無償購読申込・変更
Email Newsletter登録
記事検索

検索方法の詳細



2005年4月号

凸版印刷 エレクトロニクス事業本部 半導体関連事業部 PM技術開発本部 課長 
大瀧 雅央氏

[プロフィール]おおたき まさお氏
1972年、東北大学理学部化学科を卒業し、同年凸版印刷株式会社に入社した。主にフォトマスク技術開発に従事。X線マスク、位相シフトマスクの開発を推進した。現在、エレクトロニクス事業本部PM技術開発本部 課長、そしてホトマスクジャパン実行委員として活動中。
先端マスクのCD均一性はさらに厳しくなる
鍵を握るのはエッチング技術
 65nmノード対応マスクが2005年内には登場する。90nmノードではすでに近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction)が多用され、一部位相シフトマスク(PSM)の適用も始まった。リソグラフィ工程ではArF液浸技術が導入されるが、マスクへの影響は未知数だ。マスク製造技術の難易度は増加の一途をたどり、マスクメーカー、マスク製造装置メーカーに課せられた開発負担は大きい。一方でマスクコストの急騰を懸念する声も聞かれる。開発負担が増大する中では、マスク製造技術の非競争領域の開発には「国際間の技術交流、コンソーシアムの活動、足かせのない公的資金などのリソースが必要」(大瀧氏)との指摘もある。2005年4月、12回目を迎えるホトマスクジャパン 2005(PMJ、4月13〜15日)が、PMJ/BACUS/SPIE主催のもと横浜で開催される。大手マスクメーカー2社を有し、多くのマスク製造・検査装置メーカーを有する日本に、世界から技術者が集結する。今年、ホトマスクジャパン実行委員長を務める凸版印刷 大瀧雅央氏にマスク製造技術の最新動向を聞いた。
Semiconductor International 日本版(以下SIJ):90nmプロセスの量産が始まり、ArFリソグラフィが本格的に始まった。
大瀧雅央:ArFリソグラフィは露光装置光学系の開口数(NA)0.8前後の装置からすでに導入されている。マスク側では超解像技術(RET:Resolution Enhancement Technology)が採用されているが、マスク基板側ではハーフトーンが主流だ。OPCの導入も進んでいる。 
SIJ:塗布型やレベンソン型の位相シフトマスク(PSM:Phase Shift Mask)が提案されているが、導入はまだ?

大瀧:塗布型のPSMはほとんどないが、レベンソン型は高性能ロジック、最先端のデバイス用に一部使用されている。変形照明など露光装置側での超解像技術が多用されており、PSMを導入しなくともすでに解像度は高い。レベンソン型PSMなどを使用する最先端はまだ一部に限られている。
SIJ:一方でマスクコストの高騰が懸念されている。マスク製造インフラの効率化が必要なのか?
大瀧:マスク製造ラインでは、マスク描画装置の計画的な使用も行われている。また、ミニエンバイロメント化も進み、化学増幅型レジストの採用に伴うクリーン化も進んでいる。それよりもマスクコスト増大に直接影響しているのは、描画工程を主としたマスク製造装置のスループットによるところが大きい。確かにスループットは向上しているが、装置価格も上昇していく。加えてOPC適用によるデータボリュームは一昔前までは信じられないくらいの量になってしまっている。
SIJ:電子ビーム(EB)マスク描画装置よりも安価なレーザーマスク描画装置で、高解像度、高スループットを達成しつつある。
大瀧:あまり厳しくない中間層に関しては、レーザー描画装置がEBを置き換えることも考えられる。しかし、それはやっと始まったところではないか。OPCが適用されたパターンの描画はEBでなければ現状不可能だ。
SIJ:OPCは厳しい?
大瀧:90nmではセリフ型やハンマーヘッド型のOPCが多いが、今後はアシストバータイプなども増えていく。データボリュームは数十GB以上と非常に大きくなっている。描画装置、検査装置にこの大量のデータを送る必要がある。
SIJ:検査装置にもパターンデータが必要なのか?
大瀧:製造ラインでは、Die-to-Database比較の検査は必ず一回以上は入る。また、最先端のロジックなどではDie-to-Die比較ができないパターンも多い。
SIJ:現状、マスク製造プロセスで課題となっているのは?
大瀧:ドライエッチング装置でのCD均一性が問題だ。エッチングのムラが発生しており、高いレジスト選択比が必要だ。エッチング前の現像後ベーク(PEB:Post Exposure Bake)も非常にクリティカルで、高い均一性が求められている。装置はホットプレートの面内領域を部分的に調整可能にしたものを使用しており、さらに高精度に温度分布を一定に維持できるものが必要となるだろう。

