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2005年4月号
Inspection, Measurement & Test
赤外光で「ボトル」トレンチの形状を計測する
Alexander E. Braun
* * * *

 設計寸法(CD)値が90nmになる以前には、トレンチキャバシタのDRAMを製造している半導体メーカーは、垂直なトレンチキャバシタを形成することで十分な容量を確保していた。微細化が進むにつれて、トランジスタ形成領域を抑えるために、基板方向に深く構造を拡張していった。以前はデッドスペースと考えられていたが、現在はボトル形状のキャパシタが形成されている。

図1 DRAMのボトル形状のトレンチキャパシタの物理構造とモデルベースの赤外光計測に使われる光学モデル(出典:米Philips AMS社)
図2 DRAMのボトル形状のトレンチを計測した時の反射光の計測値とデータベースにある反射波スペクトルの重ね合わせ

プロセス上、この構造の寸法を計測することが大変重要になってくる。DRAMメーカーはアスペクト比50以上のトレンチキャパシタを管理できるような計測手段を持たなければならない。
 これまではトレンチの深さの計測をするのに汎用のFTIRが使われていた。試料からの反射光を高速フーリエ変換し、その干渉模様の周期から算出する。この方法はトレンチCDがそれほど小さくなく、トレンチ形状が上部から底部までほぼ同じ場合には十分に機能していた。しかし90nmになると、トレンチ形状が上部より底部の寸法の方が大きくなっているため汎用のFFTで十分に計測することができなくなった。完全にスペクトルをモデルベースでフィッティングすることが必要になり、それに伴って高速に処理できるようなアルゴリズムも必要になった。
 IR分光偏光解析法で実際に計測する場合には、非常に誤差を生じやすいため熟練のオペレータが必要になる。また、製造現場で使用するためには大きなスポットサイズやパターン認識も重要である。パターンの付いていないウェーハを計測する場合、特定の場所を探す必要がなかったため、スポットサイズの大きなFTIR装置は非常に有効だった。しかしこれらの測定装置は、DRAMのトレンチキャパシタを計測するには性能が十分ではない。それは、精度よく測定を行うには正確にスポット光を当てなければならないからだ。そうすると次に、トレンチ形状の測定にはAFM(Atomic Force Microscope)が頭に浮かんでくるが、トレンチキャパシタのアスペクト比が高いため計測が複雑になる。ボトル形状になっているため、プローブの先端を簡単に当てることも難しい。光波散乱計測もSiを深くエッチングされたトレンチ形状を把握することが難しい。SEMで断面観察を行って計測する方法も、トレンチキャパシタ構造を正確に割ることができないため困難だ。もし、不適切な場所で割って寸法を測定しても、不正確な値または役に立たない情報しか得られない。
 米Philips Advanced Metrology System社は、これらの問題を解決した。既存のレーザー表面波計測装置にモデルベースの赤外光反射測定(MBIR:Model-Based Infrared Reflectance)という新しい機能とアルゴリズムを追加した。MBIRテクノロジは複雑な計測が必要とされているSiGeやSOI(Silicon on Insulator)などの基板やデバイス構造にも使える。
 IRで計測できる理由は、SiがIRを透過させるためである。このため、偏光解析計測でも反射計測でも、IR反射光で構造全体を計測することができる。光の波長に比べてトレンチの寸法が小さく互いに近接しているため、トレンチエッチングされたSiが、薄膜の堆積物のように有効媒質と捕らえられる。比較的に単純なモデルで、膜の誘電関数や屈折率を空隙率と相関付けることができる。

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 装置は試料からのIR反射光からUV可視反射計測装置に保存されている干渉パターンと類似した干渉パターンを取得する。その後、基板の後方からの光を遮断して、基板全体から干渉を取り除く。厳密なモデルベースの解析により構造パラメータを多く計測することができる。反射IR光には膜厚だけでなくトレンチ側面の寸法情報もが含まれている。
 この新しい計測装置は完全自動測定に対応し、標準的な測定レシピを使った場合のスループットは45枚/時で、再現性は0.25%以下となっている。トレンチキャパシタ構造を計測できる初めての装置と言えよう。

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