2005年1月号
さらに薄い膜をより正確に測定する
Alexander E. Braun
 薄膜材料がますます薄くなるにつれ、エリプソメトリや光反射率、光音響パルス、そしてX線を用いた方法など昔ながらの計測システムは、統合型でもスタンドアローン型でも問題がでてきた。そのため、工程をパラメータ内に収めるための調整やメンテナンスに必要なデータを提供することが難しくなってきている。
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 2007年までには、65nmが最先端技術として製造工程で使われ、45nmや35nmが研究開発段階になるだろう。各ノードの計測に対する要求は大きくなり、さらに薄い膜の測定は統合化された計測装置で行う方向に進むが、スタンドアローン型の薄膜計測装置がなくなることはないだろう。各ノードでは制御すべきパラメータが増えるため、薄膜特性の測定も増やさざるをえなくなる。膜厚測定だけなら、エリプソメトリや光音響パルス、光学反射率、あるいは渦電流などこれまでの確立された測定技術をプロセス装置に統合することになるだろう。
 「従来のエリプソメトリ分光法は紫外領域の220nmまでしか測れない」米KLA-Tencor 社の薄膜・表面技術部門の戦略営業シニアディレクタMurali Narasimhan氏は語った。「190SEで波長領域を広げれば、フラッシュメモリーのARC層や極薄ONOを定期的にモニターできるが、これは水蒸気を排気しなければならない。プロセスエンジニアは波長領域をさらに広げ、いわゆる‘真空紫外’を狙っている。この領域では水蒸気と酸素により紫外領域190nmから150nmまでの光子が吸収されないように真空中で使う」。
 米Jordan Valley Semiconductors社の営業マーケティング担当副社長 Sean Jameson氏は最新のインライン薄膜特性測定法はX線を使った方法に違いないと指摘する。「これらにはインラインXRRやXRF、XRD、SAXS、XPSなどの方法がある」。加えて、先進の応用は膜厚のみならず密度や組成測定も必要だ。「単なる膜厚と均一性だけのプロセス制御ではプロセス全体を制御できない。これらのパラメータを測定できなければ、材料特性の想定が誤ると膜厚測定も誤ってしまう」。
 米Therma Wave社のマーケティング・アプリケーション担当副社長 Ajit Pranjpe氏は語る。「これまでは、ベタウェーハやモニターウェーハで測定されたことが多かった。製品ウェーハを測定することは重視されなかった。なぜなら、測定が難しく十分な技術がなかったためだ」。

膜厚と組成
 KLA-Tencor社のNarasimhan氏は多くの絶縁膜、特にHigh-k(高誘電率)誘電体は真空紫外領域では吸収と光学的な反応が優れていると指摘する。「これらの持つ高いバンドギャップは150真空領域に十分近い(図1)。だから、膜厚だけではなく組成も測定している。High-k(高誘電率)材料では、その組成が電気的な特性のかなりの部分を決める。しかも、誘電率とも相関がある」。
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 数年来、電気的な側面から電気的換算膜厚(EOT)- SiO2の誘電率に換算した膜厚-がライン内で測定されゲート酸化膜の管理のためにモニターされてきた。90nmではゲート酸化膜の厚さは2nm以下が典型であり、ゲートと基板の間のリーク電流をできるだけ減らすために強くに窒化されている。リーク電流が増えると容量測定はいっそう難しくなる。いまやリーク電流が決め手となるため、エンジニアはリーク電流の測定に追われている。このため、容量測定に基づいたEOTは見捨てられつつある。
 「High-k(高誘電率)材料では、測定の重点は界面トラップに移ってきた。High-k(高誘電率)材料をシリコン上に接着させると界面は複雑になるからだ。High-k(高誘電率)材料の堆積技術はまだ確立していないため、界面欠陥の問題を残している。このため、界面トラップ密度(Dit)の測定がますます重要になる(Narasimhan氏)。
 新しい測定技術の応用は、まずゲート酸化窒化膜測定から始まる。その理由は、屈折率が組成と相関していることを光学的に測定する方法は高速で安価な組成測定方法だが、濃度と組成を根本的に測定する方法はないからだ。「光学的な方法同士は相関を示すことが多い。特に2nm以下の膜で何らかの変化が見られると、変化したのが厚さなのか組成なのか分からない」(Narasimhan氏)。
