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2005年8月号
パターン起因欠陥がますます検出困難に
Alexander E. Braun
シニアエディター
 今日の微細化された構造では、マスクによるものかあるいは他のプロセス工程によるものかにかかわらず、意図したパターンからのずれが致命的な欠陥を引き起こしている。これらの欠陥の検査方法が次第に重要になってきており、これまで見逃されてきた欠陥を検出できる検査技術の開発が早急に求められている。
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 パターン起因の欠陥はあらゆる異常を引き起こす可能性があり、意図するパターン形成を妨げる。マスクのパターン検査は、直接マスクパターンを画像化し、設計データやダイデータベースと比較して検査する。あるいは、マスクの同じエリアで比較して検査している。
 「パターン検査には2つの段階がある。1つ目は画像取得する段階で、パターンそのものの画像を得るステップ。2つ目は欠陥検出で、パターン画像取得した後、データベースを参照して異常検出を行う」と米Toppan Photomasks社のCTOのFranklin Kalk氏は語る。これらから欠陥の位置や基本情報が分かる。この情報を元に欠陥リペアやレビューを行う。欠陥検出しただけでは欠陥がどのようなものか十分に分からないため、欠陥のレビューは必要だ。これは欠陥リペアを行う前あるいはウェーハにマスクパターン形成できるかどうか決める前に行われる。パターン検査にはマスク1つあたりに数時間かかる。最先端の検査装置ならば100nm未満の欠陥を発見することができる。
 画像取得には、高開口数(NA:High Numerical Aperture)の検査技術と空間像検査(Aerial Image Inspection)技術の2つが使われている。前者は高NA顕微鏡を使って、意図するパターンからのずれを検出する。パターンの欠けやラインエッジ欠陥、クロムの点欠陥などを検出することができる。しかし、位相シフトマスクのような最先端のフォトマスクには十分な性能を発揮することはできない。
 空間像検査装置は露光装置を真似たもので、もっと低いNAを使用している。これは直接パターンの欠陥を見つけるというより、意図したCDからパターンがどれくらい外れているかを見ている。これは位相異常に起因した欠陥を発見する場合に効果的である。Kalk氏によれば、この技術は位相シフトマスクに対して有効だという。また、原理的にパターンの転写性を検証することも可能である。しかし、従来からの欠陥に対する感度は、高NAの検査装置ほど良くない。
 高NA検査装置で使われている波長は、露光装置で使われている波長よりも長い。最先端の露光装置で使われている波長は193nmであるが、高性能の高NA検査装置の場合は257nmである。このため、欠陥検出やリペアした欠陥のレビューを行っても信頼性に欠ける。空間像検査は、走査波長やNA、照明などの条件で決まる。このため欠陥を発見したときに転写できるかどうか判断することができる。
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 フォトマスクの検査で大きな問題になっているのは、パターン検査以外のところにある。一般的に、パターン検査装置は汚染やマスクブランクスの検査に使用されている装置ほど信頼性は高くない。パターン検査装置は複雑であるため、生産ラインの中でも高価な設備となっている。これには理由がある。パターン検査装置は正確でなければならないため、装置開発に時間がかかるためである。また、装置を生産ラインに投入し、必要なデータを取得するにも時間がかかるためである。さらに、パターン検査装置で考慮しなければならないことは、波長が変更されると装置の世代も変わり複雑になることである。暫定的なアップグレードを行うと、習得に時間がかかり効率が下がる場合がある。
 生産ラインと検査装置の連携を高めることが必要不可欠になっている。簡単な例を挙げると、欠陥レビューのデータと欠陥リペアのデータとの接続がある。欠陥レビューは他の方法と合わせて行われることがある。SEMやμRamanは欠陥のレビューや、より詳細に欠陥を調べる上で非常に有用な方法である。現在、検査データはパターンの転写性を評価するシミュレータに送られるようになっている。
 重要な工程でマスク検査の重要性が高まってきている。パターンの転写性に懸念のある領域をコスト効率がよくかつ高速に検査を行わなければならない。DFM(Design For Manufacturing)やDFY(Design For Yield)の話にあるように、エンジニア間で情報のやりとりが行われるようになっている。設計が複雑になってきているため、設計チームだけで開発することが難しい。設計者がデータベースを作成し、マスクメーカーがそのデータを利用して実際の物理量に変換し、装置ベンダーが検査装置やパターンの転写性を評価するシミュレータを作るといった動きになっている。

