2005年2月号
薄型パッケージ向けに
チップの耐性や強度を検証する
W. Kröninger and L. Schneider
独Infineon Technologies社
www.infineon.com
Gerald Wagner
オーストリアSEZ社
www.sez.com
 ICカード向けやスタックパッケージ向けにかかわらず、薄型パッケージはますます普及しており、ウェーハ薄型化技術への要求が高まっている。ここでは、薄型パッケージに向けたチップの破壊耐性や強度の影響を検証した。
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 ウェーハの厚さが100μm以下まで薄厚化されると、ウェーハの破壊強度、屈曲性、面粗さなどのパラメータを考慮しなければならず、製造装置メーカーは機械的なバックグラインダに替わる新しい方法を考えなければならない。ここでは、薄厚化されたウェーハの性質を調査し、薄型パッケージではどのパラメータがもっとも重要かを調べた。

チップの強度を測定する

 チップ強度の測定方法はさまざまで、異なる測定方法で結果を比較するのは難しい。特に正しい方法も間違った方法もないが、どの方法を使用しているかを必ず留意しておく必要がある。ウェーハ薄厚プロセス中のプロセスフローに起因する破損強度を確認したいため、ボールリング方式と、もう一つ一般的な方法になっている3点曲げ方式で行った。
 ボールリング方式(図1)では、ボールがチップ上に置かれ1mm/分でゆっくりと動きながら圧力をかけていく。圧力と変位はチップが割れるまで継続的に測定される。チップの端がリングから遠いため、この方法はダイシングの質にあまり左右されない。
 また、実際に製造工程でチップが受けるストレスに類似しているのが、3点曲げ方式(図2)による測定だ。用途によっては、チップ柔軟性が最も重要な場合がある。しかし、チップ製造の合否に影響するようなパラメータが他にもある。この方式では、3本目のロッドがチップに力をかけている。速度はボールリング方式と同じように1mm/分である。このシステムはPCによって制御されており、ロット内のチップごとのデータが記録される。
 前に述べたように、Siは非常にもろい材料である。破壊強度の分布は平均応力と比べると左右不対称であると知られている。この一般的な分布は図3で示すようにワイブル分布になっており、(両対数スケールで)破損強度に対する破損の確率を示している。分布の詳細を表すのにFaverage(算術平均応力)、またはFmediam(63%のチップが割れてしまう応力)を用いる。

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 実際にどの位のストレスがかかっているかを知ることは重要なことである。例えば、クレジットカードはその機能を数年果たせなければならず、日常使用で生じる力に対応できなければならない。一方、荷札用のIDタグでは数日間のみ機能できればよい。チップの大きさも要因の一つだ。
 0.8×0.9mmのチップならば、例えば、それを内蔵している荷札が曲がったとしてもあまり影響を受けない。しかし、クレジットカードに小さなチップが埋め込まれた場合には、カードは曲げに耐えられなければならない。よって、ある一定の安定性と柔軟性が必要になってくるのである。
 ほとんどの場合、チップの表面の強度はかなり高く、未処理部とほぼ同等だ。これが裏面処理が注目される理由である。強度はより高いほうがよい。
 チップで得られる強度は最高どれぐらいあるか?その答えを見つけるためには、異なるウェーハの厚さで強度を最初に調査する必要があった。

厚さ vs. 強度

 ウェーハの厚さとチップの強度の関係性を示すために、厚さ675μmの150mmウェーハを用いて実験を行った。ボールリング方式(図4a)と3点屈曲方式(図4b)の両方を用いて強度を測定したところ、類似した結果が出た。
 この結果、非常に興味深い2つの点が見出された。1. もとの厚さから7%薄くすると、機械強度は60%以上低下した。強度を左右するのは厚さだけではない。最も影響を与えるのは裏面の処理である。2. 裏面グラインディングを行うと、強度はウェーハが薄厚化されるとともに大きく落ちてしまう。厚さを30%(188μm)低減すると、機械強度は4%から7%まで低下する。

裏面の処理 vs 強度

 さまざまな裏面処理を比較したところ、チップの裏面安定性がもっとも決定的なパラメータであると判明した。この調査では、粗研磨、微研磨、応力緩和、ダイシングという順序で処理を行っている。 図5はさまざまな裏面処理の方法と、そのときの強度を測定した結果を示している。例えば、10μmスピンエッチの強度は、3μmのCMP(Chemical Mechanical Polishing)で得られる強度とあまり変わらない。同様に、3μmスピンエッチと3μmプラズマ処理で得られる結果も大差ない。CMPは高い可能性を秘めているが、最高強度はスピンエッチ処理で達成される25μmとなっている。このとき強度は飽和点に達し、これ以上薄厚量を増やしても強度は増加しない。飽和状態になる除去量は研磨処理によって変化する。
 ウェットケミカルエッチング技術は、もっとも一般的な薄厚化技術である。エッチング剤が回転するウェーハ上に吐出され、ウェーハの片面が処理される。ウェーハの表面は、特別なウェーハチャック機構によって保護されているため、表面保護膜やテープ処理などを必要としない。通常、このチャックは真空吸着によって行い、極薄のウェーハでも搬送できるように設計されている。 Si用のエッチング剤は、HNO3やH2O2などの酸化剤とHFなどの錯化剤によってできている。混合液は種類や組み合わせによってエッチング速度を変化させることが可能で、エピ層などの拡散層やSiO2で選択性を持たせることができる。Siのスピンエッチングのエッチングレートは約10μm/分。Siエッチングの膜厚ばらつき(TTV:Total Thickness Variation)はウェーハ表面上のエッチング剤の流量で決まる。あとは、ウェーハ回転数や薬液供給装置の動作などのパラメータによって最適化される。 SEZのスピンエッチングは実質異なる2つのプロセスで行われる。
1. ボウエッチングとダメージエッチング
 ウェーハの反りを低減するために行う。数μm薄くするだけで安定性を上げることができる。
25μmで強度が飽和点に達することが判明した。
2. バルクの除去
 ここでは、薄厚で砥粒の使用を避けるために、ウェーハ破損のリスクを低減するスピンエッチを薄厚手段に用いる。
 50μmまでグラインダで研磨する代わりに、100μmまでグラインダで研磨し50μmのバルク膜のエッチングを加える。チップの安定性はすでに飽和状態であるため、安定性や粗度などの特性を変えずに除去量を変化させることが可能である。これは最終の厚さを制御するのに用いる。スピンエッチングにより、目標厚さを定め意図した最終厚さに達成するよう調整することが可能である。

