無償購読申込・変更
Email Newsletter登録
記事検索

検索方法の詳細



2005年8月号
縮小投影型露光装置を
MEMS製造に適用する
Pter ten Berge
蘭ASML社
www.asml.com
 MEMSのポテンシャルを様々なアプリケーションへ十分に展開するためには、専用のツールとそれに適合するプロセスを開発しなければならない。しかし、現在のCMOS技術と既存の縮小投影型露光装置でもMEMS機能を多くのICタイプと統合することが可能であり、これはデバイスメーカーには利益をもたらし、ユーザーにはさらに優れた機能を提供する。
* * * *
 マイクロシステム技術(MST:Microsystem Technoloy)とその派生であるマイクロマシン(MEMS:Microelectromehanical System)は、CMOSプロセス技術と統合され、急速に主流となりつつある。CMOSプロセスと互換性のある技術で製造されたMEMSデバイスには、圧力センサー1)やRFコンポーネント2)3)がある。このトレンドには複数の要因がある。デバイスに機能を追加することができ、最終製品の小型化もできる。また、MEMSデバイスの量産に入り、経済性も向上してきている。
 多くの場合、インテグレーションを施すことでデバイスへの機能の追加が可能になる。同じ大きさのデバイスにフィルタ、アンテナ、加速度計やドライバIC機能、またはアンプ機能を付けることができ、通信デバイスに多くの新しい機能を付加することが可能になる。その一例として、カメラの手ぶれ補正機能やマルチバンド化された携帯電話などが挙げられる。さらに、機能を追加しながらデバイスのサイズを小さくすることによって、消費者への利便性を高めながらOEMの製造コストを抑えた小さな電子機器の製造も実現することができる。携帯電話の小型化がその顕著な例といえよう。
Advertisement

 MEMS技術を汎用のコモディティ製品を製造したウェーハに追加することで、ウェーハに付加価値を付与でき、また、それが革新的な機能の追加につながる。この方法ならば、半導体メーカーは高い利益マージンを得ることができよう。しかし、一方でMEMSと組み合わせた積層構造を製造ラインに採用することは歩留まりの負担になるため、一機能あたりのコスト削減が必ずしもMEMSとCMOSの融合の推進力とはなり得ないことを覚えておかなければならない。
 MEMSとCMOSプロセスを統合するメリットとして、現在使用している製造装置を最大限利用できることが挙げられる。多くの場合、CMOSプロセスで使用してきた製造装置はCMOS対応のMSTプロセスに適応できる。1つの装置でMEMSデバイスとドライバICを生産することができ、製造ラインでは装置の占有するフットプリントが縮小できる。先述の革新的な機能の付加を既存の生産ラインに適用できるため、MEMS技術のCMOSプロセスへの融合は半導体業界で理想的なビジネスモデルを生み出すと認識されつつある。
 また、MSTデバイスは一般的にかなり小さく、1枚のウェーハから非常に多くのデバイスが製造できる。これがMEMSデバイス全体のウェーハ生産枚数が主要なIC生産枚数に比べて少ない理由であり、MEMS製造ウェーハの主流が依然として小さな150mmウェーハが使用されている理由だ。しかしながら、今後CMOSウェーハ上にMEMSデバイスを形成する場合、例えばCMOS技術で製造されたドライバICとMEMSデバイスの融合の際には、CMOSウェーハ上にMEMSを作成しなければならなくなる。このためMEMS製造においても200mmウェーハの使用が増加していくと思われる。

縮小投影露光装置をMEMSに


 このMEMS技術のトレンドが、MEMS製造プロセスに縮小投影型の露光装置の導入を加速させている。縮小投影露光装置の適用は、MEMS製造にいくつかのメリットをもたらすことになりそうだ。今まで、縮小投影露光装置は要求される解像度やオーバーレイ精度がITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)で規定されていた。MEMS製造では、そのデバイスによっても異なるが、露光装置には今までとは違った要求が出てくることになりそうだ。
 ・厚膜レジストへの対応と焦点深度の拡大
 ・構造寸法に比例した厳しいCD制御 ・基板両面を処理するための両面アライメント
 ・高アスペクト比を持った面内の凹凸に対応するため、focus-to-alignment-offset値の増加
 ・大きな面積のデバイスを露光するための高度なつなぎ合わせ機能
 ・マテリアルハンドリングの柔軟性(小径ウェーハや微小部品の搬送)
 いくつかの要求は既存の縮小投影露光装置でも対応できるが、MEMS製造固有の特別な要求もある。
図1 光学リソグラフィー技術のCD均一性性能
CD均一性

 既存の縮小投影型露光装置は、既に優れたCD制御性能を有しており、MEMS製造に適用することができる。(図14)。このCD制御性は、例えば2〜3μmの線幅に対して変動50nm未満程度に線幅変動を低く抑えなければならない光学デバイスや、ピエゾ素子特性を左右する圧力センサー等の製造に不可欠だ。
 厚膜のi線レジストの感光性能は高く、MEMS技術への適用も可能だ。ITRSに厚膜レジストや高アスペクト比に対する要求事項はなかったが、最近の開発でi線照明のポテンシャルの高さが明らかになってきている(図2)。

