最近主要半導体メーカーは、最先端半導体チップの製造や開発にはウェーハレベルのRF測定が必須であると認識してきている。これについては、ある程度2003年のITRS(International Technology Roadmap for Semiconductor)の技術ワーキンググループにおいても「コンパクトなRFモデルのパラメータを抽出することがRF測定を簡略化するよい方法であり、パラメータは標準のI-V測定やC-V測定から必要に応じてシミュレーションで補った抽出を行うべきである」と述べられている。
標準のI-V、C-V測定では、非常に薄い酸化膜の容量(Cox)を測定することができない。なぜなら、リーク電流が多く非線形な特性を持つからである。しかしながら、高周波回路モデルを使えば正確なパラメータ抽出が可能になる。技術ノードが65nm以降に進むにつれ、高性能/低コストのデジタルRFデバイスやアナログ/ミクスドシグナルデバイスで使われるデバイスでこのような要求が増大してきている。
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新しいパラメトリックテストシステムは、高速かつ正確に再現性のあるRFパラメータ抽出をDCテストと同様に簡単に行えるようになった。最も重要なことは、RFテストの測定の完全性は、自動校正やテストデバイス(DUT)の特性に基づいたパラメータ抽出、プローブの接触特性の自動調整により確保される。これらの技術の開発によりRF測定技術の専門家が不要になり、信頼性のある測定結果を得ることができるようになった。
RFテストの応用
化合物半導体ウェーハ基板を使った携帯電話向けのRFデバイスやバルクSiウェーハ基板を使った高性能アナログデバイスの製造で最終製品の特性や信頼性の予測をするには、開発段階や生産段階でウェーハレベルのRF Sパラメータの測定が必要である。これらの測定はDCデータに付加される重要なデータであり、DCだけの測定よりも少ない測定でより多くの重要な情報を得ることができる。実際にDC測定は、個別に情報を得るために何回かに分け、テストデバイスを別々に測定しなければならないが、2ポートのRF Sパラメータの測定を1回行うだけで、抵抗やキャパシタンスなどのパラメータを抽出することができる。
このテストシステムのもう一つの応用例にパワーアンプRFデバイスの機能テストがある。パワーアンプRFデバイスは非常に複雑だが、価格は安くしなければならない。通常、電力消費が大きくてウェーハレベルでのテストができないような生産ラインでも、低バイアス条件にした高周波テストなら可能になる。デバイスが不良であることが事前に分かれば高価なパッケージを無駄に使わなくても良い。また、ウェーハレベルテストでKnown Good Die技術を適用すれば、RFデバイスに使われるモジュールの歩留りを著しく改善することができる。
130nm以降の微細な高性能ロジックデバイスでは、薄いSiO2やHigh-kゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚(EOT)の測定が困難になっている。RF測定はC-V測定の寄生成分を除去できるため、従来の2端子モデルからは正確に測定できない絶縁膜のモデル化に重要な役割を担っている。中または高周波のキャパシタンス測定(MFCV、HFCV)ではシリーズ抵抗を含んでしまい、もはや正確な測定ができなくなっている。
標準I-V/C-V測定における注意点
I-V/C-V測定とともに、Sパラメータデータから抽出したRFパラメータは、設計エンジニアが製品開発の際のシミュレーションモデルに使われている。最新の設計ツールでは一組のパラメータセットではなく統計モデルが必要になっている。この統計モデルを使えば歩留りや性能の最適化が行える。もし、I-V/C-Vパラメータが統計的にモデル化され、RFパラメータはモデル化されていなければ、そのモデルは物理的でなく、信頼できないものとなってしまう。
インダクタンスが入っている場合、I-V/C-Vデータだけでは非常に限定的な使用しかできない。しかし使用周波数でのQ値を測定することでインダクタンスの値を制御パラメータとして十分評価することができる。I-V/C-V測定における注意点は、それが製品性能の主な指標である場合と、そうでない場合があるということを理解しなければならないということである。多くのアナログや無線デバイスの主な性能指標はFtとFmaxである。これらは、抽出されたRFパラメータであり、理想的には使用周波数の3次の高調波以上まで測定しなければならない。デジタルデバイスやメモリーに関して、シミュレーションモデルが単純である場合、能動や受動素子に対するI-V/C-V測定が主要な測定になる。しかしすでに述べたように、ゲート絶縁膜の測定はC-V測定にとって複雑になってきている。
