設計寸法(CD)が6年ごとに約33%小さくなっているため、ラインの解像度が落ちてきている。そのためラインが荒れるという現象が起きている。次世代リソグラフィは、LERの問題に直面しており、装置起因のものを除けば大きな問題の一つになっている。現在、LERを低減させることに注力している。さらに、デバイスへの影響について調査が行われている。
米KLA-Tencor社Patterning Solution GroupのバイスプレジデントKevin Monahan氏は、90nm以降のパターン起因による歩留まり低下を懸念している。「ArFリソグラフィになってからLER問題が絶えず起こっている」とMonahan氏は言う。「全く新しい解決策ができない限り、これからもずっとLER問題に取り組まなければならないだろう。最終的に液浸リソグラフィになるが、少なくとも三世代に渡ってArFリソグラフィを適用しなければならない」(図1 )。
図1 ラインエッジラフネスは所定のパターンおいて増加の傾向を辿っており、歩留まりに影響する特性であるというレッテルを貼られてしまった。液浸技術の援助を得ながら、少なくとも三世代は製造工程を支えなければならないというのに、これがArFリソグラフィの現実である。LERの重要性は増してきており、CD-SEM画像、測定、解析において、技術革新を望む声が高まりそうだ。
(出典:米KLA-Tencor社)
米Applied Materials(AMAT)社Process Diagnostics and Control GroupのCD-SEM計測技術の製品マーケティング担当Ram Peltinov氏は、「LERはプロセス上で困難な問題になっている。しかし、計測技術にとってはよい機会だ」と言う。さらに同氏は「これまで以上にプロセスを管理するには、十分な解像度が計測技術に必要だ」と言う。
米FEI社製品マーケティング担当のバイスプレジデントAnantha Sethuraman氏は、「LER問題は、開発時のちょっとした問題から要注意項目に変わった。LERやCD縮小には、様々な要因が絡み合っている。例えばライン間隔が小さくなると、プロセス制御に影響しプロセスウィンドウが狭くなり、クロックスピードに影響を与える」と言う。
Advertisement
測定とエッチング
LER問題の多くは、トランジスタ形成工程とビアコンタクトを含む配線工程に集中している。こうした問題は、リソグラフィ工程だけでなくエッチングング工程にも原因がある。「ラフネスを管理するために最初に行ったことは、ラインの両端のLERの測定だ。ライン自体のラフネスであるLWR(Linewidth Roughness)の測定を行ってみると、ラフネスがラインの両端で異なる場合がある」とPeltinov氏は言う。「しかし、ラ
イン両端で同じように変化していればCDが変わることはない。この他にもラフネス周期の問題がある。これはデバイス性能にまた違った影響を与える」。
CD-SEM装置は、このラフネス周期を解析し、それをパワースペクトルとして出力することができる。これによりラフネスの大きさや周期の情報を入手し、全体像を掴むことができる。「フィルターで意味のない周期を除去しているため、技術者は有用なデータだけに集中するできる」とPeltinov氏は言う。
SEMの解像度は、もっと改善できると考えられている。「画像上で小さな変動を特定するには、まずSEMの解像度を上げなければならない」とPeltinov氏は言う。「SEMの困難な課題は、解像度とアルゴリズムのノウハウの二つだ。現在使われている装置は、90nmでは特に問題になっていないが、65nmになってデバイスメーカーは問題に直面し始めている」。CDが縮小していけば当然、ライン全体に対するラフネスの影響は大きくなる。プロセス上で何らかの解決策を見つけラフネスを改善しない限り、65nmでは大きな問題に発展してしまうだろう。65nmの製造ラインではラフネスのモニターを行わなければならない。CD-SEM装置を使えば、少なくとも45nmまでモニターできるだろう。
AMATプロセス技術メタルエッチングング担当ディレクタMeihua Shen氏は、LERは単純に説明できるような現象ではないと述べている。「LERにはいくつかの原因と形態がある(図2 )。例えば直線上のラインでのラフネス。これはCD-SEM装置でLERを測定すれば定量化できる。しかし、LERが起きる原因は他にもある。例えば、エッチングング中にレジストやマスクが十分に耐えられない場合にもライン破損が発生する」。さらに、Shen氏は、このほかに線幅のアスペクト比やトポロジもLER発生の要因として挙げている。(例えば、薄い膜厚のラインがどのように下部構造に接続しているかとか)構造から発生するストレスによりねじれやズレを誘発し、ラインの端で破損を引き起こすこともある。