 電子ビーム誘導散乱X線(ESX)分光は、薄いゲート絶縁膜の中の酸素原子と窒素原子からのX線を独立して測定することができる。Narasimhan氏は語る。「この技術を使えば、酸素と窒素の原子が薄膜の中にどれくらいあるかを知ることができる。このため、正確に厚さの変化と組成の変化を区別して、知ることができる。顧客の中には光学的な方法を使っている所もあるが、ESX計測の結果を校正に使っている。それ以外の人たちは光学的な方法を完全に捨てて、ESXで100%測定する方向に向かっている」。ALD層、特に80nmDRAMの製造工程で使用されるHfAlO2層では、この方法で膜厚と組成をそれぞれモニターできる。組成は誘電率とよく相関があり、DRAMの電荷蓄積容量を制御している。

金属薄膜
 「透明の薄膜では使える技術が少なく、誰もが同じ方法を使っていた」。米Philips AMS社のチーフテクノロジストMichael Gostein氏は語る。「そのため、ユーザーは信頼性やコスト、サービスなどを基準にサプライヤを選定していた」。 しかし、新しい金属薄膜では技術がいくつかあるだけなので(独自技術を持ったサプライヤが多い)、決まった用途に特化された技術が多い。銅薄膜測定の場合には、多くのサプライヤが、蛍光X線やX線反射率などを用いている。しかし、量産ラインではまだ使われていない。高速ではなく、それほど製品ウェーハに使われるような微細なスポットサイズに対応できないからだ。同氏によると「オンライン計測の問題を解決しようとすると選択肢は限られる。全体的には、どのように特定の測定を行うかということは大きな問題ではなく、どのようにコスト効率を上げてそれを行うかということだ。一つの大きなポイントは、どのように計測をAPC(advanced process control)に結びつけるかだ。金属薄膜の計測では、鍵となる製造ラインで形成後または研磨後の銅の厚さを計測することである。しかし、エンジニアは必ずしもウェーハを毎回抽出する必要はない。データをAPCシステムに送り、その結果をリアルタイムでプロセスの調整に使う」。
 米Rudolph Technologies社のマーケティングディレクタ Chris Morath氏は、90nm以下の金属薄膜をどのように制御するかを考えている。「低抵抗を維持するためメーカーは、比較的厚いTa/TaNバリア層から極薄のALD材料に変換するかもしれない。ALD薄膜に対する計測には、X線に基づいた方法や光音響によるアプローチの両方にとって難しくなってくる。ALDバリアとLow-k材料を組み合わせるのは複雑な表面化学やポア構造のためにさらに難しくなる。従って、荒さや接着性のようなバリアと誘電体界面の特性を測ることが重要になってくる」。
 Morath氏は、Low-k材料工程を制御するためには、膜厚の測定だけでは十分ではないと言う。「薄膜がCMPやパッケージングの応力に耐える能力を測定することが重要だ。光音響技術は高速で非破壊に低誘電材料の弾性係数を測定できる。弾性係数は機械的な性能と相関がある」。

High-k材料に向かう
 「配線工程は急速に進歩している。ゲートスタックにさえも変化が起きている」とMorath氏は語る。「90nmではゲート酸化膜の膜厚が1nm以下であるため、今までに例のない数分の1の長期再現性が必要になる。エリプソメトリとDUV反射率計測定を結合すると窒素濃度測定することができる。この濃度測定結果は電気的な方法によるものと非常によい相関を示している」(図2)。
 65nmではデバイスメーカーはHfO2のようなHigh-k材料に移行し始めるだろうとMorath氏は予測する。「これらの材料は極めて薄い、SiON膜を間に入れる必要がある。しかしゲートの進歩はこれで止らない。45nmではHigh-k材料はメタルゲート電極と組み合わさるだろう。こういったゲート構造の特性を評価するには、不透明と透明それぞれの計測技術が必要となろう」。
 薄膜の正確な測定には三つの要素を考慮する必要があるとイスラエルのNova Measuring Instruments社CTOであるMoshe Finarov氏はいう。「まずは光学測定機器(エリプソメトリや反射率測定器、それらの組み合わせ)の計測性能だ。二番目は光学モデリングだ。すなわち、測定対象の正確な光学モデルを作ることで、光学パラメータの測定値とシミュレーション結果を正しくフィッティングできる。このモデルは屈折率nの分散や消耗係数kの分散、偏光のような主要な効果だけではなく、表面粗さや各層の中での光学的な不均一性、内部散乱なども考慮する。測定パラメータの感度は、測定材料の特性に対してとても重要だ。通常、波長が短くなるほど膜厚や光学定数に対する感度は高くなる」。
 非常に薄い膜厚と光学特性に対する感度は低いため、プロセス変動が大きな問題となる。これは、通常どのような光学モデルを適用しても補うことができない。もっと、厚い窒化シリコン膜上に数nmの酸化膜の残膜を測定するなら、どのような窒化膜厚や組成の変動でも酸化膜の残膜よりももっとつよい影響が、反射スペクトルやエリプソメトリ係数の測定値に加わるだろう。「残渣の下にあるスタック層を同じ位置で測定する場合には注入法(Injection method)が使える」とFinarov氏は語る(図3)。