アライメント性能

 MEMS製造に縮小投影型露光装置を適用するもう一つのメリットとして、ITRSの要求に応える形で露光装置が達成してきた優れたアライメント性能がある。この基本的な性能は、開発およびエンジニアリングを進めていけばMEMS製造においていくつかのメリットを生むことになりそうだ。
図2 10μm厚のレジストを使用し、i線露光装置で転写された1:1のライン&スペース、アスペクト比5:1のパターンのSEM写真

・高アスペクト比を持った面内の凹凸に対応するため、focus-to-alignment-offset値の増加
・基板両面を処理するための両面アライメント
 従来露光装置のアライメント用レーザーの優れた角度制御によって、focus-to-alignment-offset値が拡大することができ、100μmの面内平坦度で層間のオーバーレイ制御150nm以上が可能になる。
 MEMS製造では、高精度なアライメント技術が両面プロセスへのブレークスルーとなる。この技術は量産対応のプラットフォームで提供され始めている。蘭AMSL社は、MEMS製造に対応するアライメント技術「3DAlign」を発表している。これは、XとYの両方向にグレーチングする2つ(もしくは4つ)のターゲットであるアライメントマーカーで、光学系を通してマーカーにレーザーを照射し、位相グレーチングのコントラストの情報を含む反射したレーザーを検知することで、非常に正確なアライメントを実現する(図3)。過去20年間では、この光学系を通したTTL(Through-The-Lens)アライメント技術が半導体アプリケーションで真価を発揮している。
図3 3-D alignでの両面アライメントの基本原理
 一見このアライメント基本構造は洗練され且つ簡潔に見える。露光ウェーハテーブルには一対(もしくは二つ)の光学モジュールがあり、レーザーはこれらを通ってウェーハ裏面にあるアライメントマーカーへと照射される。反射された信号がウェーハ面にあるアライメントマーカーの画像を作り出し、あたかもレンズを直接通した前面TTLアライメントのようにアライメント処理が行われる。しかし、この裏でアライメントサイクル中に正確な位置決めできるように、光学特性のキャリブレーションやリファレンス、特性化が行われている。よって、ウェーハテーブル構成には何百もの独立した設計パラメーターが必要となる。
 これらの先端の技術によって、今までMEMS製造ではなし得なかった精度が得られるようになった。両面アライメント性能は、光学MEMSデバイスや化合物半導体製造の裏面ビア形成に、または、SiP(システム・イン・パッケージ)の製造にも必要不可欠な技術の一つとなりつつある。3Dalignでは基板裏面のオーバーレイ性能は250nm未満を達成でき、これによって多数の新しいデバイスやプロセス技術が生み出されるだろう6)

微細部材のハンドリング

 MEMS製造において最も柔軟性を必要とするのは、微細部品・部材の搬送、ハンドリング技術である。高価な基板を使ったR&Dなどの低い歩留まりのデバイス開発では、MEMSに搭載される微細な部材・部品のハンドリング技術が必須だ。このため、10×10mmチップの搬送のようなマテリアルハンドリング技術の開発が既存の露光装置でも進められている(図4)。この機能は、InPや超伝導材料分野でのR&Dでコスト効率が高いことが分かっている。
図4 縮小投影露光装置の微小チップのハンドリングの模様。優れたオーバーレイ性能は維持されたままとなっている

 さまざまなアプリケーションでMEMSのポテンシャルを充分に引き出すためには、新しい専用装置や適合するプロセスが必要になってくる。しかし、既存のプロセス技術でMEMSをさまざまなチップに搭載することがデバイスメーカーに利益をもたらし、ユーザーにはさらに優れた付加価値を提供できるということは、半導体メーカーにとっては朗報であろう。

謝辞

 米MicroChem社と日本化薬社にi線レジスト露光のSEMを提供頂きました。
* * * *
Peter ten Bergeは、ASML Special Application部門で2000年からマーケティングマネージャを務めている。ASML入社前は11年間にわたり薄膜ヘッド産業で歩留まり・集積化技術に従事し、薄膜ヘッドや磁気記録メディアのR&Dにも携わった。蘭Utrecht大学で化学の理学士、蘭Twente大学で物理の博士号を取得している。
* * * *
参考文献
1. Stefan Kolb et al., “Solution for a Tire Pressure Sensor in Surface Micromachining,” Intl. MEMS/MST Industry Forum, April 2003.
2. David Seeger et al., “Fabrication Challenges for Next-Generation Devices: Microelectromechanical Systems for RF Wireless Communications,” J. Microlithography, Microfabrication and Microsystems, July 2003, p. 169.
3. Theo Rijks et al., “RF MEMS Tunable Capacitors With Large Tuning Ratio,” 17th IEEE Intl. Conf. MEMS, 2004.
4. Peter ten Berge et al., “Overview of Lithography Requirements in MST,” Intl. MEMS/MST Industry Forum, April 2004.
5. “Decoupling Alignment and Process,” ASML Special Applications Technical Symp., SPIE Intl. Symp. on Microlithography, March 2005.
6. Eric Smeets et al., “3DAlign Overlay Verification Using Glass Wafers,” Photonics Asia, November 2004.

HOME | SI(日本版)について | 無償配付申込・変更 | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載について | 関連サイト