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2005年6月号
IITC‘05が開催、微細化により課題が噴出する高密度多層配線構造の課題を克服する
Jun Takahashi
* * * *
 2005年6月6〜8日、米カリフォルニア州サンフランシスコにおいてIEEE International Interconnect Technology Conference(IITC)が始まる。IITCは半導体配線技術に関する国際的な発表の場となっている。世界中から800名を超える参加者が予定されており、40社以上の企業が併設される展示会に出展する計画だ。会議では39件の論文発表と33件のポスターの発表が予定されている。
 IITCによると「皮肉にもトランジスタが着実に微細化を進めていることにより、配線構造の問題が顕在化している。世界の研究者がIITCにおいて情報を共有し解決の糸口を見つけることができればいい」(IITC 2005 Publicity Chairmanの米IBM社Stephen Luce氏)と述べている。

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65nmノードでは
Cu配線の信頼性確保が必須


 65nm技術ノードを採用したデバイスの量産開始が間近に迫っている。しかし、65nm世代においてもCu配線は信頼性の確保が課題となっている。さらに、層間絶縁膜には比誘電率(k)の低い多孔質Low-k膜が採用されるため、パッケージングまでを考慮して機械的な強度を増加させることが必要だ。ソニー、IBM、東芝の3社は、共同開発した65nm標準プロセスの評価結果を発表する。9層Cu配線構造で層間絶縁膜には多孔質SiCOHを採用した。SiCOH(k=2.8)は空隙率20%で、電気的および機械的な特性は良好だったという。また、ワイヤボンディングにも対応できる強度をそなえている(論文番号2.3)。
 米Freescale Semiconductor社、蘭Philips社、伊仏合弁のSTMicroelectronics社の3社による共同開発チームは、65nmノードで多孔質Low-k膜やSOIウェーハなどを組み合わせた場合の機械的強度を検証した(論文番号2.1)。SiウェーハおよびSOIウェーハ、そしてLow-k膜にはOSG(k=2.9)と多孔質OSG(k=2.5)を採用した。論文ではワイヤボンディング用のボンドパッドの設計など実装技術を検証し、チップの機械的な信頼性を確保する最良の組み合わせを探っている。

45nmで本格化する
多孔質Low-k膜の採用


 65nmの発表とは異なり、45nmノードの発表は基礎的な技術研究の発表が多いようだ。45nmノードの進捗を東芝が発表する。東芝は45nmノードで脆弱なLow-k膜に対する湿気の制御とダメージの低減方法を開発した。SiOCをビアに使い、トレンチの側壁にはダメージに強い有機膜ポリアレリン(k=2.3)を採用した。これによりダマシン工程のプラズマエッチング時にLow-k膜への側壁のダメージを防ぐことができる(講演番号2.2)。
 富士通は、Cu多層配線/多孔質Low-k膜構造を発表する。層間絶縁膜には多孔質のNano-Clustering Silica(NCS)を採用する。NCSはCuと近い熱膨張率を持ち、空孔は微小で均等に分散しているという。NCSの採用により、配線構造で大きな問題となっている熱ストレスを低減する。また、70nmビアをArFリソグラフィで形成、歩留まりは100万ビアのチェーンで90%以上を達成した。45nmのTDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)値は65nmと同等の値を示した(論文番号2.5)。

課題を克服する新しいプロセス

図1 Georgia Institute of Technologyの流体配線冷却システム。マイクロ流体チャンネル(右)とSi貫通ホール(論文番号8.4)

 半導体先端テクノロジーズ(Selete)は、Low-k膜の機械的強度を増すUV光によるキュア技術を開発した(論文番号11.2)。Low-k膜には多孔質SiCOH(k<2.4)を使用し65nmノードの2層Cu配線を形成し検証した。45nmへの拡張も可能としている。UVキュアによりLow-k膜は少し縮んだことが確認されたが、硬度は大幅に向上しリーク電流も低減できたようだ。Low-k膜の界面処理にはプラズマキュアやアニールなどのいくつかの方法が提案されているが、UVキュアは簡単で膜へのダメージがないとしている。
 Low-k膜の脆弱性が懸念されるのはワイヤボンディング工程だけではない。前工程では特にCMP(Chemical Mechanical Planarization)工程がCu配線構造にダメージを与える可能性が大きい。SeleteはカーボンのCMPパッドを適用した新しい電解CMP(e-CMP:Electro CMP)技術を開発した。従来のe-CMP技術ではプラテン下にカソード電極を設置していたが、Seleteはパッド表面の柔らかいカーボン層をアノード電極にし、中間層を設けてカソード電極シートをその下に設置した。この3層構造の中に100以上の電子セルがあり、従来方法ではウェーハにスクラッチ傷を発生させていたが、この方式ではウェーハに触れることなくCu膜を除去できる(論文番号10.1)。
 配線の信頼性および性能は、動作温度に大きく影響される。米Georgia Institute of Technologyは、CMOSプロセスと互換性を持つチップに搭載可能な配線冷却システムを開発した(図1)。ダイシング前の配線構造形成後にウェーハ裏面をエッチングしトレンチを形成、犠牲ポリマー膜が充填され多孔質材料が塗布される。犠牲ポリマー膜はウェーハが加熱されることで除去されマイクロチャンネルを形成する。オーバーコートが塗布されシールおよび強度が補強される。貫通ホールはウェーハ表面に形成される感光性ポリマーの液体入出口と接続される。同研究チームは2つのアレイデザインを調査し、熱除去性能を比較した。2気圧以下の流れで100W/cm2の熱除去が可能としている(論文番号8.4)。65nmプロセスについては、その他にも、米IBMによるCoWPキャップ膜に関する発表(論文番号6.5)や台湾TSMCの超臨界CO2洗浄技術に関する発表(論文番号7.17)が注目される。

未来を垣間見る

図2 蘭Philips社のエアギャップ配線構造のTEM画像。(論文番号12.4)
図3 富士通の径2μmのビアに形成されたカーボンナノチューブの束(論文番号12.2)

 IITCは、基調講演の後、「インテグレーション」のセッションから始まり、「信頼性」や「平坦化」など個別プロセスに関するセッションで構成されている。特に、「Novel」セッションにおいては、45nm以降を睨んだ革新的な未来の技術発表が期待される。米Stanford大学は、チップ間およびチップと配線基板間用に、光配線技術を電力の効率の観点から注目している。配線長が10cm以下の場合は、電気的な配線よりも光配線の方が効率が良くなると予測しており、32nmノードのチップ間配線に使われる可能性が高い(論文番号8.3)。米Rochester大学は、Siでオンチップの光配線の形成に成功した(論文番号12.3)。
 Philipsは、45nmノード以降に向けて配線間に空気を使用する「エアギャップ」を発表する(図2)。2層構造を適用して検証した結果、実行的なkは2以下を達成した。Cuのエレクトロマイグレーションは既存の標準的なCu配線と同等だったとしている(論文番号12.4)。
 富士通は、ビア(径2μm)にカーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nano Tube)を形成して見せた(図3)。個々のチューブのインナーシェルを接続した構造を採用することで抵抗値を低下させることができたという。抵抗値はWと同等の値を示したため、CNTはCuよりも良好なエレクトロマイグレーションが期待できるとしている(論文番号12.2)。


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