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2005年6月号

オーストリアEV Group社
CTO
Paul Lindner氏

[プロフィール]Paul Lindner
オーストリアEV Group社のバイスプレジデント兼CTOである。半導体製造装置やMEMS製造装置の開発研究を行い、この業界で15年以上の経験を持つ。同氏は1988年から機械設計エンジニアとして同社に従事し、半導体処理装置やカスタムアプリケーション向けの装置部門をまとめてきた。これらの中には、最初の商用ウエーハボンディング装置や、SOIボンディング装置、三次元配線用の精密位置決め装置などがある。CTO就任前には、マーケティング、販売、製造、オンサイト処理サポートを統括する製品管理部門を立ち上げた。現在は、主力製品部門、プロジェクト管理部門、プロセス技術部門による新規技術開発を統括している。これは、世界各地のクリーンルーム施設での全プロセス開発を含む。
* * * *
 オーストリアEV Group社は、SOI やMEMS、最新パッケージング対応の製造装置を製品化、最近ではナノインプリントリソグラフィ装置の提供を始めた。同社CTO Paul Lindner氏にCTOの役割、そして技術開発の戦略について話を聞いた。
Semiconductor International (以下SI):CTOの役割は、例えば5年前と比べて変ったか?
Paul Lindner:間違いなく変った。CTOは、新規開発技術の動向をかつてないほどに把握していなければならない。どの新規技術が使い物になるか、今までに以上に迅速に見極めなければならなくなった。これが今日のCTOの主要任務と考える。私は常に、新規技術のなかで10年以内に役立つものはどれか自問し続けている。
SI:技術動向の把握という面では、長年、ITRSロードマップがあてにされている。これについてどう考えるか?
Lindner:2つの側面がある。微細化については強引すぎると思われる。一方で、微細化を妨げる可能性のある例えば三次元配線のような新規技術の採用については保守的すぎる。ロードマップでは配線技術に関して2010年に大きな壁があるとみられているが、我々は現在の30nm未満の設計ルールを使用して非常に高い歩留まりを実現できるめどを付けている。これは、65 nm、45nmノードにおいても有効と考えている。だからと言ってロードマップを過度に批判すべきではない。
SI:技術ロードマップの変更は?
Lindner:我々の技術ロードマップは新規技術を採用するために設けている。SOIや歪みSiのような新規材料、三次元配線、ウエーハレベルの精密位置決めバンピング、チップ−ウエーハ間バンピングなどの新構造を含む。これらの技術に対応した装置を提供していくとともにロードマップに沿って歪みSOI対応の次世代装置も開発する。この技術に必要な装置は分かっており、製造装置側で歪みSOIのサポートに何が必要か知っている。導入計画は完成している。
SI:その技術マップがカバーする期間はどのくらいか?
Lindner:技術にもよるが、約5年だ。今日の技術開発ではそれ以上の期間を見通しても意味がない。
SI:貴社の技術マップはITRSに負うところがあるか?
Lindner:幾分はある。しかし当社の方針の方がより積極的だ。三次元配線の場合ではCADシステムにも注目している。新規技術を完璧に導入できるようにする前に、エンジニアリング的なR&Dがかなり必要だ。
SI:アリゾナとニューヨークに新しい研究所を設立したようだが、どのような目的か。
Lindner:ロードアイランドにあった米国本社をフェニックスに移して、米国の業務を拡大した。米Motorola社のフラットパネルディスプレイ(FPD)部門の建屋を引き継ぎ、約100m2のクラス10クリーンルームを作った。将来の業務拡張に対応できるオフィス空間を確保できるのも利点だ。また、主要顧客の近くにいるために、Albany Nanotechの近くにも事務所を開設した。
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SI:R&D理念は?
Lindner:中規模企業なので、基礎研究は行わない。研究開発項目をよく絞り、通常1社以上の主要顧客と共同で行っている。新規技術の場合、まさにその通りで、例を挙げると新しい装置を納入した仏Soitec社と共同開発を行っている。このような顧客は装置開発パートナーとなる。我々のR&D手法は、顧客の要望に注意深く耳を傾け、市場ニーズを検討するとともに、特定の技術が向かっている方向や、その技術を市場の要求にあった製品に具現化するために何が必要かについて広い視野を持つことが重要である。顧客主導のR&Dに注力している。