図2 ArFレジストを微細なゲート長のものに適用すると、LERが大きな問題となった。
(出典:米Applied Materials社)
「LER測定を行えば定量的な数値を入手することができる。しかし、ライン破損にはパターン依存性がある。つまり、ライン破損の多くは、デザインやレイアウトに起因して発生する。このため、当社ではこうした現象のグループ化を行い、マスターデザインを作成している。そして、パターン依存性を調べ、簡単に問題を把握できるようにしている。当社のMaydan Technology Centerと協力してマスクデザインの開発を行い、この問題を解決するため、アスペクト比の規定や変数の平均化を行ってきた」(Shen氏)。特に65/45nmでは、ゲート長が30〜20nmになりアスペクト比が3以上になると、想定もしていなかったような問題も出てくる。LERの問題は構造だけでなく、ナノゲート自体の物理的な限界や、材質、フォトレジスト、積層構造にも起因している。
AMATのEtch Product Business Group担当のRobin Cheung氏は、酸化膜エッチングでは状況がこれとは異なると言う。「ほとんどの問題が、超高アスペクト比のコンタクトをエッチングングする際に発生している。LERがあると歪んだパターンを転写してしまう。例えば、円いコンタクトホールを形成するようデザインしても、長円形やギザギザした形になってしまうかもしれない」。レジスト管理方法が重要になる。「レジストをポリマーとして処理するか化学的に処理して、良い状態に保たせることができる」とCheung氏は言う。「後者の場合、エッチングングのガス種や平均滞留時間、パワーで調整できる。また、適切な担体ガスを用いることも重要だ。それはレジストにイオン衝撃がかかり過ぎると大きな歪みを生じてしまうからだ」。
日立のプロセスエンジニアリングのシニアマネジャー Jason Ghormley氏も、これと同じ考えだ。「LERだけでなくラインエッジエロージョン(LEE:Line Edge Erosion)も発生している半導体メーカーもある」と同氏は言う。「つまり、レジストをトリミングする際に、LERが発生しまう。この原因の一つには、レジストの一部が剥がれ落ちてしまうためで、酸素や他のガスをどれくらい使っているかにもよる」。
LEEは、ラインの特定箇所のエッチングで起きる傾向にある。つまりエッチングが底に到達する頃には、ラインが全部なくなってしまうようことがある。「LEEは、特定のゲートに起こる」とGhormley氏は言う。「特定のトポロジを持つ領域では、レジストのオーバーエッチングに影響されているようだ。オーバーエッチング中にレジスト線幅が縮小していき、ライン自体が完全になくなってしまうこともある」(図3 )。 これは高低差の激しいトポロジを持った領域でしばしば見られる。このような領域では、リソグラフィの焦点深度(DOF:Depth of Focus)に問題を抱えていることがある。
図3 特殊なトポグラフィの領域では、レジストがラインと共に完全になくなってしまう場合がある。
(出典:米日立ATA社)
レジストと化学
米JSR Micro社の技術マネジャー Mark Slezak氏は、レジスト形成とインテグレーション技術がLERを低減する手法となると考えている。「レジスト材料を変更する方法は、レジストとBARCからなる単層レジスト構造の場合LERを改善する従来通りの方法である」。さらにSlezak氏は、スピンオンのハードマスク(シングルスピンオンやデュアルスピンオンのハードマスク)を使えば、LERについてレジスト材料開発の負担が減ると述べている。ハードマスクを使えば、レジスト像が下地に転写される時にLWRが低減されるのだ。
「私たちはLERが生じる要因を個々のカテゴリに分類してきた」とSlezak氏は言う。「膜の塗布工程や露光工程、ポストベーク工程、現像工程に分類した。このカテゴリで、レジスト内でポリマーはどのように集まっているかと考えた。そのため、PAGや抑制剤、低分子化合物が、レジスト塗布全般を通してどうやって垂直方向に分散していくのかを調査している」。
相互作用と測定
