2005年2月号
アジレント・テクノロジー・インターナショナル
代表取締役社長 半導体パラメトリックテスト事業部 事業部長
海老原 稔氏
[プロフィール]えびはら みのる氏
1970年3月に電気通信大学電気通信学科卒業。同年、山水電気に入社。1973年に横河・ヒューレット・パッカードに入社し、1995年、日本ヒューレット・パッカードにおいて半導体計測事業部長、2000年、アジレントテクノロジーにて半導体パラメトリックテスト事業部長などを歴任。2004年2月から現職。
微小電流測定技術を活用しFPDテスト市場に参入
 米Agilent Technologies社は、半導体製造工程ではパラメトリックテスターおよびSoCテスターで高い実績を持つ。2004年10月にフラットパネル・ディスプレイ(FPD)用テスターを製品化し、FPDアレイテスターに参入した。米IBM社から技術導入するとともに、自社のパラメトリックテスターで培った技術を応用しアモルファスから低温ポリシリコンTFT、有機ELディスプレイ(OLED)用までに対応した製品群を揃えた。同製品の開発は同社日本法人が行っている。同社参の経緯をアジレント・テクノロジー・インターナショナル 代表取締役社長 半導体パラメトリック事業部 事業部長 海老原 稔氏に話を聞いた。
Semiconductor International 日本版(以下SIJ):貴社計測器ビジネスの現況は?
海老原:Agilentのパラメトリックテスターは25年におよぶ実績がある。現在の市場シェアは約80%。ほとんどの半導体メーカーでウェーハの歩留まりモニターおよびチェックを行うテスターとして使用されている。現在、300mmウェーハ、65 nmプロセスの開発に使用されている。業績では、過去の歴史の中でも2004年が当社にとって今までで一番良い年だった。

SIJ:では2005年は?
海老原:2000年ほどの落ち込みはないだろう。2005年はあまり大きな心配はしていない。半導体は成熟した技術ともいわれるが、450 mmウェーハの検討も始まり、65 nm量産も早いところでは1〜2年内に始まる。微細化は継続していく。堅調な研究開発投資が実施され、新しいデバイスの量産に向けて各社が動いている。技術的な挑戦も多く、膨大なデータを測らなければ新しいプロセスを安定化することはできない。ユーザーからいろいろな要望が増えていくと見ている。昔、パラメトリックテスターといえば基本的にはDCの電流/電圧のみを測る装置だった。今では、インピーダンスモニターからマイクロウェーブのネットワークアナライザまでをパラメトリックテスターに組み込んでおり、ネットワークアナライザは周波数帯でいうと10〜45GHzを搭載しないと半導体が測れないような状況だ。

Advertisement
SIJ:2004年にAgilent Technologiesは、FPD用のアレイテスターに参入した。その経緯は?
海老原:Agilentは旧Hewlett-Packardの時代、およそ41年前から製品開発の責任範囲を日本法人にも与えていた。その当時から受動電子部品測定器の日本での開発を始めている。そして1980年代初頭に半導体テスター市場に参入した。パラメトリックテスターを開発し、その後、ICテスターに参入した。2004年にFPD用のアレイテスターを製品化した。今まで、パラメトリックテスターのビジネスの延長線上で何か新しいビジネスはないかと模索していたが、アレイテスターに適用できると思いついた。当社で低温ポリシリコンとアクティブマトリックスの有機EL(OLED)ディスプレイのアレイテスター「Agilent 88000 HS-100」を開発した。
SIJ
:そしてIBMの技術も取得した。
海老原:アレイテスターの中核の技術は、パラメトリックテスト技術の延長上にある。低温ポリシリとアクティブマトリクスOLED用は自社で開発した。しかし、それだけでは市場が小さい。もっと早く市場に参入したかったため、IBMから資産を導入した。IBMは12年ぐらい前からアレイテスターを自社アモルファスシリコン(a-Si)TFT用に製品化し、外販もしていた。当社半導体パラメトリックテスト事業部に移管し、IBMが保有していた技術、製品知識、納入実績、顧客との関係も統合した。第6、7世代ガラス基板向けの「Agilent 88000 ATS-600」を当社でラインナップする。今後は、当社が長年にわたり実証したテスト、測定の知識および世界でのサポート体制を融合し、テストコストを削減、将来のFPDビジネスにもっと貢献できればと思っている。
微小電流の測定技術を持っている
ICテスターメーカーはAgilentしかなく、高速、高精度のアレイテスターを実現できるのもAgilentだけ
SIJ:FPDのアレイテスターの需要は大きい?
海老原:TV用などの大型パネルは部材コストが高いため、必ずテストするという文化がある。しかし、当社が開発した低温ポリシリやOLEDなどの主に小型のパネルでは現状、アレイテスターを導入せずに、欠陥製品を破棄しているケースが多い。これは、既存のアレイテスターが、遅くて使い物にならないからだ。しかし、当社なら高速でできる。HS-100も既存テスターの約3〜10倍の高速化を実現している。当社が低温ポリシリおよびアクティブマトリックスOLED向けのアレイテスタ市場を創造し、市場を牽引していく。 今はまだアレイテスターのマーケットが小さいのは分かっている。しかし、一方でa-Si用ではガラス基板の大型化に対応しなければならず、また、小型パネルでは高精細化が進んでいる。欠陥検出は最終的には目視に頼っている状況だ。目視の限界を超える高精細化は目前に迫っており、当社の高精度測定技術が生かせる。

SIJ:貴社装置の優位な点は?
海老原:技術的な優位点は、感度とスループット。感度では、目視検査を置き換えることができる。当社のアレイテスターは画素の電荷量を測っている。測定結果はイチゼロの世界ではない。ICは欠陥があると動作しなくなるが、LCDは欠陥があっても動く。欠陥が、画素や像の劣化やムラという形ででてくる。一方、パラメトリックテスターは、日々半導体の製造ラインでコンデンサの容量を非常に高速で測ったり、極めて低い電流領域を測っている。基本的な回路テクニックはLCDも同様だ。当社は、画素の容量を素早く測る技術を持つ。パラメトリックテストのコア技術の延長線上に、FPD用アレイテストの解があった。微小電流の測定技術を持っているICテスターメーカーはAgilentしかなく、高速、高精度のアレイテスターを実現できるのもAgilentだけだ。
SIJ:今、注目している技術は?
海老原:Si CMOSデバイスがどんどん高速化している。それらの応用デバイスもそろそろ市場に出てくるだろう。計測器メーカーとして、これらの高速デバイスにどう対応していくかが一つの課題となっている。これに対応するために、パラメトリックテスターの在り方そのものも今後変わってくると見ている。
(聞き手:高橋 潤)


HOME | SI(日本版)について | 無償配付申込・変更 | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載について | 関連サイト