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2005年5月号
新世代電源でCoOを削減、歩留まりを向上
Bruce Fries,
米Advanced Energy Industries社
www.advanced-energy.com
 新しいDC電力制御・変換装置(PCC:Power Conversion and Control Equipment)は、応答時間を高速化し、均一性を向上させながら、歩留まりの重大な懸案事項であるアーク放電を防ぐことができる。また、世界各国で利用可能なあらゆるレベルまたは品質の電力を供給することもできる、真の「グローバル」な電源だ。この広範囲な電力供給によって、プロセス間の柔軟性、装置の信頼性を向上する。さらに欠陥を最低限に抑えて歩留まりの改善を実現する。
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プロセスの柔軟性が高いということは、工場効率が向上するということ
 近年、製造装置メーカーが置かれている状況は厳しい。半導体メーカーは最新のプロセスを短期間で欲しがり、装置メーカーに対しプロセス開発へのさらなる投資を求めている。同時に、全体の所有コスト(CoO :Cost of Ownership)を低く抑えるために、高いスループット、高い歩留まり、高い信頼性、そして低い運営費を要求している。また、拡張性を持ち、幅広いプロセスを処理する能力までも求めている。もちろん、できるだけお金は払いたくないというのが条件だ。
 世界市場を相手にすると、状況はさらに厳しくなる。CoOが低いだけでは不十分で、装置にはその地域の水質や水が使えるなどだけではなく、電圧、信頼性、電力もさまざまな地域で対応できなければならない。
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 プロセス装置メーカーが研究開発予算の削減に直面している今日の経済環境では、状況はより複雑だ。そして、技術的な要求に対応することはますます難しくなる。微細化が加速する中で、新たな装置を研究所から生産環境へと早く移行させることがなおのこと重要になってくる。
 CoOの削減は実際の競争力となるため、装置メーカーが常に製品のCoOを削減する手段を模索するのも無理はない。米Advaned Energy社が提供する新世代のDC電力変換・制御装置(PCC:Power Conversion and Control equipment)は、プラズマプロセス装置にさまざまなプロセスに対応する広範囲の電力を提供できる。また、装置のコストや運営費を低く抑え、歩留まりや信頼性を上げることで、装置のCoOを削減することができる。
 広範囲のプロセスに対応するために、この新世代PCCは300〜1300VDCという幅広い電圧範囲でフルパワーを提供する。すばやくアーク放電を処理し、歩留まりを最大に保ちながら低インピーダンスのプロセスに対して超高電流を提供しなければならない。北米、欧州、アジア太平洋地域で見られるさまざまな電圧に対応し、力率0.94以上、作業効率90%超、入力エネルギーを保存可能な設計機能(「電力供給一時停止」時の電源の信頼性を確保するために必要)により、高度なPCCは工場管理に確実に貢献できる。柔軟な通信プロトコルの装備することで、研究所から生産環境への移行も簡単だ。
 広範囲な入出力電圧の条件に対応するPCCは、装置メーカーのあらゆるプラズマ装置の電力を提供できる。これはプロセス上の必要事項や利用地域を問わない。これにより、装置メーカーは装置が設置される地域別に設計を施す必要がなくなる。言い換えれば、構成部品在庫を削減することができるのだ。装置の設計を簡略化し、構成部品の在庫を削減できれば装置コスト削減にもつながる。この結果、装置メーカーは、二つの意味で競争力を上げることができる。一つは、プロセス装置の価格を下げられる。もう一つは、これにより購入するデバイスメーカーにもメリットを与えられることだ。

アーク放電こそが歩留まりを低下させる最大の要因

工場にとっての利点

 この新世代PCCを搭載した装置を導入する工場は、資材管理の簡易化、運営費の削減、歩留まりの向上、信頼性の向上により、装置のCoOを削減できるという大きな利点がある。