SI:MEMSおよびナノテクノロジー分野の戦略は?
Lindner:我々はMEMS業界を装置メーカーとしてリードしてきた。これによって1980年代から1990年代にかけて成功し、今も売上の40〜50%をこの分野が占める。ウエーハボンディングなど当社が開発したMEMS技術の中には、成熟し主流技術となったものもある。MEMSとナノテクノロジーの間に加工寸法を根拠とした大きな関連性があるとは思えない。ナノテクノロジーが適用されるところにはマイクロ流体デバイスがあるが、そのデバイス自体はナノテクというよりMEMS技術に基づいている。ナノテクノロジーでは、ナノインプリントリソグラフィ技術を次世代リソグラフィ技術として開発を進めていく。
SI:5年前には不可能と考えられていたプロセスや新材料が急速に導入されようとしているが、これをどう見るか?
Lindner:実はチップ内で相性の悪いさまざまな種類の材料が急激に増えている。Si、シリサイド、ポリシリコン、Alなどすべての材料はうまく適合した。今日では、Cu、Low-kおよびHigh-k絶縁膜、メタルゲートなどが導入されている。あまりに多くの種類の新規材料を慌てて導入すると、文字通り歩留まりの低下を引き起こす可能性がある。業界がもう少しゆっくりとしたペースでこれらを組み入れていくと良いのだが。
SI:半導体メーカーの視点で、直面している最も大きな課題は何と考えているか?
Lindner:我々はSOIを採用したデバイスの設計にかかわっているが、これはCADプログラムによりサポートされている。しかし、三次元配線の設計では異なる手法に取り組む必要がある。米MITは複数のインタフェースを積層するためのCADソフトウェアを独自に開発した。チップそのものを考慮するだけでなく、ウエーハ上の複数のチップのレイアウトやランアウトエラー、さらには、2枚のウエーハが完全に整合しウエーハを無駄にする未接続部分のない完全な接続を実現するために、エッジ部分をどのように設計したらよいかまで考えなければならない。三次元の課題は、設計とプロセス最適化によって克服すべきである。
SI:海外への技術移転が業界に与える影響は?
Lindner:危険な方法と考えている。委託製造も一般に行われているが、それはノウハウの流出につながる。技術開発と製造を別の国で行うのは非常に難しい。プロセスを検証するために開発拠点の近くで製造しなければならない場合もある。そして製造の検証とは何百万もの大量のデバイスの生産を意味し、そうでなければ何の価値もない。
 装置メーカーの視点から見ると、製造を海外へ移転することに何のメリットもない。特に新規技術の場合は一つ屋根の下で何もかも行う方が実利的で良い。また、エンジニアの観点から見ると、海外への技術移転により製造現場からのフィードバックがなくなるという危険もある。製造現場からのフィードバックがないと、製造しやすい設計手法DFM (Design For Manufacturability)の構築はさらに困難となる。
 また、海外移転により設立された製造工場がR&D子会社を発足し、独立する危険もある。これは特に台湾や中国で立証されている。もちろん、この影響は欧州よりも米国の方が大きい。欧州より米国の方が、シリコンバレーのような半導体関連のエレクトロニクスに特化した文化が出来上がっているからである。
SI:アジア市場での計画は?
Lindner:日本と台湾の支社に加えて、中国での事業展開を拡大する計画だ。2005年上期にカスタマーサポートセンターを上海に設立する。また、いくつかの製造拠点をEUの新規加入国に置く計画だ。これはオーストリア本社と垂直統合された生産体制に貢献するだろう。
SI:注意する技術は?
Lindner:パッケージング再配線、周囲環境からの保護、機械的な封止、CCDチップを使用した光学インタフェースなどパッケージの全機能を持つものを作るために、単なるフリップチップ方式だけではなくウエーハレベルの接続方式を採用する技術に注目している。それらを持った技術に大きく期待しているが、まだあまり注目はされていないようだ。これらのパッケージング手法は、携帯電話のカメラ等で大量需要がある可能性もあり、価格の低下が期待できる。
(聞き手:Alexander E. Braun)

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