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2005年4月号
海外からの投資額が異常に低いニッポン
日本版 編集長
津田建二
* * * *
 ライブドアによるニッポン放送株取得の騒ぎがあったとき、またしても「外人によるハゲタカファンド」という指摘があった。ハゲタカファンドに乗っ取られることが日本にとってなぜまずいのだろうか。だめな日本企業を再生してくれれば、従業員にとっては雇用が確保され、むしろ助かるのに。

 最近の英Financial Times紙ではライブドアへの怒りがリーマン・ブラザーズ証券に転化されているという記事や、米Wall Street Journal紙でもライブドアの堀江氏が日本の古い商慣習を変える旗手として高く評価している記事がある。
 外国企業の日本進出に対するアレルギーが日本を鎖国にしたまま国際的な競争力のつかない企業を放置して結局、日本経済をだめにするのではないか。半導体産業ではその先頭に立って旗を振っているのが霞ヶ関のように思える。
 図1を見ていただきたい。いろいろな国のGDP(Gross Domestic Product)に対する外国投資額の比率を表したものである。
 ダントツに海外投資額比率の大きな英国は、70年代から労働党政権の継続による企業活動の低迷から、「病める英国」、「イギリス病」などと揶揄されていた。労働党政権に変わって登場した保守党のサッチャー首相は、80年代に入り構造改革を断行した。「鉄の女」と言われながら強い信念を持ち、民間企業を活発にし民間の自由意志で経済を活発にさせることが国を再生させることだと信じていた。民間を活性化するためには政府の力を削減する、いわば小さな政府を目指した。リストラで職を失うものに対しては、海外からの企業を積極的に呼び寄せ雇用確保に努めた。NECや日産自動車などが英国に進出したのはそのころである。

図1 GDPにみる海外からの投資額比率(出典:国際貿易投資研究所調べ)

 英国自動車産業の象徴であったRolls-Royce社を外国企業が買収したときは英国内でも「魂を外国に売るのか」、とマスコミはたたいた。それでもだめになった企業を再生するためには荒療治もやむをえないとして、鉄の女は反対を押し切った。
 あれから20年たち、英国は見事に蘇った。英国にはいまでも政府に「外国企業投資庁」という組織がある。外国企業を英国に誘致するための組織である。
 米国はレーガン大統領のころに構造改革に踏み切った。双子の赤字を解消するためだった。やはり小さな政府を目指した。政府の組織を小さくし、規制を緩和し民間の自由意志で自由に産業を創生できる国作りを目指した。現在は別の理由で再び赤字が大きくなったが、90年代に入り米国企業の競争力がつき始め、特に半導体分野での躍進は言うまでもない。日本の半導体産業はまるで同期を採るかのように没落していった。
 その米国でさえ、GDPの2.9%が外国投資である。フランスは3.3%、中国3.6%、韓国2.0%なども同じようなレベルだ。韓国は1996-97年の通貨危機を経験したからこそ、構造改革による蘇りが早かった。1990年の0.3%と比べ、1桁上がった。
 しかし、日本は2000年レベルでさえ0.13%と異常に低い。最大の原因は、政府が外国企業を積極的に誘致しないからである。むしろ日本への参入をある分野では妨害しているフシもある。さらに言えば、外国では当たり前の税制優遇措置を何もとっていない。例えば台湾なら、数年間は利益が出ても無税とか、利益が出ても2年は無税とか、台湾でモノを作れば得になる仕組みがある。中国の上海や米国のいくつかの州でも同様なタックスホリデイがある。
 外国企業が上陸すると日本の企業がだめになると言いつつ、日本企業の競争力を落としているのが現状だといえよう。アジアへの進出、中国への進出は、実はアジアや中国で他の国の企業と競争を広げているのである。海外進出企業が割りと頑張っているのは、グローバル競争をしているからだ。

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 感情的な外国アレルギーは、「日本の魂を売るな」というが、日本企業が外国企業に負けない力をつければいいだけのこと。そのためには、国内にいても外国企業と競争し負けない実力をつけることが必要だ。外国企業を積極的に導入し日本企業とまともに競争する仕組みを作ることこそ、日本企業が競争力をつける早道ではないか。
 産経省が国内大手家電メーカーのソニーと韓国サムスン電子との提携を妨害したり、国内の半導体コンソーシアムへの参加を半導体メーカーに求め、ベルギーIMECや米InternationalSEMATECHなど海外のコンソーシアムへの参加を拒否する態度をとり続けている。
 ソニーにとっては、液晶ビジネス世界第7位の日立製作所と組むよりも第一位のサムスンと組む方が高いビジネス能力と技術が得られる。日立と組むメリットはない。  一方、IMECの技術に対する国内エンジニアの評価は高いことが取材の結果明らかになった。にもかかわらず、IMECに参加する国内の半導体企業は極めて少ない。このギャップは何か。複数の取材源をたどっていくと、産経省がIMECへの参加を嫌がっていることがわかった。
 国内の半導体企業を強くするための早道は、やはり競争力の向上だろう。米国の半導体企業が90年代に回復した最大の要因は、競争力を強化したことに尽きる。
 いまでも政府の資金援助で設立したSEMATECHに反対する半導体企業のトップも米国にはいる。民間企業の力で競争力を付けていくことが市場経済の基本であるため、やはり本筋を全うすることが日本企業を強くすることにつながると思う。


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