疑似欠陥か本物の欠陥か

 高NAの検査装置は異常パターンの発見に効果的であるが、疑似欠陥と本物の欠陥を区別することはできない。例えば、マスク上に何の特徴もない真四角のパターンの場合がそうである。もし、コーナーの丸みが大きくなりすぎると、ウェーハに転写されたパターンがもとの設計に忠実かどうか分からない。パターン検査装置の感度をそのような微妙な違いに対応させることはできない。
 致命的な欠陥を検出するためには、検査装置は高感度で検査しなければならないが、アルゴリズムがこの微妙な違いを区別することがまだできない。検査装置で1000個の欠陥をマスク上に見つけたとしても、致命的なものは3個しかないということもある。(図1
図1 欠陥が小さくなっていくと、検査装置はさらに高感度を上げなければならない。感度を上げていくと大量に擬似欠陥が検出されてしまうため、これらを除外するために今以上のコンピュータの処理能力やアルゴリズムが必要になる。45nmノードでは、高感度と高スループットの両方が求められる(出典:米Applied Materials社)

 米Applied Materials(AMAT)社イスラエル法人のウェーハ検査装置部門のグローバルプロダクトマネージャEhud Pzuri氏は、65nmノードの欠陥が最先端の研究で繰り返し起こっていることを確認している。「STI(Shallow Trench Isolation)のレイヤーで20〜30nmの小さなボイド欠陥をよく見かける」と同氏は語る。一方、メタルラインやその底面に亀裂状の欠陥(ポリラインの残渣)が見られる。また、部分的にコンタクトホールを塞いでいる欠陥も見られる。トレンチやビアの内側にも欠陥が発見されることがある。これらは小さくて致命的な欠陥だが検出することが難しい。130nmノードで30nmのボイドは疑似欠陥だったが、65/45nmになると致命的な欠陥となっている。
 小さな欠陥を検出するには高感度が必要になるが、あるレイヤーで大量の擬似欠陥が検出されることもある。擬似欠陥は検査から除外しなければならない。検出感度はスループットと関係してくるため、別な問題が生じている。明視野検査が45nmの生産ラインで使われる検査技術だとすれば、スループットを飛躍的に向上させなければならない。これを実現するには、コンピュータの処理能力やアルゴリズムだけでなく、明視野検査技術そのものも向上させなければならない。これまで、明視野検査はランプ光源の顕微鏡に依存してきた。使用できる光源も限られていた。分解能は、ウェーハを小さなビームスポットで光を当てて、明視野角からの反射光をどのように集光するかで決まる。ランプ光源による明視野技術は照明技術に限界があるため、損傷または反射率の高くない材質には十分な検出感度が得られない。「現在65nmで使われているシステムには拡張性がある。45nmではおそらく20nmの欠陥も検出できるようになり、明視野検査は生産ラインで使われるようになる」とPzuri氏は語る。

レチクルとマージン

 米FEI社のプロダクトマーケティング担当のバイスプレジデントのAnantha Sethuraman氏は、パターン起因による欠陥メカニズムが変わってきたと言う。「致命的なパターン欠陥は、トランジスタ形成工程と配線工程の両方で発生する。トランジスタ形成工程では、トランジスタ構造の問題に関連した近接補正効果(OPC: Optical Proximity Correction)や超解像技術(RET: Reticle Enhancement Techniques)により発生する。配線工程では、厳しい設計ルールや高アスペクトからくる複雑な構造に起因して発生する」と同氏は語る。パターン転写で発生する欠陥は、製品歩留まりだけでなくDFMのフレームワークにも影響を与える。新しくマスク設計をしないで、既存のリソグラフィでより微細なパターニングを行いたいという要求からRETが生まれた。しかし、多くのレイヤーでそれほど使われておらず、さらなる改良が求められている。
 ルールベースのRETが使われている。ウェーハ上にパターンを転写するためにOPCを使って鋭角な形状に変換するようにプロセスを行うと、角が丸くなりライン間隔が狭くなってしまうが、設計ルールや制約条件を変えればライン間隔を広くすることはできる。もし、ラインが適切に転写されていない、または隣接するラインと離れていないと、短絡が発生してしまう。配線工程でライン間にある酸化膜がほとんどないためである。これらの問題は配線工程だけでなくほかの製造工程でもやっかいな問題となっている。したがって、パターン起因の欠陥はパターン自体に起因したものだけでなく、設計や転写性、ルールの定義にも関係してくる。この中でどれか1つでもおかしいと、EDAやリソグラフィ、エッチングのいずれかで問題が発生する。