KLAのMonahan氏は、小さなトランジスタの場合、LERがゲートリークの原因となっているだけでなく多くの問題を引き起こしていると考えている。「多くの人が疑問に思っていることは、LERの影響でゲートの一部が小さくなったら何が起きるのかということだ。実際に、LERでゲートリーク電流が増大する。しかしこの影響は、CD不良や側壁形状不良などの他の不良要因との相互作用で大きくなってしまう」。これとは反対に、もしLERの影響でゲートが大きくなりすぎると、ゲートからコンタクトへのリーク電流が発生する。この二種類の異なる相互作用によって不良が生じる。
「測定技術全体から見れば、特に、光学オーバーレイ測定装置やCD偏光解析装置、CD-SEM装置のデータを見ると、これまでに多く目にしてきた歩留まりの損失は、複数の相互作用が絡み合ったパターニング不良によるものだった」と、Monahan氏は言う。「たとえば、90nm以降にお
ける歩留まり損失の一般的な原因は、ゲート‐コンタクト間のショートである。ゲートとコンタクトとの隙間が小さくなってきているため、電流がその隙間に流れてしまう。不良解析の結果から7種類のプロセス不良が相互作用してこの問題を引き起こしていることが分かっている。
ゲートとコンタクトの間に重ね合わせのズレが生じる。このためゲートとコンタクトの距離が一層近接してしまう。その上、ゲートの線幅拡大の問題もある。これは、ゲートCDや形状、LERの不良が合わさったものだ。コンタクトでも、CDや形状、ラフネスの不良が組み合わさっていることが分かった。このような不良がどのように互い影響しあっているか分かれば、LER問題を定量化できる。これらの組み合わせを考慮に入れれば、配置の仕方を改善することが可能になる」。
LERは他の層あるいはCDや側壁形状、重ね合わせなどの不良と相互に作用しあうため、CDが小さくなるほど問題は深刻になっていく。パターニングがさらに困難になってきている。リソグラフィの露光波長と実際のデザインルールの間に大きな開きがあるためだ。このため、LERを切り分けることが難しくさせている。
「CD-SEMは重要な解析装置だ」とMonahan氏は言う。「いくつかの重要な層で画像化や測定、解析するための開発を行なっている。例えば、『アレイモード』測定方法を使っているが、この技術はコンタクトのラフネス問題を解決するためのものである。表示した領域内で複数の微細コンタクトを測定し、CD変動の統計的な測定結果を得ることができる。全体を測定すれば形状変動も見ることもできる。また、コンタクトエッジラフネス(CER:Contact Edge Roughness)も見ることもできる」。さらにMonahan氏は、アレイモードがコンタクトのCD変動やコンタクト間変動を総合的に観測する上で必要不可欠になっていると付け加えた。それは、コンタクトを一つだけを測定しても代表的なものとは限らないからだ。
パターンに起因する歩留まり低下は、半導体業界で大きな問題になっており、製造初期段階で影響を及ぼしている。パターンに起因する歩留まり低下は、CDや形状、形、LERあるいは重ね合わせなど、どこから発生しても不思議ではない。装置メーカーは、CDと重ね合わせの両方に潜む不良に注力している。まず、重ねあわせ精度の問題には、格子状に重ねあわせ目標を設定して精度を改善し、CD偏光解析を使ってSEMでは見えないような隠れた形状不良を探している。隠れているシステマチックなパターン不良にもっと多くの工数をかけることができれば、パターンに起因する歩留まりを製造初期に改善することができる。そして、製品ごと、ファブごとに数千万ドルの損失を防ぐことができる。
米Soluris社技術部門バイスプレジデントNeal Sullivan氏は、LER測定に対してCD-SEM装置に優位性があるということに同感だ。「解像度や画像診断能力などができるため、全てのライン端の空間的な周期を測定できる唯一のシステムだ」と同氏は言う。「他の技術はどれも感度が悪いか、短波長のものや高周波数のものに限られている」。
