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2005年4月号
2005年:中国ファウンドリの休養期

姚 鋼(主幹記者)

 ArF露光装置とコータ・デベロッパ、それに対応するArF(193nm)レジストは量産への準備が整い、65nmプロセスで採用されつつある。レジストを量産に対応させるには、ラインエッジラフネス(LER: Line Edge Roughness)やパターン倒壊などを含む多くの課題を解決することが必須だ。また、液浸リソグラフィ技術の導入に伴い、多種多様のニーズに対応させるべくレジストの改良が進んでいる。
* * * *
 2005年早々に中国の大手ファウンドリ各社のニュースが飛び交った。中芯国際(SMIC)は、6年に渡る交渉の結果、台湾TSMC社に 1億7500万米ドルを支払うことで和解した。ビジネスの戦場に永遠の「敵」はいない。これは良い結果であったと言えよう。米Micron Technology社の「干渉」により、米輸出入銀行がSMICに対する7億6900万米ドルの融資保証を見送ることになるかもしれないと伝えられた。もし、実際にそうなればSMICは米Applied Materials社から半導体製造装置の購入することが難しくなるであろう。また、Micronの「干渉」により、韓国のSamsung Electronics社やHynix Semiconductor社との競争において実質的な利益が得られるとは考えにくい。最近の台湾当局による和艦科技とUMCに対する立ち入り調査は、中国大陸と台湾の半導体業界に大きな波紋を投げかけた。和艦科技とUMCは調査の影響を受けるかもしれないが、産業の中国へのシフトは今後も続いていくことに変わりはない。

表1 中国における建設中の200mmウェーハ工場(SI China調べ)
  社名 プロセス技術 投資額
(億米ドル)
設計生産能力
(枚/月)
生産拠点
  華虹NEC   0.25〜0.35μm(CMOS)   3.4 20000 上海張江
  珠海南科   0.25μm   1.86 30000 広州
  上華科技   0.35~0.25μm   3億HKドル 30000 江蘇無錫
  ハイニックス、ST   0.13〜0.25μm   5.5 20000 江蘇無錫
  康福超能半導体   高能力
シミュレーションプロセス
  4.5 30000 北京
  納科微電子   0.25μm   4 15000 江蘇常州
  緑山集成電路   0.25μm   4.3 30000 江蘇南通
  中寧微電子   0.25μm   6 20000 浙江寧波

 しかしその一方で、中国のファウンドリ業界は、ここ数年の急速な成長を経て、整理、消化の段階に入りつつあると実感することができる。米調査会社Information Networkの最新研究レポートによれば、2005年の中国における半導体製造設備の調達額が、2004年に比べ33.6%減少すると予想している。2004年の中国における半導体製造設備の調達額は前年比146%増の28億3000万米ドルに達したが、2005年には18億8000万米ドルにまで落ち込み、世界で減少幅が最も大きな地域となる。SMICも2005年の半導体製造設備は2004年の半分に減少すると公表している。
SMICの主席である張汝京氏は、2005年の設備投資を2004年の20億米ドルから10億米ドル前後に抑えると述べている。これはInformation Networkの予想を裏付ける動きであると言えよう。聞くところによれば、建設中の200mm工場は、年内も土木工事の段階で留まるという。
 和艦科技や宏力半導体などが、生産拡大および300mmウェーハ生産ラインの建設を実現できるかどうかは、すべてIPO(新規株式公開)にかかっている。ただし、業界全体が2005年の市場見通しを悲観していることから、投資家の投資意欲も削がれるであろう。実際、SMICの北京における300mmウェーハの生産ラインは、既に当初の生産計画を削減し始めている。また先進半導体(ASMC)も、生産拡大計画に必要な資金をIPOからだけでなく金融機関からも調達することにしている。

