ArF露光装置とコータ・デベロッパ、それに対応するArF(193nm)レジストは量産への準備が整い、65nmプロセスで採用されつつある。レジストを量産に対応させるには、ラインエッジラフネス(LER: Line Edge Roughness)やパターン倒壊などを含む多くの課題を解決することが必須だ。また、液浸リソグラフィ技術の導入に伴い、多種多様のニーズに対応させるべくレジストの改良が進んでいる。
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多くの企業にとって2005年は90nmプロセスが量産に突入し、ArF(193nm)リソグラフィが微細なクリティカル層で主流になる年だ(図1)。これと並行して、液浸リゾクラフィ技術も注目を浴びている。JSRの米国法人JSR Micro社のリソグラフィ技術部長Mark Slezak氏は、「液浸リソグラフィが注目されているが、製造の観点から見れば今年はArFリソグラフィが開発から量産に移行する年である」と述べている。
ラインエッジラフネス(LER: Line Edge Roughness)や欠陥、マスクエラーを増長させる要因(MEEF: Mask Error Enhancement Factor)が減少しており、65nmプロセスでArFレジストの使用が可能になった。米Rohm and Hass Electronic Materials社のMicroelectronic Technologies部門マーケティングディレクタRick Hemond氏は、ArFレジストの品質が向上したことが理由と考えている。「原料供給ラインが要求に対応できるようになり、90nmの量産と65nmの生産の手筈が整ってきた」と述べている。
この5年間でリソグラフィ分野において最大の変化は、明らかに液浸リソグラフィ技術の台頭である。単なる研究対象にすぎなかったものが、この2年間でITSR(International Technology Roadmap for Semiconductor)に載るほどの重要な技術となり、最終的にはF2(157nm)リソグラフィの計画を無期限保留にしてしまったほどだ。水の屈折率(1.43)は空気の屈折率(1.0)よりも高いため、レンズとウェーハ上のレジストの間に水分を満たすことで、液浸露光では焦点深度を約2倍に上げることができる。現在液浸技術はArF露光装置に適用されているが、KrF露光装置の延命とCOO(Cost of Ownership)低減のために液浸技術を適用する案も出ている。
液浸リソグラフィが製造現場に導入されるのは2006年半ば頃が予定されている。まだフルフィールドの露光が可能な装置は完成していない。液浸技術を発展させていくには、開口数(NA)が0.85〜0.93から1.0より高いレンズの作製やフォトレジストおよび液浸用の液体の屈折率を上げることが必要になる。新しい光学系や高屈折率液体、量産対応の液浸露光装置など検証すべきことは数多くあるが、ArF液浸技術は22nmプロセスまで適用することができるであろう。
ArFリソグラフィ技術がどこまで適用されるかは不明だが、45nmから32nm世代の要求を十分カバーできることに異論は少ない(図2)。その一方で、液中の微小気泡の制御やレジストから発生する脱ガスの制御、液浸手法に起因する欠陥の対応など克服すべき課題が残されている。
米IBM社と台湾TSMC社が試作デバイスの製造に、フォトレジストと液浸流体の間にトップコートが使用された。トップコートの役割は、そもそもレンズをレジストから放出される脱ガスから守ることにある。コストを考慮した場合、トップコートが最終的に必要かどうかという議論が起こっている。Tzviatkov氏は、「われわれの戦略はトップコート無しの手法を開発すること。すでに実施した調査の結果によれば技術的に実現可能であることが明らかになっている。主要な浸出成分はPACと酸であり、両方とも本質的に結像に重要であることは認識している。しかし、浸出はレジストのごく表面に限られ、予想していたほど結像に影響を与えない。またそれを補う手段を確立し、性能を保つことができる」と述べる。Tzviatkov氏は、ユーザーからドライと同じレジストを液浸でも使用したいという要求が出ていると言う。「低い分子量の成分が水中に浸出すると、抽出物が発生することは分かっている。しかし、液体の供給方法が未完成のため、抽出物が結像や装置に影響するかどうかがまだ不明確である。各社リスクを負いたくはないため、液浸リソグラフィの最初の世代はトップコート無しのプロセスとなるだろう」(Tzviatkov氏)と指摘する。
図2 液浸リソグラフィとトップコートを使用して形成された45nmライン&スペースパターン。(出典:米Rohm and Haas Electronic Materials社)
Rohm and Hass Electronic MaterialsのMicroelectronic Technologies部門でArFプログラムリーダーであるGeorge Barcley氏は抽出物のレベルは検出限界以下だが、トップコート使用が製造の妨げになるものでもないことが開発を通して分かった。この問題はユーザーが決定する問題であると述べている。「どれ位の度合いの浸出がArF液浸技術において許容範囲であるかをユーザーに教えてもらっている」。
米AZ Electronic Materials社の技術ディレクタであるRalph Dammel氏は、「CDに対する液浸の影響を把握するためには詳細な研究が必要だ。例えば、ウェーハ上を動くパドルは露光面積よりも大きいので、使用レジストに経路依存性があるかどうか知る必要がある。しかし、この調査のためには、フルフィールドの液浸露光装置が必要になってくる」と説明している。
現在開発されているトップコート材料に関しては、レジストメーカーは当然ながらも機密情報の開示に慎重になっている。しかし、Dammel氏は、「溶剤でトップコートを除去する工程は複雑でコストがかかるため、現像液に溶け込むことができるトップコートが使用される方向」と述べている。
トップコートの利点の一つとして、トップコートに反射防止特性をもたらすよう加工できることが挙げられる。しかも下層にある反射防止膜の効果の妨げにはならない。米Brewer Science社のARC製品グローバルマーケティングマネージャであるShree Deshpande氏は「液浸では、反射特性を確保するため、2層BARC(Bottom Anti Reflective Coating)法を採用しなければならない」と語る。「さらに、言及するには時期尚早であるが、もし液浸用レジスト用に特定の屈折率を得るためにレジストメーカーがポリマー構造を変化しなけらばならないならば良好な形状を得られるようにBARCも何らかの変更する必要がある」と述べた。