化してClean Trackシステムに組み込んで計測を実施しているが、CD計測とマクロ欠陥検査にはスタンドアローン型装置の方が有利と考えている。「顧客は、スタンドアローン型装置で、検出能力を50μmレベルから20μmレベルあるいは10μmまでに上げるように要求している」とCrowell氏は言う。「その技術を実現するは、ウェーハ上を高解像度のビデオカメラでスキャンできるパターン認識が必要だ。出力結果は装置上で分析され、現像不良やホットスポット、露光異常、パターン異常などの欠陥を自動的に特定して分類している」。さらに、Crowell氏は、ユーザーはデバイスの歩留まりを犠牲にしてスループットを上げるというようなことはしないだろうと付け加える。「もし、ユーザーが1時間に180枚のウェーハを処理したくても、装置は1時間に150枚のウェーハしか処理することはできない。それでも、一般的なオフラインの装置が処理している以上のことを行っているため十分であるはずだ」という。 しかし、CD計測になると、欠陥検出の場合と話は変わってくる。ユーザーは、たいてい1ロットあたり1枚か2枚のウェーハしかサンプリングしない。「当社は、だいたい、1枚あたり10点サンプリングを行って、その後1枚おきにウェーハをサンプリングしている。このようにして、リソ工程のスループットを維持し、Track装置や露光装置のスループットが低下することがないようにしている」とCrowell氏は言う。インライン計測装置は、露光装置のスループット合わせるように設計されている。しかし、位置合せの場合スループットに限界がある。「位置合わせの場合、1枚あたり5点から6点の計測を行うとすると、スループットは、およそ1時間に80枚から90枚くらい」と言う。従来の計測装置は、全数でなく1ロット中数枚ウェーハを計測することを目的にしていた。そのため、ステッパ−レンズで変動が起こっているのか、現像能力に問題があったのかを判断するには不十分な情報しかなかった。統合された計測装置のメリットは、独立タイプの装置では得られなかった製造上有益な情報が得られるところにある。
また、米Timbre社のODP(optical digital profilometry:光学式CD・形状・膜厚測定技術)は、プロセス装置に統合し、装置に最適化されたアルゴリズムによりCD-SEM的なアプローチより優れた点がある。このスキャッタメトリは、CD-SEMより実際のパターンに近い情報が得られ、信頼性も高い。回折格子が使われるため、その計測結果は平均化されたものになる。ただ一つのラインだけを見ているのではなく、ある領域でどうなっているのかという代表的な情報を得ることができる。しかし、課題もいくつかある。それは、計測を速く行うことができるかどうか、計測装置をより小さくできるかどうか、スタンダーアローン装置では問題とならなかった熱や化学作用、振動などの過酷な環境に設置できるかどうかが、課題となっている。
モデルと3次元構造
米Therma-Wave社 CEO Jon Opsal氏は、スキャッタメトリをベースにしたOCD計測技術を、今日のリソグラフィの計測技術の限界を克服する新しい技術として期待している。「基本的には、そのリソグラフィ工程における計測で難しいのは、さらに微細になったCDをどのように計測するかということと、CD特性はどうなっているかを把握することだ」と言う。「高歩留まりで高速・低消費電力のデバイスを実現するには、より適切なCD計測技術と詳細なCDプロファイルの情報が不可欠である。これまでにの方法に替わる計測技術として、最先端の光学的な手法でCDを計測する技術(OCD)の開発を行っている」。Opsal氏によれば、計測装置の変動から与えられる精度(P)とICの規格から与えられる許容値(T)の比をさらに厳しくすることが要求されている。「ITRSロードマップでさまざまなCDに関する要求項目を参照することができる。それを見ると、将来の技術ノードでP/T比に関して赤く塗られている項目が多いことが分かる。それらのロードマップ上で赤く塗られた未解決の項目に対して、偏光分析法とスキャッタメトリ法を組み合わせた方法が有力だ」と言う。
現在のOCD計測装置のアルゴリズムはさらに完成度が高く、結合波分析や有限時間差分分析、実空間有限差分分析などを行うことができる。量産現場にあるリソグラフィ装置にとって大変有効である。「計測される構造に合わせて、最適なアルゴリズムを選択することができるのは大きなメリットである」と同氏は付け加えた。
アルゴリズム改良されたわりには、今日のOCD測定装置は、リソグラフィでの複雑な測定を行うのに十分な処理能力を備えているためコスト効率が高い。例えば、現在は20GHzで動作しているがおそらく数年後には100GHzで動作するようになるだろう。コンタクトホールの計測で重要なことは、3次元での散乱光をどう処理するかということである。これを正確に行うためには、従来の2次元の散乱光の計算処理能力と比較しておよそ100倍の処理能力が必要となろう。
「45nmノードへ移行すると、30nmあるいはそれ以下の寸法計測をクリアしなければならないだろう」とOpsal氏は言う。「もし、再現性や正確さが0.1nm以下のオーダーで要求されるとすると、測定装置のデータ精度やデータ量も検討する必要があろう。つまり、四角いものか丸いものか分からないくらい、何か極端に小さいものを見ているようなものだ。しかし、もし、異なる角度で見ればその形状を正確に示すことができるようになる。これは、現在の最先端OCD計測装置の実力だ。スキャッタメトリは、あらゆる最先端半導体チップでCDや膜厚に関する情報を多く提供するように設計されている」。また、Opsal氏は、先端リソグラフィの計測技術は、問題と関連のあるデータを十分な量を提供しなければならないと指摘する。90nmノードから65nmノードへ移行は3年以上かかると思われるため、90nmノードでもリソグラフィの計測技術の問題に対して何か対策をとる必要があると思われる。