 資材管理の簡易化―資材管理は複数の方法で簡易化される。プロセスの柔軟性を上げることにより、工場で必要な装置の種類が少なくさせる。これにより予備部品の調達や在庫管理が簡単になり、最終的に工場で必要な電源の種類は少なくできる。さらにこのプロセスへの柔軟な対応により、工場の効率を上げることができる。これにより、工場管理者は、収益を最大限に上げるという使命を与えられているため、これまで以上に製造に専念することができる。

 運営費の削減―この新世代PCCが提供する高い力率と電力効率により、ツール運営費の削減し、収益性を向上させることができる。工場管理者ならよく知っているように、工場の生じる力率が0.90を大幅に下回ると電力会社は高い追加料金を課すことが多い。場合によっては、前世代電源の力率は0.70前後となり、次世代PCCで利用可能な力率0.94より25%も低い。力率が0.94よりも高ければ、工場の光熱費を大幅に節約することができることになる。この結果収益性も向上させることにもつながる。

図1 左に示す隕石状欠陥などの基板のアーク放電損傷は、歩留まり上の大きな懸案事項である。プラズマから基板に対するアーク放電の様子を右に示す。

 高い電力使用効率―新世代PCCでは90%を超える。これにより、工場の冷却装置を通じて熱として放出しなければならない「無駄な」電力を減らし運営費を削減することができる。冷却装置に対する需要を低下させるということは、ここでも光熱費が安くなるということだ。さらに、この高効率ゆえにこの新しいPCCは水冷ではなく空冷が可能となっている。これもやはり装置の設置を容易にし、また工場内の水循環装置や浄水装置が不要になるためさらに運営費の削減にもなる。また、水冷装置が不要になれば、工場内の占有スペースも節約できる。
 さらに力率と効率の向上により、工場内ではより細いケーブルや小さいブレーカ・スイッチが利用できるようになる。工場で使用される延々と続くケーブルや数百個のブレーカやスイッチを考えると、大きな節約ができることは明らかだ。

最新PCCはアーク損傷を低減するオプション機能を提供

 歩留まりの向上―新世代PCCでは、非常に高い精度でプロセスをオン・オフするタイミングを再現できるだけでなく、優れたアーク放電管理、電力安定性の改善、そして高いレベルでのRun-to-Runの均一性を提供でき、歩留まりを向上させることができる。
 言うまでもなく、アーク放電は歩留まりを低下させる大きな要因の一つだ。アーク放電は、プラズマプロセスで発生する高電流密度の放電であり、電極や基板、チャンバ壁の表面は十分に高温になっており、電子が熱的に作用するためである。通常、アーク放電時間はマイクロ秒から数ミリ秒であるが、まれに火が燃えるようなアーク放電が連続しておこることもある。この現象はしばしば歩留まりの損失につながり、装置を損傷することもある。新しいPCCでは、柔軟にアーク放電管理制御を行うことにより、複数のプロセスに渡ってアーク放電の影響を最小限に抑えることができる。例えば、マイクロアーク放電の場合の停止時間は5から25マイクロ秒、強力なアーク放電の場合の停止時間は30マイクロ秒から40ミリ秒、アーク放電検出しきい値は20〜400VDCである。さらに、最先端のPCCと現在業界標準となっているPCCを比べるとアークエネルギーは1/4以下になっている。(例えば、最先端PCCでは0.3mJ/kwであるが、現在のPCCでは2mJ/kwである)。この機能により、膜表面上の「隕石」状の基板損傷を防ぐことができ、歩留まりを向上させることができる。
 図1はアーク放電によって生じた基板上の「隕石」状欠陥と進行中のアーク放電を示している。図2はPCCによるアークエネルギーと旧世代電源のアークエネルギーを比較している。
 さらに、最も高性能のPCCでは、アーク放電による損傷を軽減するオプションを設定することが可能になっているため、歩留まりをさらに上げることができる。モザイク模様になっている複数のカソード電極に電力を供給し、プロセスチャンバ内でプラズマを生成しても、この機能を使えば同時に制御することができる。このような場合、アーク放電を起こしたカソード電極が停止した後もアーク放電が周辺カソード電極からのエネルギーを引き付け継続する恐れがある。アーク放電が発生すると、この機能が放電を起こしたカソード電極だけでなく周囲のカソード電極もアーク放電が持続しないように制御している。1つのチャンバ内で複数の操作を可能にしたことにより、大面積の基板でも均一性を確保し、全体的な目標コストを最適化することができる。同時に、特定のプロセスに対してさらに高い性能が必要になったとしても、マスター/スレーブのオプションがあるため一つの大きなターゲットを大電力で実行することができる。