増加するシステマチック欠陥

 米KLA-Tencor社のシニアテクニカルディレクタのIngrid Peterson氏とシニアアプリケーション開発マネージャのSager Kekare氏によると、ランダム成分に比べ欠陥分布におけるシステマチック成分の重要性が次第に高まってきている。「IC製造では現在、チップ内の同一領域中で発生するシステマチック欠陥の問題に真剣に取り組んでいる」とPeterson氏は語る。また、ある調査によればウェーハ製造工程の中でシステマチック欠陥が多く発生している工程は、リソグラフィ、エッチング、CMPの順であることが分かっていると付け加えた。
 Kekara氏は、二世代前でパターン欠陥といえば、予期しない場所にレジストパターンが付いていたり、あるいは無くなっていたりすることだったと説明する。「現在でもどのパターン構成に問題があるか、どのパターンは合格するかということが分かるエンジニアは、リソグラフィ工程またはマスク工程の中に一部いる。しかし、マスク工程に入ってくるデータは大きく変更されることがあるため、事前の連絡もなく設計の中に新しいパターンが入ってくると対応が難しくなる。リソグラフィ工程の問題は、次の工程に致命的な影響を与える。リソグラフィ工程とその後の工程から小さな埋め込み間隔を決めると、埋め込みボイドや局所的に誘電率を変えるような要因が生じる。これが今度は、配線が平行になっているという前提で行われている計算やモデルを狂わせ、配線に関係した電子ライブラリにエラーを引き起こすことになる。また、CMPを行ってボイドが広がると、配線材料が穴に埋め込まれ配線をショートさせる問題を引き起こす。これらはレチクルが原因となって起こったシステマチック欠陥ではない。RETとレイアウトやマスク製造、ウェーハプロセスがそれぞれ複雑に作用して問題を引き起こしている。次の工程を考慮してスペックに対してわずかにマージンがある場合でも、とんでもない不良を引き起こすことがある。製造工程の中で複数の工程が統計分布の中心部ではなく外部にあると、それがブロックのように積み上げていくと大きな不良や製品歩留まりの低下が生じることがある。これまでは、チップ全体の数点を測定することでマージンを見積もることが簡単にできた。リソグラフィのプロセスウィンドウはCD-SEM装置を使って調べられ、特定の場所のCD測定が行われていた。引き続きエッチングのプロセスウィンドウは、パターン密部と疎部のエッチングレートを測定しローディング効果の調査が行われていた。現在では、どこにマージンがあるのか誰も分からない。プロセスウィンドウを決めるために、サンプリングポイントを選ぶより、受け入れられるように中間的なスペースや構造、パターンが使われている。干し草に針を入れるようなこれらのマージンの決め方は、プロセスウィンドウを非常に狭くし、電気試験を行うまで不良が特定されないことがある。(図2
図2 マスク設計からOPC、マスク作成、ウェーハプロセスというフローの中で中で複数の工程が統計分布の中心部ではなく外部にあると、それがブロックのように積み上げていくと大きな不良や製品歩留まりの低下が生じることがある(出典:米Applied Materials社)
 電気特性試験を行うと、最初の検査で大体の不良が分かる。特定のパターン異常に絞り込むためには、次第に複雑な試験を重ねていかなければならない。この結果、マージンのあるマスクが生産ラインに導入されウェーハの製造が開始されてから、不良が特定されるまで3ヵ月もかかってしまう。マージンを決定するのにKLAでは、PWQ(Process Window Qualification)と呼ばれる方法を使っている。これは、製品を製造する前に、レチクルが生産ラインに導入された時に予めマージンを確認しておくことで3ヵ月も時間がかかっていたところを数日に短縮することができる。「我々の顧客の中は、設計からOPC、マスク作成、ウェーハプロセスといった従来の方法で行っていたが、新しいマスクをリリースするのにPWQはまさに最後の砦ともいえる方法だと言っていた顧客もいた」とKekare氏は語った。

