薄型の半導体ウェーハが、積層パッケージに対して熱拡散性や柔軟性、有益性などで優れているため、急速に普及している。最近の予測によれば、薄型ウェーハの市場は現在は全体の5%程度だが2年内にはで30%に増加すると見られている。しかし、薄型ウェーハは壊れやすいため、取り扱いには注意を払わなければならず、大きなダイ破壊強度を確保することが重要なパラメータになっている。
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ダイ破壊強度は、裏面研削や応力緩和、ダイシングなどの3つのパッケージ工程で影響する。CMP(Chemical Mechanical Polishing)やスピンエッチング、ドライエッチング、ドライポリッシングなどの応力緩和させる方法でウェーハ裏面の研削時に発生する損傷を部分的に和らげることができるが、ダイシングで行うとダイ周辺部分に新たに損傷を与えてしまう。裏面研削とダイシングに損傷が重なるため、どちらの工程がダイに影響を与えているのかを調べることは難しい。ブレード方式のダイシング装置を使う場合、特に困難である。
ウェーハのダイシングにはレーザーがブレードよりも優れていると考えられているが、その一方で、レーザーは熱による損傷や汚染が今でも懸念されている。ウォータジェット誘導式レーザービーム(またはマイクロジェットレーザー)と呼ばれる新しいレーザー技術を使うと、ダイへの損傷を全く発生させることなく、その他の方法よりもはるかに高い破壊強度を得ることが可能になる。
ウォータジェット誘導式レーザービーム
ウォータジェット誘導式レーザービームは、圧力をかけた水容器内を通過する際にノズルにレーザーを集光させる(図1)。ダイヤモンドのノズルから噴出される低圧の水の中で、水と空気の界面部で内部反射を起こしながらレーザーが誘導される。これはある意味で光ファイバと同じ原理である。
誘導機能だけでなく、従来のレーザー技術と比べてウォータジェット誘導式レーザーの大きな利点は、溶け出した物質を取り除き(ウェーハ上に堆積物が付着するのを防ぐ)、切断面の冷却を行うことができることである。そのため、熱による損傷部分がほとんどない。さらに、ウォータジェットによる加工材料への機械的な力は0.1N未満と極めて小さい。
この技術には、フラッシュランプで増幅させたNd:YAGパルスレーザー(パルス間隔100マイクロ秒未満)か、Qスイッチを使った短パルスレーザーが使用される。レーザー波長は1064nm、532nmあるいは 355nmのいずれかが用いられる。ウォータジェットには脱イオン水やろ過した水を使用し、50から500barの圧力がかけられている。ノズルには直径25から100μmのサファイアまたはダイヤモンドが使われているため、長時間安定してウォータジェットを発生させることが可能になっている。髪の毛のように細いウォータジェットであるため、水の消費量は1時間に1ℓ未満と少ない。最近では、Siやその他の半導体材料の微細加工が、ウォータジェット誘導式レーザーの主要なアプリケーションとなっている。
ダイ破壊強度の試験
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図1 ウォータジェット誘導式レーザービームは、圧力をかけた水容器内を通過する際にノズルにレーザーを集光させる。ダイヤモンドノズルから噴出される低圧の水の中で、水と空気の界面部で内部反射を起こしながらレーザーが誘導される。 |
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表:サンプルの研削とエッチング(μm) |
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図2 ダイ破壊強度の研究のために裏面研削とエッチングを組み合わせて、薄型ウェーハから薄いダイを作製した。 |
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図3 マイクロジェットレーザー方式で溝掘った様子を示す。非常に底面が揃っていて、切り口も鮮やかである。 |
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図4 49個のダイで3点による曲げ試験を行った。ダイ破壊強度における裏面応力緩和の影響を示している。 |
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ウォータジェット誘導式レーザー技術を発明したすスイスのSynova社と独Infineon Technologies社は、ダイ破壊強度における応力緩和とダイシング工程の影響を考察するために共同研究を行った。異なる厚さに研削およびエッチングしたウェーハをそれぞれブレード方式とマイクロジェットレーザー方式でダイシングを行った。そして、ダイ破壊強度を計測し、解析が行われた。
サンプルは150mmのベアSiウェーハが使われた。裏面研削を行った後に裏面エッチングを行って、均一な厚さの薄型ウェーハにした(表)。ウェーハをそれぞれ半分ずつブレード方式とマイクロジェットレーザー方式でダイシングし、15mm2のチップに切り出した(図2)。
マイクロジェットレーザー方式でのダイシングでは、ウェーハ厚の80%以上まで溝を掘ってチップを二つに割った。破壊強度に関してこの方法が最もよい結果が得られた。赤外光のファイバレーザー(波長1064nm, 平均出力50−60W)が直径50μmのノズル部分に集光され、直径46μmのウォータジェットを生成した。溝を掘る速さは約50mm/秒であった。図3にマイクロジェットレーザー方式で溝掘った様子を示す。非常に底面が揃っていて、切り口も鮮やかである。
最後に、49個のダイを3点屈曲試験でチップ強度を測定した。ダイ表面の中央部分に垂直方向の力を除々にかけていった。ダイ破壊強度に相当する力に達した時、チップが曲がって割れた。異なる厚さにエッチングしたサンプルのそれぞれの平均強度を図4に示す。
これらの結果は、ダイ破壊強度における裏面応力緩和の影響を示している。実際に、ウェーハがエッチングされていない(応力が緩和されていない)場合には、裏面研削による破損が支配的になるため、ダイシングによる損傷はそれに比べるとほとんどないと言える。したがって、ダイ破壊強度はブレード方式とマイクロジェットレーザー方式でほぼ同じになっている。しかし裏面研削の後にエッチングを行うと、ウェーハ表面の損傷が緩和されるため、ダイシングによる損傷の差がよりはっきする。10μmのエッチングを行うだけで、ブレード方式とマイクロジェットレーザー方式の違いがはっきりとしてくる。マイクロジェットレーザー方式を用いた方が、破壊強度がかなり高くなっている。25μmのエッチングを行うとさらに違いがはっきりとしてくるが、応力の大半がダイ表面のごく薄い層に集中するため、ここまでの深いエッチングは通常必要ではない。わずかなエッチングでも破壊強度は上がる。
結論
近年、ウォータジェット誘導式レーザー技術が半導体の精密加工に多く使われるようになった。この手法はクリーンで余計な損傷を与えないだけでなく、発熱や機械的な力にも気にする必要がない。応力緩和がマイクロジェットレーザーによるダイシングの前に行われば、破壊強度はブレードによるダイシングと比べて1.5倍まで高くなった。ウォータジェット誘導式レーザーはSiやGaAs、InP、SiCいった広範囲の半導体材料のダイシングに使われるようになり、ダイシングの主流技術となると予想される。
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