無償購読申込・変更
Email Newsletter登録
記事検索

検索方法の詳細



2005年7月号
人や業者を見下す態度こそが敵
Semiconductor International日本版
編集ディレクター
津田建二
* * * *
 1980年代後半、プラザ合意を受けて円高が容認され、米国半導体メーカーからNECが首位を奪うなどトップテンの上位を占め、日本の半導体メーカーはこの世の春を謳歌していた。一方で、米国は何とか回復する方法を模索していた。東のエスタブリッシュメント企業には、日本などおそるに足りず、アングロサクソンの底力をみせてやれ、といった勇ましいところがあった。シリコンバレーをはじめとする西海岸の企業は、日本の品質管理技術を学べ、カンバン方式を採り入れよう、など日本の優れた技術に目を向けるようになった。しかし、決定的だったのは、西海岸のある人の言った言葉である。「日本やアジアを見下す態度こそがわれわれの敵ではないか」。
 今、半導体メーカーが製造装置メーカーに対して装置代金の支払いを遅らせているという問題の一端も同じような見方かもしれない。「半導体メーカーは装置メーカーを見下す態度がある」と、ある外資系製造装置メーカーのトップは言う。
Advertisement

 半導体創生期は、半導体メーカーが築き上げたノウハウを装置メーカーに提供して装置を作っていた。先端的な半導体プロセスは明らかに半導体メーカー側が握っていた。そのころに業者を見下す態度が半導体メーカーに出来ていたのではないかと、そのトップは言う。
 ところが、半導体の開発は半導体メーカーから装置メーカーへとシフトしつつある。最先端プロセスは装置メーカーが握っているのである。三菱電機で半導体プロセス開発を引っ張ってきたあと、装置メーカートップ企業のアプライドマテリアルズジャパン代表取締役社長に上り詰めた赤坂洋一氏によると、装置メーカーは当初は個別のプロセスに向けた装置を作っていたが、今はトータルプロセスともいうべき一連の流れのプロセス全体をカバーする装置やソリューションを提供するようになっていると主張する。すなわち、装置メーカーがチップを作れるための全体のプロセスまでを支配するようになってきたのである。かつて半導体メーカーがやっていた分野である。
 言い換えれば、半導体プロセスは、半導体メーカーから装置メーカーへ主導権が移っているといえる。確かにかつて半導体プロセス技術の最先端にいて、IEDM(International Electron Device Meeting)やISSCC(International Solid State Circuit Conference)などで発表していた人たちの多くはもはや半導体メーカーにはいない。前述の赤坂氏もその一人だ。現在、大阪大学の教授になっている同氏は、半導体業界の大きなトレンドとして、日本の半導体メーカーの退潮と装置メーカーの健闘を読み取れるという。実際、市場調査会社による世界の半導体メーカートップテンの中に日本のメーカーは1990年には6社もいたが2004年のランキングでは3社しかいない。対して、半導体製造装置市場で日本メーカーはトップテンに1990年に6社いたが2004年でも5社が留まっている。
 こういった現状にもかかわらず、半導体メーカーが装置メーカーを見下しているとすれば、大きな間違いである。かつて、米国がそうであったように、学べるところは地域や民族に関係なく学ぼうという態度が必要だろう。
 通貨危機をきっかけに、売り上げ至上主義からキャッシュフロー経営に大変身を遂げた韓国企業、シリコンバレー同様に戦略的なニッチマーケット狙いの台湾企業など、今の日本企業が見習うべき企業のビジネスモデルは欧米だけではなくアジアにもある。
 装置代金支払い遅延問題は、グローバルルールに則ってさっさと解決し未来に向けた戦略を考える方が、キャッシュフロー経営にとってもプラスになるはずだ。
 今号にも元装置メーカーにいた読者から投書をいただいた。B2Bビジネスでは、お客様は神様ではない。パートナーだという認識を持つことがお互いのウィンウィン関係を築くための第一歩であろう。
ご意見を
聞かせてください
Semiconductor International日本版編集部では日本の読者の皆様からのご意見や反論をお待ちしております。下記メールアドレスまでご連絡ください。採用分には薄謝を差し上げます。
editor-si@reedbusiness.jp
■弱い立場の企業をいじめることはやめて欲しい
 貴誌5月号Engineer's Voiceの「匿名希望」氏の投稿(Semiconductor International日本版5月号、p.8)には、「良くぞ言ってくれた」と思います。
 私は10年前まで外資系企業で半導体試験装置の開発に従事しておりましたが、当時からこのような悪習ははびこっており、このコラムを読んで、「まだこんなことやっているのか」という思いと「さもありなん」という思いとの両方で情けない限りです。
 加えて述べさせてもらえば、同様な悪習は何も半導体業界に限ったものではありません。私は今では(やはり外資系ですが)半導体を使用して自動車向け電子機器を開発し、それを自動車メーカーや自動車メーカーを顧客とするシステムサプライヤに納入する企業に勤めています。
 この自動車業界も同様で、こうしたわけのわからない悪習は枚挙にいとまがありません。最終顧客である自動車メーカーがお金を払ってくれないからといって支払いをいつまでも渋られたり、どこまでコミットしたのかわからない口約束での販売台数予想を元に開発費を機器単価にアーモタイズさせられたり。さらには、中身がほとんど白紙の要求仕様書を基に見積書を書かせられ、首をひねりながらも提出した価格見積もりに高いと文句をつけられ、開発を開始しても仕様書の行間に書いてあると言われ追加の要求がぼろぼろと出てくることがありました。聞けば従来は関連の子会社がすべてそこらは、なあなあで(阿吽の呼吸で)うまいとこやってくれていたのだそうです。
 少なくとも半導体と自動車という日本を代表する製造業の業界でこうしたベンダー/サプライヤいじめとも言っていい商習慣がまかり通っているということは、おそらくほかの業界も「推して知るべし」と言ったところでしょう。以降の取引関係を恐れて弱い立場にいるベンダー/サプライヤにとにかく無理を強いる悪習は本当にやめていただきたい。
 「お客様は神様です」と言った某演歌歌手がいましたが「神様は何をやってもいい」と開き直っている客と、ただただそれにひれ伏しながらついていくベンダー/サプライヤといった構図は「お客様はパートナーであってそこに主従関係は存在しない」と考える外資には理解できないものです。当然です。
(匿名希望、東京都、44歳) 

HOME | SI(日本版)について | 無償配付申込・変更 | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載について | 関連サイト