マスク検証の考察

 米Photronics社のコアテクノロジー部門のエグゼクティブディレクタPatrick Martin氏によれば、検査には限界があるという。「1つは、露光波長とは異なる波長257nmのレーザーによる検査システムを使用していることだ」。90nm以下のアプリケーションでパターニングに要求されていることは、193nmのレーザー源をリソグラフィに使用することである。「193nmだと透過しないが257nmでは透過してしまう材料物性があるため欠陥を見逃してしまうことがあり、非常に悩まされている」と同氏は言う。193nm特有の材料特性をもつ欠陥検出に関心が集まっている。実際、位相または透過に起因した欠陥により、マスク検証が難しくなっているのも事実だ。
 45nmノードで、別の問題になっているのは、マスクの二次元あるいは三次元測定である。
 マスク全体の忠実性の指標を得るために、フラックスを測定してどのくらい空間像が実際にウェーハ上に転写することができるかを決定する。これに加え、ウェーハレベルでの性能に対してマスク性能の感度を調べるために、側壁や位相などの三次元に関連した測定が行われる。パターン起因の欠陥という点では、ピンホール検出が問題になっている。193nmで画像化できる小さなピンホールを検出することは、特に位相シフトアプリケーションでは難しいだろう。レベンソン型位相シフトマスク(AA-PSM: Alternating Aperture PSM)を必要とする位相シフト技術もあり、位相やπシフト境界を検出することができるものもある。特に強度調整を行うためにアンダーカットを入れている構成になっていると制限されることもある。
 光線性(Actinic)の検査システムを実現するためにはいくつか問題がある。それは技術的な問題と消耗品が高価なことである。45nmのアプリケーションにおける問題を解決しているシステムはそれほど多くない。約10社が45nmに取り組んでいるが装置が非常に高価になるため、90nmから65/45nmに移行する上で最初の障害となるだろう。

総合的計測への移行

 米Timbre Technologies社のプロダクトマーケティングマネージャのSanjay Yedur氏は、ウェーハやマスクのCDや形状を非破壊で測定できる装置として、光学式CD・形状・膜厚測定技術(ODP: Optical Digital Profiling)が有効であると言う。形状情報は、マスクのウェットエッチングプロセスで重要である。最先端の位相シフトマスクと同様にクロム下部のアンダーカットにウェットエッチングプロセスが一般的に使われている。米Nanometrics社のシステム「Atlas-M」から得られるスペクトルデータと組み合わせると、ODPはマスクのCDや側壁の角度、エッチング深さを精度よく測定することができる。最先端のマスクを評価するにはCD-SEM装置で得られる上からの情報だけではもう十分ではないため、CDと形状の計測は重要になっている。チャージアップやLERのような従来のCD-SEMで起こっていた問題もODPでは起こらない。ODPはオーバーエッチングやアンダーエッチングといったプロセス不良も見ることができる。
 「光学プロファイリング装置のサイズが小さいことや測定速度が速いことが、統合型計測機の可能性を広げた」とYedur氏は語る。統合型計測機は効率がよいため、これまで生産ラインで使われていたスタンドアローン型計測機から統合型計測機に置き換えられるだろう。この結果、短時間でレチクルやウェーハ全体のCDや形状データを得られるようになる。またこれが実現できれば、これまでできなかった製造管理やプロセス異常検知が行えるようになる。
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Applied Materials www.appliedmaterials.com
FEI www.feicompany.com
KLA-Tencor www.kla-tencor.com
Nanometrics www.nanometrics.com
Photronics www.photronics.com
Timbre Technologies www.tel.com
Toppan Photomasks www.photomask.com

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