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 現在、中国で成功を収めている200mmプロセスのファウンドリは、SMICや華虹NEC、和艦科技、宏力半導体、TSMC松江工場などに他ならない。0.18μm以下のプロセスはいずれも自社で開発したものではないため、先端プロセス技術を取り入れて製品歩留まりを上げることが、2005年の中国各ファウンドリの課題となるであろう。SMICの2004年における0.18μmプロセスの導入率は既に71.8%に達しており、同社の0.25μmおよび0.18μmのプロセス技術はおおむね成熟していると言える。しかし、同社が蘭IMECから移管された0.13μmプロセスの製品歩留まりは安定
性に欠けている。聞くところによれば、SMICに発注していた米Marvell Semiconductor社や米Broadcom社などは、発注先をTSMCの台湾工場に変更したという。SMICで0.13μmプロセスを採用しているBroadcomは、SMICでの製造コストは低いものの、歩留まりも相対的に低いと述べている。
 和艦科技も同じような問題に直面している。同社の0.18μmプロセスは2004年第4四半期に量産段階に入り、0.13μmプロセスへの移行も完成したばかりである。このうちUMC から199項目の特許技術を導入したと言われているが、80人のUMC元従業員を抱えていようとも、和艦科技が短期間でUMCのような高い歩留まり率を達成するのは難しい。このほか、TSMC(上海)の運営副総経理である曽孝平氏も、「優れたエンジニアの育成、統一した管理制度の確立、中国顧客の開拓が、TSMC松江工場の2005年の主要課題である」と述べている。
 世界的な動向として300mm市場は需要が依然明白でない上に、建設費用が巨額に上ることから、特定製品を独占している米Intel社やSamsungなどを除いて、MicronやTSMC、シンガポールのChartered Semiconductor社、伊仏合弁のSTMicroelectronics社、東芝、米IBM社、SMICなど各社は、既存の200mm生産ラインで先端プロセスの導入を試みており、生産ラインの寿命引き延ばしに努めている。この動きは世界の既存200mm生産ラインの淘汰が減速することを意味している。ファウンドリの供給過剰局面が短期間で改善されるのは難しいようだ。
 中国で生産ラインを建設する各ファウンドリは、最終的にはやはり中国企業からの受注に期待を寄せている。SMICは2005年の中国企業向け売上比を、2004年の10%から20%に引き上げる予定である。和艦科技も2005年末までに、海外からの受注比を目下の80%から60%に引き下げたいとしている。一方、華虹NECは既に60%前後の業務が中国企業向けである。しかし、現在の中国の設計会社における発注能力は極めて限定的である。曽孝平氏は、「中国の半導体市場は規模も潜在力もあるが、中国のファブレス設計会社は依然発展するまでには至っていない。」と指摘している。

表2 中国で建設が予定されている200mmウェーハ工場(SI China調べ)
社名 プロセス技術 投資額
(億米ドル)
生産拠点
BCD Bipolar、BiCMOS、BiCDMOS 10 上海紫竹科学園
プロモス 0.25μm 未定
パワーチップ 0.25μm 未定
方正微電子 0.25μm、SiGe 深圳
韓国LMNT フラッシュメモリー 14 北京

 中国のファブレス企業が発注能力を2005年に上げるかどうかはもう少し様子を見る必要がある。SMICでチップを製造している智多微電子、安凱ケイマン、方泰電子のモバイル・マルチメディアチップ開発メーカー3社を例に挙げると、開発した製品の寿命が短い。しかも、2004年下半期以降、中国の携帯電話機メーカーの業績は全体的に思わしくない。このため、今年のチップ販売予想に影を落としている。2005年上半期にこのマイナス要因を払拭することは難しいと思われる。もちろん、中国の電子製品輸出の大幅成長傾向には鼓舞されるが、90%近いハイテク製品の輸出が外資企業によるものであるという事実にも、我々は目を向けなければならない。2005年は中国ファウンドリの休養期となることが予想される。これは中国のウェーハ製造業が停滞してしまうという意味ではなく、また中国のファウンドリによる設備調達額が大幅に減少し中国のファウンドリが厳冬期に突入するというわけでもない。それは、新興電子製品(フラットモニタ、移動体通信、自動車向け電子製品など)の需要市場も形成されつつあるからである。中国本土のファブレス設計会社の急速なレベル向上がシステム製造業者に認められ、中国本土のOEMが世界的に認められつつある中で(華為や中興などは既に多国籍企業の競合圧力となっている)、中国半導体産業の経営陣および投資者も、他人が淘汰した設備で産業を発展させることはできないことを認識し始めている。中国のファウンドリが既存のプロセス技術で高い歩留まり率を実現させることができれば、2005年の第4四半期からウェーハ製造設備への需要は再び盛り返すであろう。


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