無償購読申込・変更
Email Newsletter登録
記事検索

検索方法の詳細



2005年5月号
Yield Management
微小電流検出技術はアトオーダーまで進化
欠陥の早期検出が可能に
Kazuo Tsuchiya
* * * *

 2005年に入り65nmプロセスの量産準備が加速している。今日の半導体製造では微細化に伴う物理的欠陥や電気的欠陥による歩留まりの低下が大きな問題になっている。このため、欠陥や不具合を早期に検知し、歩留まりを改善していくことが、製造コストや生産能力、製品の投入などの面からも重要な課題になっており、半導体プロセスを構築する上でパラメトリックテスタによる評価の重要性が増している。
 このような中、テスターメーカーが慌ただしさを増している。アジレント・テクノロジーはパラメトリックテスタ「Agilent 4076ウルトラ・アドバンスド DC/RF/パルス・パラメトリックテスタ」と「Agilent 4075アドバンスド DC/RF/パルス・パラメトリックテスタ」2機種(図1a)と、半導体デバイスアナライザ「Agilent B1500A」(図1b)を発表した。

図1a アジレント社製パラメトリックテスタ4075/4076
図1b アジレント社製半導体デバイスアナライザB1500A

 Agilent 4075/4076は、従来の「Agilent 4070」シリーズに、HFCV/RFCV測定やRF Sパラメータ測定、超短パルスによるIV測定を可能にするオプションを追加し、主にプロセス開発から量産・製造ラインに向けたパラメトリックテスタとなっている。Agilent B1500AはIV測定とCV測定を統合したいわゆるボックス型のアナライザで、主にR&Dでパラメータ特性評価や解析を迅速に行えるように開発された。
 米Keithley Instruments社は従来のS600シリーズにRF測定を追加したパラメトリックテスタ「S680」(図2)を発表した。分解能が0.1フェムト(100アト)Aおよび0.1マイクロVとなっており、40 GHzまでのRF Sパラメータの測定をサポートする。

薄膜の測定

 これまでゲート酸化膜の管理には酸化膜換算膜厚(EOT)が使われてきた。測定対象デバイスのインピーダンス(Z)は抵抗(Rp)と容量(Cp)の並列モデルで表せる。微細化に伴ってゲート酸化膜が極薄化するとCpが小さくなり(リーク電流が増大)、Rpに測定信号が流れてしまうため、従来の方法では正確な容量測定が困難になった。極薄ゲート酸化膜に対して正確な容量測定するには、測定周波数を上げて相対的にCpに電流が流れるようにする必要がある。
 アジレントは従来のパラメトリックテスタに110MHzまでのHFCVと8.5GHzまでのRFCVの測定機能を標準オプションとしてAgilent 4075/4076に追加した。KeithleyのS680では最大40GHzまでのRFCV測定をサポートできる。「薄膜容量測定やRFCV測定などは、90nmプロセス開発の辺りから要求としては出始めていたが、65nmプロセス開発でそれがより強く顕在化してきた。RF測定自体は、VNA(Vector Network Analyzer)を使ってデバイス開発などで一般的に行われていたが、パラメトリックテスタを使ってウェーハ上で自動測定を行うためには、測定経路や校正、プローバの制御など克服すべき問題が多くあった。これらを解決するために、RF用のダイレクトドッキングインターフェースや専用のソフトを開発した」(アジレント)。
 また、パラメトリックテスタ以外にも、光学的な測定法やX線を使った測定方法で薄膜の評価ができるが、それなりに課題を抱えているようだ。例えば、光学的な測定の場合、測定波長を短くしていけば膜厚への感度を上げることができ、また光学系の測定器は、スループットも高いためインライン管理によく使われるが、極薄膜に対してそれほど感度は高くない。また、高精度のフィッティングモデルを作るには、複雑なシミュレーションが必要になる。XRFやXPS、ESXなどX線を使った膜厚だけでなく密度や組成情報も得られる測定方法があるが、安全に対する特別な配慮やコストが必要になるだけでなく、材料へのダメージを与える可能性があるため、それほど生産ラインに採用されていない。

