2005年7月号
米Molecular Imprints社
CTO
S.V.Sreenivasan氏
[プロフィール] S.V.Sreenivasan 氏
S.V.Sreenivasan氏は、米Molecular Imprints社の創立者の一人で、同社CTOを務めている。米テキサス大学の機械工学准教授でもあるが現在は休職中としている。米オハイオ州立大学で機械工学博士号を取得した。専門はナノファブリケーションプロセスと超精密機械システムの設計で、ナノインプリントリソグラフィやナノレベルの超精密機器、精密光学システム、リアルタイムセンシングアーキテクチャに関心が高い。Molecular Imprintsは2001年に創立し、ナノインプリントリソグラフィのシステム設計・開発や製造、サポートを行っている。
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最先端リソグラフィの中に潜む最も大きな課題は欠陥と歩留まりだ
Semiconductor International
(以下SI) :過去三年間、この業界は随分変わりました。CTOとしての役割をどのように考えているか?
Sreenivasan :非常に大きな資本が必要で研究開発費がかかるような特殊なビジネス環境では、装置のロードマップや開発、技術を理解できるだけでなく他社との複雑な協力関係を構築できる能力が必要と考えている。この協力関係や研究活動に対してどのように資金の使い方なども決めなければならない。当初技術者として出発したが、現在では技術開発に必要な提携を構築するリーダーであると考えている。
SI :あなたの役割は単に技術指向ではなく、政治的な側面も持っているということですね。
Sreenivasan :政治的かどうかは分かりませんが、協力関係を構築し共通認識を得ることは必要なことだと考えている。例えば、我々はNIST ATPプログラム出資による大きな研究を行っている、それには米Photronics社や米KLA-Tencor社、米Motorola社なども参加している。また、テンプレート技術に関しては、米DuPont Photomasks社や大日本印刷とも協業している。つまり自社だけで装置開発を行っているわけではなく、技術を具現化するために数社と共同で開発を行っている。
SI :Molecular Imprintの技術をどう位置付けていますか?
Sreenivasan :初期段階でSteven Chou氏らが米プリンストン大学ですばらしい業績を上げている。彼らは技術の実証を行い、ナノスケールまで対応できる可能性を示した。この頃、我々が行っていたことはその結果を見て、ステッパ技術にどう応用するかを検討することだった。この技術が実際に使われるようにする上で重要なことは、すでにあるインフラと互換性を持たせなければならないということだった。それは、業界ではすでにリソグラフィやその関連技術の装置に多額の投資を行っていたためだ。
SI :現在のナノテク開発についてどのように考えていますか?またナノテク開発で最も大きな障害となっているのは何だと考えていますか?
Sreenivasan :「ナノテクノロジー」自体の意味が非常に広いため、どのように受け取るかにもよる。個人的にはいろいろな定義があると思う。面白いと思っているのは、ナノスケールで物を作れるようになれば、新しい物理現象を利用することできるようになることだ。それは大きなスケールでは不可能だった。ナノスケールにより新製品や新アプリケーションが生まれる。同時に、これまでのマイクロスケールにもあった利点を維持することができる。
我々はこれをナノスケールでも行い、新しいアプリケーションを開発したいと考えている。100nmまたは50nmスケールでデバイスが作られ始めれば、大きなスケールでは得られなかった現象を利用できるになる。これにより、家電機器アプリケーション向けのディスプレイや高輝度LED、超高密度磁気記憶装置が実現するかもしれない。我々はこれに非常に期待している。
SI :現在半導体業界は、今後もITRSロードマップに従っていくかのように見えます。これに関してはどう考えていますか?
Sreenivasan :肯定的に考えるならば、同じ目的を定め装置メーカーとチップメーカーが一緒に仕事ができることは少なくともよいことだと思う。各自の技術や開発をどのように位置づけるかという点で共通のガイドラインがあるということは非常に有用である。ロードマップがあればサプライヤに技術を進展させていく動機にもなる。ITRSはいわば意見のまとめ役であるため、いくつかのデバイス部門の要求事項を平均化してしまうという限界がある。成功した技術のどれをとっても、顧客やサプライヤ、自社の間で要求事項がロードマップ上に描かれたものとは大きく異なる場合があるため、そういった平均値に頼ることはできない。さらに、ロジックやメモリーを含む場合では全ての仕様で異なる。
SI :では次の数年でどのようなロードマップになると考えていますか?