Advertisement
SIJ:65nmノード対応のマスクの進捗状況は?
大瀧:65nm対応マスクは2005年内に完成し、半導体メーカーは2006年から2007年に各社65nmデバイスの量産を始める。65nmノード対応マスクは、技術的には判明している。PSM層の数が増えるとともに、PSMを導入するメーカーも増えてくるだろう。PSMではエッチングが厳しくなる。エッチストッパ膜がない状態で、高精度でばらつきなくエッチングする必要がある。例えば、露光波長が193nmのとき位相差が180°のマスクを作製する場合、位相差の誤差を1度以内、マスクの厚さを193nmとすると、約175nmをストッパー膜なしでエッチングしなければならない。ITRSの仕様を達成するためには誤差は±1nm以下に制御しなければならない。
SIJ:そして65nmノードでは液浸が導入される。
大瀧:液浸技術によりマスクが大きく変わることはない。今までの延長で平面度が厳しくなる。偏光効果があり、高NAでは画像が劣化する。マスク基板側では、複屈折を抑える必要がでてくる。マスクブランクスは、材料は変わらないがアニールを長めに行い基板内の歪みを低減できる。しかし、この方法では材料コストが高くなってしまうため、安価な方法も考えなければならないだろう。また、液浸露光装置では、露光光学系がマスクの複屈折に敏感になってしまう。一方で焦点深度、MEEF(Mask Error Enhancement Factor)に対する影響は少しだけ楽になるだろう。楽と言っても、微細化は継続して進んでいるため、要求値が緩和されるわけではないが。液浸技術に関してはPMJにおいても露光装置のNA1.0以上のいわゆるハイパーNAに関するパネルディスカッション(4月14日午後6時40分より)を開催する。興味深い議論がなされるだろう。
非競争領域では業界の連携が必須
SIJ:その先のNGL(Next Generation Lithography)は?
大瀧:ArF液浸がこのまま完成すれば、F2ドライはない。F2はペリクルの問題が解決しておらず、しばらくは考えなくていい。F2液浸かEUVかという議論になると思われる。あくまでも私見だが、電子ビーム(EB)リソグラフィ技術のEPL(Electron Beam Projection Lithography)やLEEPL(Low Energy E-beam Proximity Projection Lithography)などのEBリソグラフィの良いところもあると思う。焦点深度の問題をクリアでき、コンタクトホールの形成なで一部のプロセスではメリットが大きい。位置合わせ精度など他の付随する問題もあるが。

 EUVマスクは、パターン形成に関しては今までの延長であり、OPCも必要ない。課題はマスク検査および修正だ。ナノインプリンティング技術に関しては、PMJにおいても発表がいくつかあるが、半導体プロセスへの使用では、欠陥の低減など乗り越えるべき問題がある。ナノインプリンティングで使用されるモールドはPSM構造の製造技術が適用できるのが分かっている。
SIJ:マスク製造技術で注目するのは?
大瀧:PMJ発表予定から見ても、今年は製造装置関連の論文が少ない。装置開発は一段落したということだろう。例えばOPCデータの準備に関するものなど、プロセスに近いところの開発が活発化しているようだ。
 マスク製造業界はEB描画装置やリペア装置など日本の装置メーカーが中心となって活動している一方で、マスク用製造装置の市場規模は半導体製造装置産業の市場規模の1〜2%しかない。製造装置メーカーも少なく、一方で開発に必要なリソースが増大してしまっている。今後、マスク製造に関する要素技術で非競争領域のものについては、共同開発やコンソーシアムによる開発活動、そして足かせのない公的資金の注入が必要とされていると思う。
(聞き手:高橋 潤)


HOME | SI(日本版)について | 無償配付申込・変更 | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載について | 関連サイト