RF測定/RF C-V測定の採用を嫌がる理由
信頼性のない測定では歩留り管理ができない。測定が悪いと正常なデバイスでも誤作動と判定してしまう。生産環境では、このことはウェーハが不当に廃棄されることを意味する。誤解を招くようなITRSの情報や、長い間RFモデリング開発がうまくいかなかったという事実が重なったり、現場のエンジニアはRF測定を導入すると不良率が高なると信じたことが、生産現場にRF測定を導入する妨げとなった。
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図1 回路モデル
テストに用いられたMOSFETの簡略化した回路モデル。Coxの測定時に考慮すべき要素は、コンタクトパッドとリード線との寄生容量(Cp)、コンタクト抵抗(Rc)、リード線インダクタンス(LL)、チャネル抵抗(Rchan)とオーバーラップ容量(COV)である。(出典:米Keithley Instruments社) |
信頼性のない校正と接触抵抗の問題から繰り返し測定が必要であったため、前世代のRF測定システムが低スループットだった。また、従来の測定システムの校正は異なる測定周波数に対しては適用できないという問題もあった。高い作業コストは、金で出来ている校正基準にマニュアルでプローブしなければならなかったことに起因していた。校正基準は、柔らかなパッドと高価なRFプローブから成り、過度にこするとRFプローブの先端が早く摩耗してしまう。ウェーハレベルのSパラメータ測定には特殊なプローブとチャックが必要であると考えられているが、これは間違った認識である。
その他の生産ラインにおけるRF測定の問題点は、
・広範囲なテスト構造の変更が必要なこと
・結果が不安定で、測定器や操作者ごと、日ごとに変わってしまうこと
・RF測定の専門家がすべての測定器の面倒をみなければならないこと
・異なるロット工程や作業フローが必要になるかもしれないこと
・リアルタイムに行える技術とは言いにくいこと
・研究室レベルの結果と異なることが多いこと
生産ラインにおける解決策
ウェーハレベルのRFテストを生産プロセス管理装置として導入の鍵になるのは全自動測定である。これはロボットがウェーハや校正基準、プローブカードなど必要なところまで動かなければならないことを意味する。言い換えれば、テストシステムを設計する上で大きな目標は、人手を介さずにすべてのデータを取得できるようにするということだ。
現在利用できるようになった第3世代のテスターはこの種の操作が40GHzまで可能である。アプリケーションの変更により6から65GHzまで対応できる。
第3世代のテスターは、DUTの特性に応じて自動的に必要な測定パラメータを抽出することができる。これはCoxやFmax、Qなどの信頼できる結果を得るには、技術的に非常に困難である。これらのアルゴリズムは、改善した配線技術と自動化した校正機能と組み合わせれば、Sパラメータ測定から高速で正確なRFパラメータを抽出することができる。
安定に測定でき、誤差範囲の分かったデバイスのデータから作られたスミスチャートには物理的に説明できないような誤差が含まれない。つまりこれらの結果を解析したり、解釈したりする専門家は不要になる。従来のシステムでは、RF測定の専門家がデータ(たとえばすべての測定カーブ)を監視し、予想と異なる結果が出ていないか探し、もし出ていた場合にはこれらを解析して測定の異常かプロセスの変動かを判定しなければならなかった。
第3世代のパラメトリックテスタでは設計が見直しされ改善されているため、RF測定データを常時監視することが可能になり、RFの専門家を必要としない。このシステムを適用すれば、異なるフロアの生産作業者は、幅広く製品や生産ラインの装置からリアルタイムに再現性のあるデータをとることができる。RF測定がDC測定をするのと同様に簡単になったため、ウェーハレベルでデバイスの測定が行えるようになった。実際に、第3世代のシステムではDC測定とRF測定を同時に行うことができる(「RFテストの革新的な設計」を参照)。このシステムはスループットを上げるために数多く改良されている。このため、プロセスの監視や管理を行うために、大量にウェーハレベルの測定を行うことが可能となった。モデリング研究室での測定結果と同じ結果が精度を犠牲にすることなく高速に得られるため、開発・製品化期間を短縮することができる。これは特殊なプローバを購入しなくても簡単なシステムアップグレードで実現できる。校正基準がプローバに記憶されていれば、操作手順はDC測定と変わらない。単に定期メンテナンスの回数が変わるだけである。
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