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2005年8月号
支払い遅延がいつまでも浮上できない
ビジネスマインドを作る
Semiconductor International日本版
編集ディレクター
津田建二
* * * *
 半導体プロセス工場に設置された製造装置にチップメーカーが代金支払いを数ヵ月も延ばしているという遅延問題を2005年3月号で指摘した。これに対して、読者からの声は今回のものも含め3件も来ている。今のところ、元あるいは現在半導体装置メーカーからの声ばかりだ。半導体メーカーからの意見は全く来ない。
 半導体メーカーの意識は、経営トップと事業本部トップレベルとでは温度差があるようだ。6月大阪で開かれた、SEMI主催のISS (Industry Strategic Symposium)において、ある半導体メーカーの講演で、新しい90nm/65nm工場を設立したときの建設費用は竣工時に支払ったが、半導体メーカーへの支払いは検収後に支払う、といみじくも述べた。むしろ、建設業界は支払いを待ってくれなかったとも言った。講演者は事業本部トップの方であった。
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 一方、数カ月前NECエレクトロニクスの戸坂馨社長にお会いしたとき、キャッシュフロー経営を標榜している同社が装置メーカーに対する支払い遅延をどう考えているのかと問いただしたところ、NECエレではそんなことはないはずだと述べていた。しかし、装置メーカーは支払い遅延で苦労していますと問い返すと、では調べてみると言われた。
 戸坂社長は、3年前に発足したばかりの同社を半年程度で東京取引証券所に上場させ、IR(investor relations)を充実させ株主に透明性を上げる、キャッシュフロー経営を重視する、と企業の透明化、健全化に大層努力しているという印象を受けた。だからこそ、装置メーカーに対する支払い遅延などはないはずだと思っていた。しかし、戸坂社長の思いとは裏腹に、実態を調べてみるとそうではなかった。どの装置メーカーもNECエレクトロニクスも例外ではないと述べた。
 6月のISSでの夜のワークショップにおいて、装置への支払い遅延問題を提起した。パラレルセッションのワークショップで筆者が参加したのは、外国人の集まる部会だった。参加していた外国人の中にはこの問題を全く知らず、大変興味を覚えたと言ってくれた方もいた。
 海外では装置への支払いは装置納入時に80%、検収後に20%を支払っているところが多いが、ある外資系半導体メーカーの方は、日本では日本メーカーの習慣に習って代金支払いを数ヶ月先に遅らせているという。
 米国だけではなく、欧州や台湾、韓国、中国などのアジア地域での商習慣とも違うこの代金支払い遅延問題は、日本だけが特殊なビジネスをしていることを示している。半導体業界の中でも日本だけが将来に対して暗い。いつまでも暗い過去を引きずっている商習慣では未来が見えないのではないか。
 装置代金の支払いを伸ばすことは単にその場しのぎの商習慣であり、いつまでも負のアセットを持っているようなものだ。半導体ビジネスでは製造装置は、原価の約半分を占めるアセットとして取り扱う。このアセットへの支払いが数ヵ月も遅れることは、世界のコンペティタに対して負のアセットを持っていることに等しい。この点ですでに、競争力が落ちており、ビジネスのスタートから負けているのである。これでは、グローバルな競争力が低下するわけだ。
 先月号のEditorialの中で、現在大阪大学教授の赤坂洋一氏が指摘したように、最近の日本の半導体メーカーは世界ランキングのトップテンの下の方にわずか3社入っているだけである。ルネサス、東芝、NECエレクトロニクスだけだ。80年代後半は、NECがトップで東芝や日立などがトップテンの中でも上位を占めていたことと比べると競争力は全く落ちていると言わざるを得ない。
 では、どうやって以前のように浮上できるか。まず戦略的なマインドを持ち素早い決断と実行をするために施策を打つことである。今持っている資金はいくらで、そのうちいくらを即投資すべきかを考え実行しなければならない。しかし、今のように支払いを先送りしているようでは、手持ちの資金がいくらなのか即座にはわからないため、このような戦略的ビジネスはできない。支払うべきアセットあるいはコスト支払いをさっさと片付け、未来に向けたプラス志向の戦略を打ちたてグローバル企業に対抗していく姿勢を持たなければ海外企業に負けてしまう。どの国内半導体メーカーが最初にこのような前向きの姿勢に変えていくかで、生き残り企業が決まるような気がする。
ご意見を
聞かせてください
Semiconductor International日本版編集部では日本の読者の皆様からのご意見や反論をお待ちしております。下記メールアドレスまでご連絡ください。採用分には薄謝を差し上げます。
editor-si@reedbusiness.jp
■装置メーカーいじめはまだ他にもある
 7月号の Engineer’s Voice 「弱い立場の企業をいじめることはやめて欲しい」を読んだ。まったくその通りだと思う。最近は短納期の要求がより一層強くなっている傾向にある。そのくせ半導体メーカーは注文書を発行しない。やむなく装置メーカーは先行で進めることとなる訳だが、注文書を発行していないことを良いことに半導体メーカーからは追加仕様や変更の要求が後を絶たない。
 また、国内と韓国のユーザーは独自の安全仕様を要求してくることが多く、それらが納期と価格をさらに圧迫している。それ以外の海外のユーザーでも独自の安全仕様がないわけではないが、日本と韓国のユーザーにその傾向が強い。ひどいユーザーは工場単位で要求仕様が違う。せっかくSEMI 標準で設計しても意味がない。今時の装置が安全性についてさまざまな仕様を追加しなければ安心して使えない訳がない。事実、海外ではそのままの仕様で十分使われている。これでは納期やコストで勝てない。
 そのような状況で半導体メーカーはコスト削減のために消耗品を再生したり、身近なベンダーにコピー品を作らせたりするケースまで出てきている。「装置が止まった!すぐに来い!」と、凄い剣幕で呼ばれ、休みも返上で訪問する。よくよく調べてみると原因はコピー品だったというような、笑えない話は1回、2回ではない。「装置メーカーいじめが出来てはじめて仕事が出来るようになった」と評価されているのではないかとさえ勘ぐってしまう。もちろん今までそれを許し、応えてきた我々装置メーカーにも責任があるのだろうが…。
(匿名希望、新潟県、半導体製造装置メーカー 39歳) 
 
■世界と仲良く、世界に役立つ製品を出そう
 本誌6月号のEditorial「中国で生産すると高くつく!?」という記事は、エンジニアの雑誌らしく定量的な解析がされていてとてもよい。
 日本は資源小国で1億人を超える人口を養うためには、原料を輸入して付加価値をつけて輸出する産業が重要だ。そのように考えると、合格点を上げているのは自動車産業くらいではないか。以前は稼ぎ頭であった電機電子産業は海外工場が増え 上記の観点からすると海外から利益の稼ぎが少なくなってきた。少子化が進んでも 自分とその家族が飢え死にしないためには 世界と仲良くし一生懸命働き 世界に役立つ製品を輸出することが 日本に住む市民の責務だ。もっと良い製品を作り輸出しよう。 そして、われわれ電子産業に働く人々の社会的地位の向上を図り、後に続く若い人を増やす努力が必要だと考える。
(北村 透、兵庫県尼崎市 45歳) 

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