RF測定に職人技は不要

図2 Keithley社パラメトリックテスタS680

 パラメトリックテスタでRFCV測定を行えばいいと単純に考えがちであるが、これまではRF測定を正確に行うためにはいわゆる職人技が必要だった。手動で操作していたため、プローブの接触の具合で測定値が変わってしまう。RF測定のスペシャリストが測定データを見て、どこかおかしいところはないかを経験に基づいて判断する必要があった。
 また、プローブのオーバードライブ量も管理する必要がある。「測定アルゴリズムが組み込まれているため、RF測定前にオーバードライブ量を増やしながら接触抵抗を確認し、規定値になるまで自動サーチが行えるようになった。また、プローブカードの交換も自動で行える機能を搭載している。ボタンを二つ操作するだけで交換から校正までを約5分程度で自動的に行える。これにより誰が測定してもほぼ同じ測定結果が得られるようになった」(Keithley)。
 同様に、Agilent 4075/4076でも、RF測定を行うためのソフトウエアを内蔵しており、プローバ上での校正標準のロードやコンタクト位置の指定、キャリブレーションの実施などが簡単に行えるようになっている。これまで、測定が困難だったRF測定もどうやら身近なものになってきた。
 さらに、通信向けデバイスや高速ロジックデバイスでは、従来のDCデバイスパラメータだけでなく、RF Sパラメータの測定もパラメトリックテスタに要求されている。しかも、測定するパラメータが多数あるため、高速に測定しなければならない。仕様書によると、Agilent 4075/4076では20GHzまでのRF Sパラメータを測定でき、KeithleyのS680では40 GHzまでのRF Sパラメータの測定をサポートしている。

超短パルス測定

 ブロードバンド時代では、動画や音声などの大容量データ通信が増大しており、一つのチップ上に高性能のMPUと大容量メモリーを同時に形成したDRAM混載システムLSIの需要が高まっている。このような状況の中、MPUの動作速度を上げるためにバルクSi基板からSOI(Silicon on Insulator)基板への移行が始まっている。
 SOIウェーハは、トランジスタ周辺が絶縁体で囲まれているため、トランジスタへの寄生容量をバルクSiに比べ約30%も低減できる。その結果、SOIはバルクSiに比べ高速化が可能になり、消費電力も低減できる。
 しかし、SOIウェーハは測定中に自己発熱の影響を受けやすく、従来の測定方法では加熱を防ぐことが困難になっていた。この問題を克服するため、アジレントはAgilent 4075/4076に最小10ナノ秒の超短パルスIV測定機能を搭載し、SOIデバイスの正確な評価を可能にした。また、Si界面で電荷トラップ密度(Dit)が高く、測定中の印加電圧に影響を受けやすいHigh-k絶縁膜の測定も超短パルスのIV測定により可能になった。
 特に、High-k絶縁膜の成膜技術は、依然と界面欠陥の問題を多く残しているためまだ確立していない。そのため、High-k絶縁膜の評価の中心はその界面に関心が移ってきている。これまでにもパルス印加時に界面準位を介して流れる電流値から欠陥密度や分布の評価が行われてきたが、最高でもマイクロ秒のパルスであったため十分とは言えなかった。しかし、超短パルスのIV測定により高精度な測定が可能になった。

Advertisement
微小電流検出はアトオーダーへ

 65nm以降の先端デバイスでは、リーク電流やオフ電流などの微小電流を測定するためにフェムトA以上の検出感度が必要になっている。また、ロジックデバイスの配線工程で使われているCu配線は抵抗が低いため、マイクロV以上の検出感度が必要だ。配線工程の良し悪しが製品歩留まりに大きく影響するため、プロセス管理が重要になっている。特にビアコンタクトのオープン不良だけでなく、ビア底のポリマー残渣などによる配線抵抗のばらつきも重要な管理項目になっている。
 このため、微小電流の検出感度の向上が必要不可欠になっているが、KeithleyのS680の分解能は0.1フェムト(100アト)Aおよび0.1マイクロVとなっている。一方、アジレントのAgilent 4076の分解能は1フェムトAおよび0.1マイクロVとなっており、B1500Aと併用すれば0.1フェムト(100アト)Aの検出も可能だ。今後、導入が検討されている新材料の膜の状態や組成の解析にも十分使用できる分解能を備えている。

HOME | SI(日本版)について | 無償配付申込・変更 | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載について | 関連サイト