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2005年5月号
半導体業界のホリエモン騒動
日本版 編集ディレクター
津田建二
* * * *
 半導体産業の古い体質が問題にされている。製造装置が納入されても代金がすぐには支払われていないという問題だ(Semiconductor International日本版3月号、p.14)。従来は商習慣という言葉ですまされてきた。時代遅れになっても日本の商習慣だから従わなくてはならない、と言われてきた。折しも、ライブドアがニッポン放送の公開株を買い、経営権を手に入れるという「事件」が起こっている。今の半導体産業の状況と似ているかもしれない。

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 株式市場に上場され公開されている株は誰でも自由に買える。大量に買ったから経営に参加できるというだけの話である。市場経済の社会で株式市場が開かれている限り、誰でも参加できる。いわば、開かれたコミュニティでの取引のはずだ。
 しかし、企業対企業だけの閉じられたコミュニティで企業買収の話があると表沙汰になることなく受け入れられてきた。もちろん、企業に参加しているのは血の通った人間であり、従業員である。では、閉じられた社会では人間を大事に考えられてきただろうか。商習慣という言葉で片づけられてきたのではないだろうか。従業員の意見をまだ聞いていないホリエモンへの批判が高まっている原因の一つはこの点にある。
 しかし、閉じられた社会での取引が良くて、開かれた社会での取引はだめか、というと必ずしもそうではない。閉じられた取引での企業買収合併の結果、元の企業同士が結託し、元他企業の人たちを追放したという話は、これまでの歴史の中で枚挙にいとまがない。ライブドアが悪くてソフトバンクがよいという保証は何もない。
 ただ、ライブドアが商習慣という日本の古い取引形態に風穴を開けた功績は大きい。実は、株式市場に上場するという社会的責任の意味を、日本企業の典型である西武グループでさえ知らなかった、ということも最近わかった。開かれたコミュニティで取引するルールを大の大人(西武グループやフジテレビ)が知らなかったのである。

 今、古い商習慣に問題があったことがはっきりした以上、売り手と買い手の双方に有利な新しいルール作りに取り組むべき時期が来たように思える。半導体製造装置の代金支払い遅れの問題は、これまで日本的な商習慣として片づけられてきた。古い商習慣を見直すという意味で、この問題はまさに半導体業界におけるホリエモン騒動と位置づけられるのではないか。
 今回、読者からもこの問題を指摘してきたため、編集部では「Engineer's Voice」というコラムを設置し、積極的に読者の声を掲載することにした。採用の方には、薄謝を差し上げることも決めた。読者からの異論、反論を大いに期待したい。
ご意見を
聞かせてください
Semiconductor International日本版編集部では日本の読者の皆様からのご意見や反論をお待ちしております。下記メールアドレスまでご連絡ください。採用分には薄謝を差し上げます。
editor-si@reedbusiness.jp
■双方に害あって利のない悪習
 首題の記事(Semiconductor International日本版3月号、p.14)を興味深く拝見しました。 私は以前外資系装置メーカーに勤務していたことがあります。これは米国本社の経理になかなか理解が得られない大きな問題でもありました。Book-to-bill比が悪化してくるとベンダー側の経営と資金繰りまでも歪ませる問題です。 検収5ヶ月後払いといった長期支払サイトはいまだに普通に存在しています。それも支払い資金繰りに困るはずもない大手デバイスメーカー数社です。ただし下請法を恐れごく少資本のベンダーには翌月現金などで支払うようです。
 自社金融子会社でファクタリング(注:企業の売掛債権を買い取り、自己の危険負担で債権の管理・回収を行う金融業務)させるところもありますが、ファクタリングすら許可しないメーカーもあります。わけのわからないところに自社手形が出回るのを避けたい、という理由です。前述の支払いサイトの場合、ベンダーの営業としては相当する期間の金利分を見積もりに上乗せするので、その分装置価格は高くなるわけです。これはデバイスメーカー側からしても全くもって無駄です。 また悪質な場合は、些細な技術的残件を理由に延々と検収をあげず、しかし客は装置を早々と生産に使用することがあります。
 ベンダー側が残件対応のためサービス員を派遣しても生産中のため装置が止められないという理由で対策させてもらえず、さらに検収が先に伸びるというケースも。いわば引き渡し前の「立ち上げ中」装置で生産し利益を得ているわけですから、これは税法上問題があるのではないかと思います。
 検収が上がらない理由としてこの背景を議事録に残そうとして客に阻止されたこともあります。
しかし、客との以後の取引関係も考えるとなかなか糾弾できないのがベンダー側の実情でもあります。 このような商慣習は日本だけであり、なぜいまだにまかりとおっているのかが全く理解できません。
 日本には客とベンダーの主従関係が隠然と残っており、双方に害あって利のない悪習と思います。
(匿名希望、神奈川県横浜市、36歳) 
編集部注
Semiconductor International日本版3月号、p.14 Industry Watch「装置代金の支払い遅延で競争力低下が懸念される国内半導体メーカー」は、弊誌ウェブサイト http://www.sijapan.com において全文の閲覧が可能です。

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