粗度

 ウェーハ裏面の粗度を測定し、強度との相関を調べた。粗度と強度の間には確実に相互関係があることが分かった。表面が滑らかな鏡面であっても強度が高いとは限らない。ダイボンディング工程において、裏面粗度は接着の分布とその密着度にも影響を及ぼす。粗度の測定としては、数mmの範囲で平均粗度(Ra)を用いている。 ウェーハ裏面の粗度比較において最も有効なツールは目視による検査だ。0.1μmのRaまでならば、粗度は接触針を使用した単純な測定器で測れる。これ以上の粗度は、光学的な測定器や、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)が必要とされる。
 粗研磨(300から400メッシュサイズでグラインディング処理の最初の工程に行う)と微研磨(1000から2000メッシュ、2番目の工程で行う)の間で破壊強度を向上する効果が見られる。図6で見られるように、微研磨で20μm薄くすると、強度は飛躍的に増加する。
 高い除去速度で最初のラフグラインディング(粗研磨)を行うと、表面を粗くしてしまう。粗度の標準的な値は約0.2μm(Ra)である。2番目の工程では、粗度は数nmまで低減される。メッシュサイズが2000の砥石を用いた場合、粗度は研磨されたベアウェーハの10倍のRa 10 nmまで低減される。スピンエッチされたSiウェーハの粗度は1 nm(Ra)以下になる。この結果は、CMPにほぼ匹敵するほどとなる。
 粗研磨されたウェーハを微研磨で20μmに薄厚化することで、2倍強度を向上させることができる。これは、どのチップ厚さにも10〜25μmのウェーハ表面下のダメージがあるという一般的なHadamovskyモデルによって説明できる。さらに薄いチップでは、ダメージ層が全体の膜厚に相対的に厚くなるため、より重大な問題となる。

チップの柔軟性

 チップが薄くなると、機械強度だけが重要なパラメータではない。柔軟性もますます重要になってくる。チップは破損する前に反ったり、曲がったりする。クレジットカードなどの例では、屈曲性が強度よりも重要となる。チップ内面がどのような屈曲に耐えるかを知るのが重要だ。
 破損強度の測定器でチップの屈曲を探知することもできる。図7に示したボールリング方式では、rはチップが割れる直前の半径となる。破損テストではsを測定し、rを算出する。破損に耐えうる径の値は、チップの厚みの2乗に比例する。
 厚み185μmのチップで、裏面をスピンエッチングした除去量の検証結果を図8に示す。エッチングによる除去量を3〜25μmに増加するほどチップは強度を増す。しかし、柔軟性は向上されない。柔軟性は粗研磨から微研磨の間で強化され、除去量が3μmになると飽和状態になる。我々はこの実験を厚み120μmのチップでも行い、この場合も同じ効果が得られることが分かった。裏面を25μmエッチングすることで強度は増加するが、柔軟性は上がらない。
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Werner. Kröningerは、Infineon Technologiesのプレアセンブリー部門、シニアスタッフエンジニアで、ロジックデバイス用ウェーハ表面処理技術の開発責任者。1995年にInfineonに入社して以来、CVD、エピタキシー、W成膜などのトランジスタ形成工程の開発にも携わってきた。独Regensburg大学で物理の修士号を取得している。
Ludwig Schneiderは、Infineon Technologiesのプロダクトエンジニア。ウェーハ薄厚化とCMP工程の責任者である。1994年に入社して以来、後工程の生産、一貫生産、視覚検査などで重要な役割を果たしてきた。独Regensburgの応用科学大学で学位を取得している。
Gerald Wagnerは、SEZのプロセス開発ディレクタ。極薄ウェーハのウエット処理技術開発、新素材のエッチング技術、洗浄技術などの開発に携わる。過去、ポリウレタンマスクのプロセス開発などに参画した。オーストリアVienna技術大学で熱安定樹脂材料技術の博士号を取得している。E-mail:g.wagner@at.sez.com
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参考文献
1. H.F Hadamovsky, ct al., “Werkstoffe der Halbleitertechnik,” Dt. Verlag f. Grundstoffindustrie,
2. Aufl., 1990.2. Thin Semiconductor Devices Manufacturing and Applications Workshop 2001, Frannhofer Institute (IZM), Munich Division
3. A. Bogc, “Mechanik und FestigkeitslehreVieweg Verlag, “Braunschweig, 21 Aufl.1990.
4. D. Trenkler, Master Thesiss, BTU Cottbus, 2001
5. E. Gaulhofer and H. Oyrer, Proc. IEMT Europe 2000 Symposium (IEET/CPMT), Munich, April 2000.
6. M. Reichic and G. Wagner, “Thinning Techniques for Ultra-Thin Wafers”, Advanced Packaging, March 2003.
7. J. Muller, P.Stampka, W. Kroninger, E. Gaulhofer and H. Oyrer, “Smart Card Assembly Requires Advanced Pre-Assembly Methods,” Semiconductor International, July 2000, p191.

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