 この二、三年以内に、複雑かつ恐らく不安定な成分であるHigh-kゲート絶縁膜とLow-k材料、そして界面層(バリアやキャップのような)で問題がでてくると、Finarov氏は確信している。それは、界面層は複雑で不安定な組織だからである。「膜厚と光学特性を分離することは難しくなるだろう。そして多分、例えばエリプソメトリとXRRのような異なる測定技術を組み合わせる必要があるだろう」。

モニター対製品ウェーハ
 米Therma-Wave社のParanjpe氏は、製品ウェーハを測定する重要性が増加してくるだろうと考えている。「モニターウェーハ使用した測定法は急速にすたれてきている。一般的に、装置の状態を監視するためにモニターウェーハが使われているが、これでプロセスの状態をモニターするために使われているわけではない。なぜなら、テストウェーハは製品ウェーハで起きていることを必ずしも表していないからだ。従って、計測手法は製品ウェーハ上で測定できるようにすべきだ。そうすれば、やがて測定したパラメータがデバイス性能や歩留まりに直接結びつくようになる」。
 Paranjpe氏は、プロセス管理が単純なSPCからAPCに発展していくと考えている。「APCのループは多い。特に、ゲートのパターニングやSTIのような重要な工程に使う。BEOLのメタル成膜工程でもAPC使うことになろう。プロセス全体のサイクルタイムに影響を与えずに製品ウェーハの測定するために、メタル成膜工程でサンプリングレート高めなければならない」。統合型計測装置の方が、スタンドアローン型計測装置よりもサンプリングレートを高くできる。また、測定に要する潜在時間は、実際の工程へ与える影響やサイクル時間という点でも短い。
 Paranjpe氏によると、測定しなければならない材料が数量的にも種類の点でも急速に増えているという。以前は、ほとんどの測定は単純な誘電体が対象で複数の層はなかった。今では、誘電体自身がユニークな特性を持つ複数の層となり複雑になってきた。複数の層の間の微細な光学的な差異を検出しなければならない。
 材料もかなり変化してきている。High-k誘電体のような材料は、ロジックデバイスではまだ使われていないがDRAMでは使われている。これとは別のSiGeのような材料はソース・ドレインに使われている。これらの材料では、例えばゲルマニウム成分やドープ量、あるいは歪みのようなパラメータも測定しなければならない。シリサイドもさらに薄くなっていく。NiSiがCoSi2の後継として導入されてきた。
 パターニングについて、数多くの反射防止コート(ARC)材料が紹介されている。Paranjpe氏によると、ARC材料は有機のspin-onコートと無機の薄膜の両方がある。後者は基本的には組成比が異なるSiONであるという。ある特別な構造をしており精密に調合されている。積層構造の場合膜は反射が低いため、測定がますます複雑になる。例えば以前のように、ゲートパターンがレジストを使用した単純なポリゲートのパターンだとしよう。ここにBARCを追加すると、その下にハードマスクが加わり、スタックはさらに複雑になる。関連するすべてのパラメータを製品ウェーハで測定しなければならない。 反射防止コート材料には、ユニークな光学的な性質を示すものが多い。例えば、光学的異方性は測定を複雑にする。異方性は薄膜の反射率や光学特性の全てに影響するからだ。これを解決する計測手段には、複数の光学技術を合体して異方性を含めた正確な光学特性を決定することである。エリプソメトリ分光法(SE)とビームプロファイル反射率測定法(BPR)のように、独立した光学技術を用いて測定し、スペクトルをフィッティングすることによって膜厚と光学分散を正確に求めることができる。この手法に対して、SE単体あるいはBPRのみの測定では著しく誤差が大きく(15%に及ぶ)、最先端の反射防止膜コートの測定には十分ではない。
 Paranjpe氏によると、銅配線のためのBEOL誘電体層はさらに複雑になっている。以前は、シンプルなバリア層、Low-k材料、もう一方のバリア層という3層の積層構造だった。今ではほとんどが4層膜を使用しており、今後おそらく5層または6層になるという。各層は微妙に異なる酸化膜で窒素や炭素がドープされている。Low-k材料の多孔性を測定することも重要だ。これら全てに加えてその他のパラメータも同時に測定しなければならない。各層を個別に測定しても、本当に表しているとは限らない。プロセス中に薄膜特性が変化するためだ。薄膜がプロセス処理されると、その多孔質は変わり、層間膜の反応によって変わる可能性がある。Low-k薄膜は、ハードマスクとの接着性を高めるため、表面処理によって密度が高くなることがよくある。計測技術はこれら全ての微妙な変動を捉えつつ、なお正確に厚さを測定しなければならない。 