さらに、電子ビームによるレジストのスムージングやスリミングの問題がある。「LER測定は、真っ直ぐなラインのCDを測るのとは違う」とSullivan氏は言う。「直線上のラインのCDを測る場合、しばしば画像の範囲内で一時的、空間的に平均化を行う。そして画像全体を、単一波形へと変換する。測定する際に良好なSN(Signal-to-Noise)比を得るため、膨大な信号を平均化する。LERでは、画像内で複数回スキャンが行なわれる間、同じシグナル‐ノイズを得るために、平均化回数を増やさなければならない。そのためサンプルへのドーズ量を多くなり、LERのスムージングを大きくしてしまう」。 しかし超低電圧を使えば、CD-SEM装置に優位性が出てくる。スムージングとスリミングの両方に対し耐性が出てくるためだ。これによりドーズ量を上げられるので、測定の統計値が改善され、サンプルの特徴を把握することができる。「実効照射エネルギーを800eVから170eVの範囲で見ると、800eVではLERを30%ほども小さく見積もってしまう」とSullivan氏は言う。「LERを30%も小さく見積もってしまっては結果が曖昧すぎる。超低電圧(<200eV)で測定すれば、ダメージを与えることなくSEMの解像度(そのスポット領域は小さい)の利点だけを活かして、正確なLERデータを得ることができる」。
解像度を上げることはいつでも歓迎される。Solurisは、重要な形状の測定をする場合、厳密なプロセス制御を行うために、二つの信号強度から単に距離を算出するだけでなく、サンプルから三次元情報を得るようにしている。
米Therma-Wave社マーケティング兼アプリケーション担当のバイスプレジデントAjit Paranjpe氏は、LER対策のために化学構造が変わるとみている。「高解像度が必要になるため、65nmでは低エネルギーで活性化させなければならない。そのため、レジストの化学構造を変える必要が出てくる。しかしこれは、意図するのと正反対の方向にLERが発生しやすくなってしまう。45nmレジストでは、薄膜による閉じ込め効果が生じる可能性あり、レジストのガラス転移温度に影響を及ぼす。平滑剤などの別の薬品を加えればとこの効果はなくなるかもしれないがすべてがLERに影響してくる」。
F2レジストではLERはさらに、大きな問題だ。「液浸技術で多少緩和されるかもしれないが、解像度が不十分なためLERが最大の問題となるかもしれない」とParanjpe氏は言う。「これまではLERとLWRが混同されてきた。LERとは特定のライン端のうねりのことで、端位置の平均をとったものである。LWRとはCD変動のことで複数のポイントで測定を行う」。もし複数点でラインを測定すれば、CD値はそれぞれ異なったものになる。LWRとLERは互いに関連しているのだ。ラインの細りはLWRには含まれるがLERには含まれない。おそらくトポグラフィまたはパターンの近接効果に起因している。
「LWR測定を行う場合、サンプリング間隔は線幅の1.5倍でなければならない」とParanjpe氏と言う。「そして線幅の10倍以上の範囲でサンプリングを行わなければならない。SEMの場合、LWR測定するには一つのライン上で複数回スキャンしなければならない。同じことがCD-SEMにも言える。一つの構造を測定しても統計的な有意性が欠けているため、この方法には問題がある。光波散乱計測は、40×40μmなど大きい領域全体を測定し統計的に有意な結果を得られる。検査領域でより多くの構造を測定しラインのラフネスの平均を取ることができるため、その意
味で優れている」。(Paranjpe氏)
米Timber Technologies社技術およびエンジニアリングのシニアディレクタJunwei Bao氏は、「光波散乱計測の立場からすると、LERは光学測定器にとっては新しいアプリケーションである」と言う。「測定対象の大きさが光学機器の波長より小さいため、光学機器のハードウェアやシミュレーションのアルゴリズムの開発が必要である」。
Bao氏は、光学シミュレーションを行なうためにラフネスの特徴をモデリングすることが、LER測定する上で最も難しい課題となっていると言う。「LERは波長より小さく、複数のラインからシグナルが同時に集められるため、各ラインの正確なラフネス形状を検出するのは困難であろう。インターフェース層からラフネスが概算できるような統計モデル(多分プロセスに依存したもの)が必要だ」。しかし十分な感度を得て、他の形状パラメータとの相関を抑えるためには、さらに正確で大量のシグナル(長波長領域への拡張や偏光)が、必要になるかもしれない。
我々は今、競技場に入っていくところだ。そこでは、マイクロエレクトロニクスがマイクロ構造のエレクトロニクスに変わってきている。
もはや、ただ物を小型化するだけではない。微細構造の変化を相手にしているのだ。手始めは、表面ラフネスだ。そこは物理学が真に活躍する場となろう。そこにはもう、平坦な表面など存在しないのだから。