Sreenivasan :幅広くナノテクノロジーを使った新しいアプリケーションやCMOSの新しい市場を狙っている。新しい市場の中に、光学デバイスやストレージのような重要な分野がある。この分野の顧客と密接に働き、彼らのニーズに合わせてロードマップの修正を行っていく。会社が成功するためには、生産まで落とし込まなければならない。Siよりの最先端のリソグラフィでは、顧客の要求に応えるためにロジックとメモリーの両方の重要な顧客の意見を定期的に聞くようにしている。しかし、リソースの管理には注意しなければならない。顧客にどんなこともコミットすることはできない。どのようなロードマップを策定し、どのようにコミットを実行するかに関して、常に顧客との間に健全な関係がなければならない。
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SI :CMOSに関してですが、しばらく前では不可能だと考えられていた多くの新材料や新プロセスが導入されている。CTOとして、この課題をどう考えていますか?
Sreenivasan :新材料や新プロセスが導入されていくことは良いことだと考えている。なぜなら、我々が扱っているのは新技術そのものであり、顧客がこれまでにない新技術に直面し、危険を冒してロードマップに従い続けるということは、我々の技術を受け入れやすくなるからだ。その反面、もし自分たちの技術を導入しようとすると、例えば45nmノードでは、業界がまだ完全に決まっていないノードに対してどのように考えているのかを理解しなければならないという難しさもある。例えば配線工程では、絶縁膜材料にどの材料を使うべきか、どういう特性であるべきか十分な検討をしなければならない。
SI :多くのデバイスメーカーとビジネスを行わなければならないと思いますが、デバイスメーカーの一番大きな課題は何ですか?
Sreenivasan :リソグラフィはいつでも大きな問題になっていて、物事も急速に変わる。2年前、我々の技術をF2リソグラフィと比較しようとしていた。それが現在では液浸リソグラフィと比較している。我々が提唱しているのは高密度ピッチのリソグラフィと三次元プリントの可能性だ。光リソグラフィではピッチ幅の緩和を要求している。ノードを定義する方法はもはやハーフピッチではない。しかし、もっと多くのデバイスをウェーハ上に集積していかなければならない。光リソグラフィではできない三次元プリントを使えば、将来のデバイス製造に大きな影響を与えるデだろう。
SI :リソースの問題を考慮しなければ、どの問題に取り組でいきたいですか?
Sreenivasan :テンプレート検査とリペアです。最先端リソグラフィの中に潜む最大の問題は欠陥と歩留まりだ。完全な理解を得るためには、装置を製造に移管しなければならない。我々はマスクビジネスでインフラを開発するために、KLA-TencorやDuPontなどと共同で課題に取り組んでいる。これはこれまでマスク産業が行ってきたのと同じように大変やりがいのあるものだ。以前はウェーハの問題を解決するために、多くのリソースが確保されてきた。しかしマスクの問題に関しては資金が十分ではなかった。
SI :業界の傾向でなにか他に言えることはありますか?
Sreenivasan :それは間違いなくナノテクノロジーだ。短期間的に見れば、ナノテクノロジーのアプリケーションはSiと比較すると小さいため、ビジネス的に大して興味のあるものではない。しかし、技術的には巨大なマーケットに成長しているような気がする。電気で家庭や会社を明るくしたように大きな影響を与えるかもしれない。ストレージ分野も改革が起ころうとしています。iPodや携帯電話の中にある超高密度のデータ記憶が可能になったことを見ると、家電製品の開発がいかに変わってきているかが分かる。またナノパターンニングによって実現できるバイオ向けのアプリケーションもある。
(聞き手:Alexander E. Braun)
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