図2 既存の電源と新世代電力変換・制御装置(PCC)が供給するアークエネルギーの比較

 ウェーハ間の均一性は、メタルのスパッタリングプロセスでオン・オフのタイミングの再現性に影響する。慎重な制御を行わなければ、装置コントローラの通信遅延により蒸着速度が不均一になり歩留まりに悪影響が出る。電源はプラズマに直接接続されているため、装置のコントローラが供給電力の制御に使用されている場合には電源により時間の遅延を最小限に抑えることができる。新世代PCCには、チャンバに供給される実効のエネルギー(W秒またはJ)を測定できる機能が備えられている。このため、アークの履歴や電力供給時の立ち上がりのアルゴリズム、その他のプロセス変動のような要因も明らかにすることができる。測定が終了すると、PCCは自分で電源を切る。この「供給エネルギーのカウントダウンタイマー」(ジュールモードとして知られている)は、1ミリ秒ごとに設定が可能である。PCCは1ミリ秒前のことも記憶し、すべてをレポートできるようになっている。結果として、測定系が正確であれば各プロセスごとに正確な量のエネルギーを供給できるため、ウェーハ間で均一な蒸着が可能になっている。この機能は、超薄膜を蒸着する際に特に有利となろう。

一般的に、非モジュール式電源の交換は2時間、
新世代PCCの交換は15分程度

 信頼性の向上―信頼性を向上させるため、PCCの開発に際して、信頼性レベルを引き上げるべく加速寿命試験や環境ストレスについて調査を行っただけでなく、新しい分析ソフトウェアや試験に十分な投資を行った。さらに、装置の停止時間を減らすため、日常保守を簡略化し、電源に万一のことがあった場合でも停止時間を最低限に抑えられるようなモジュール設計を採用している。このようなモジュール設計で工場の保守要員に適切なトレーニングを行えば、装置メーカーのサポート担当者の到着を待たずに現場の工場作業者が必要に応じてモジュールを交換し、ツールの運転を再開することができる。一般的に、非モジュール形式の電源全体の交換には2時間かかっていたが、新世代PCCモジュールの交換には15分程度しか要しない。

真の「グローバル」な電源

 新世代PCCは、半導体またはその他メタル蒸着を必要とするあらゆる業界にCoOで大きな利益を与える。世界各国で利用可能なあらゆるレベルまたは品質の電力を供給することができ、業界に真の「グローバル」な電源を提供する。この広範囲な電力供給によって、プロセス間の柔軟性も上げられる。さらに、このPCCを使用すれば、装置の信頼性を向上させ、工場および装置の維持費を削減し、資材の保守が簡単になるという利点もある。おそらく最も重要なのは、装置がウェーハ間でプロセスの均一性を向上させ、欠陥を最低限に抑えて歩留まりを改善できることだろう。

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Bruce Friesは、1994年に米Advanced Energy社に入社し、同社が開発してきたすべてのDC電源プラットホームを扱っている。Advanced Energy入社前には、潜水艦将校として7年間米海軍で勤務した。ウィスコンシン大学電気工学部にて理学士、米カトリック大学工学部で理学修士を取得している。
E-mail: bruce.fries@aei.com

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