Jordan Valley SemiconductorのMazor氏によると、薄型化(thinning)が薄膜測定では問題になる。チャンネル、ゲート、バリアそして導体全てが薄くなると密度や組織が変わってしまうという。分解能を上げることがひとつの答えになる。例えば、入射光の波長をさらに短くする。物性を想定することに頼らない測定技術もいい。密度(Low, High-k膜)、結晶性、結晶面方位、粗さなどの測定、それぞれに適した測定技術が最もよい値が得られるようだ。これらは、他の材料の変化との相関によって影響を受けてしまうものでもない。多層構造の複雑性と各層分離の例は、BEOLのCuやバリア層、そしてFEOLのSiGeや歪Si基板である。「薄膜化は問題を複雑にする。多層構造対有効な単膜のように、問題を識別するためには十分な信号が必要だとMazor氏はいう。分解能を上げると、材料の物理定数を固定してしまったり仮定したりする必要はなくなり測定技術の助けになる。そうしないと大きな間違いを起こす可能性がある」とMazor氏はいう。
 薄膜計測にとって最悪な障害は多分、ゲートスタックの全体測定である。現在は、窒化酸化膜上にポリシリコンがある。窒化酸化膜とポリシリコンは分離して行われている。誘電体とゲート電極の堆積を統合することが検討されているが、そうなると各層を測定することは難しくなる。また現在は窒化酸化膜だがこれはALD High-k材料に変更される。この材料は微妙に組成を変化させた層で構成された多層構造であり、その組成には多数の成分(Si、酸素、窒素、炭素)が含まれ、それら全てがわずかに変動するためである。
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X線はインライン計測で不可欠になるか
Jordan Valley Semiconductors Inc.
X線計測法の能力や利点は、これまで分析ラボで評価されてきた。しかし、工場での採用は進んでいない。これは主に安全性への配慮やコスト、スポットサイズ、スループット、そしてデバイスや材料へのダメージを与える可能性による。X線計測の工場への導入には最近多くの成功例が出てきた。X線ベンダーはユーザーザーインターフェースを改善して前工程の自動化を行い始めている。
 X線はリソグラフィ技術のロードマップ上に長年存在しているが、最近のこの技術の成功はロードマップから逸脱しているかもしれない。しかし、その原動力は単純である。波長が短くなるほど分解能は上がるからだ。
 光学的な膜測定技術はリソグラフィが進展と同様に進歩してきた。白色光(400-800nm)による光学膜厚計が登場し始めてから長年は経っていない。UV(200-400nm)を含む光源にシフトしたのはかなり前のことである。重要な薄膜のパラメータの分解能上げるには波長が短いほうがいいからである。今日の光学的膜厚測定器は190nmや157nmの波長を使っている。
 過去20年間、光学的薄膜計測器には首尾一貫して二つの項目がロードマップに存在してきた。スポットサイズとスループットである。これはX線計測器についても変わらない。しかし、X線は材料へダメージを与える心配がある。多くのX線計測技術は強力な回転陽極線源を使用しており、これは容易に材料にダメージを与えてしまう。問題を悪化させる原因して、トレードオフ関係がスポットサイズ、スループット、ダメージの間に存在していることがあげられる。スポットサイズを小さくするいくつかの技術はフラックスを弱くして、スループットに悪影響を与える。これとは別のフラックス密度を増加させる技術は材料へダメージを与える結果となる。
 X線計測技術の利点は容易に理解できる。分解能が上がると極薄膜とスタック層の特性がよくなる。X線では有効屈折率の変動がないため、材料が何であれX線の速度が速いため薄膜のモデル化が楽になる。この技術も、材料の物性の想定や校正がなければたくさんの測定をしなければならない。X線計測技術の技術革新はスポットサイズとスループットそしてダメージ問題の解決にある。これが達成されればX線計測技術はインラインモニターとして広く採用されることになる。
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Jordan Valley Semiconductors www.jodanvalleysemi.com
KLA-tencor www.kla-tencor.com
Nova Measuring Instruments www.nova.co.il
Philips AMS www.ams.philips.com
Rudolph Technologies www.rudolphtech.com
Therma-Wave www.thermawave.com
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