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2005年8月号

米IBM社
バイスプレジデント兼Chief Technologist
Systems & Technology Group
Bernie Meyerson氏

[プロフィール]Bernie Meyerson
IBMの研究員でバイスプレジデントであり、米N.Y East FishkillにあるIBM Systems & Technology GroupのChief Technologistでもある。彼の初期のSiに関する実験は30年以上Siに対して持たれていた仮説が間違っていたことを証明した。同氏の SiGeに関する研究は革新的なもので、通信業界の中でIBMをSiGeチップ供給の先駆者となり、ADI、Alcatel、Tektronix、Hughes Electronics、National Semiconductor/Intersilなど、多くの大手企業と提携を結ぶ手助けをした。同氏はNew York City大学で物理学の博士号を取得。180以上の論文を発表し、40もの特許を得ている。
* * * *
Semiconductor International (以下SI):液浸リソグラフィ技術への期待が大きい。
Meyerson:液浸リソグラフィは、解像力の向上と製造ラインへの導入のしやすさで優位な立場にある。開口数(NA)0.85の既存の露光装置によるドライリソと比較した場合、液浸リソのメリットは焦点深度(DOF)の著しい向上だ。現在8〜10層の多層メタル配線の生産を始めるところにあるが、各レイヤーでより良い平坦化特性を維持する必要があり、DOFを向上できる装置が必須となってくる。一方で、F2(157nm)のインフラが十分に整っているとも言えない。

SI:F2は終焉してしまうのか?
Meyerson:既存の技術コンセプトを切り捨てることはできない。とは言っても、この特定の波長を使用するために周辺材料の要求を満たすには多大な労力がいる。現時点では、EUVなどの代替案の研究の急速な進展の方が注目される。
SI:遅れているが見限ってはいない。
Meyerson:液浸は早くから大きな成功を収め展開されている。我々は液浸露光装置を導入し、その技術を適用して商用のマイクロプロセッサを生産することができた。蘭ASML社より供給された装置を使用し、米Albanyで厳しいパターンの形成に成功した。早くに実証できたということは、液浸リソには相当な信頼性があるということだ。
SI:あなたは、Si技術の従来のスケーリングは130nmから90nmへの移行で終焉し、消費電力の壁にぶつかったという。これは材料からフィンFETなどの構造まであらゆる種類の新しいものが必要になるということだ。この状況をどのようにとらえているのか?
Meyerson:従来のスケーリング方法が発展可能ではないという事実を理解することが大切だ。残念ながら、従来のスケーリングはムーアの法則と直接関連していると思われている。しかし、そこにはそれほどの関連性はない。性能向上のペースについて提唱したムーアの法則では、素子の集積密度は約18〜24ヶ月の周期で倍増すると予測している。しかし、これは今までのスケーリングには当てはまらない。もし従来のスケーリングなしでムーアの法則に従うと、ちょうど現時点で平方センチメートルあたりのチップの出力密度は数千万倍ものワット数に到達しているだろう。微細化技術において重大な問題は、従来通りのスケーリングに従って一定の出力密度を保つことである。
 一定した出力密度はスケーリング則を通して達成される。考えてみれば、ムーアの法則は面積と微細化する割合について述べている。しかし、これはXとYのみの話、面積である。スケーリングは、XとYだけの話でなく、20点以上の要素の微細化が必要だ。いくつかの企業は従来スケーリング則を正確に順守する能力に欠けていたようだ。チップを縮小するだけならば容易だが、温度上昇を防ぎたいのならば、スケーリング則に従うか別の革新技術を見つけるかしなければならない。
SI:この変化はいつ起こったか?
Meyerson:この変化は正しくスケーリングできなくなった130nmから90nmの間で起きた。ゲート酸化膜が良い例である。ゲート酸化膜の膜厚はこれらのノード間で思うようにスケーリングできなくなった。実際に、ゲート酸化膜厚のスケーリングは終焉してしまった。酸化膜を世代とともに薄膜化していく代わりに、酸化膜kはほぼ一定のサイズに留まっている。このスケーリングの失敗によって、別のプロセスが使用されるようになり、それが現在の熱問題をもたらしている。酸化膜厚スケーリングを促進できなかったことによる性能損失を埋めるために、スケーリングが指示するよりも動作電圧(Vdd)を不適切に高く設定した。しかし、これによって動作電力とリーク電流の点が犠牲にされた。プロセッサに見られる消費電力の問題は、ムーアの法則が継続したとしても、ムーアの法則を次世代へ導いていたスケーリング方法を失ってしまったという認識に至らなかったことが原因だ。ムーアの法則のサイズの縮小は継続可能であるのは間違いない。しかし、モノが小さければうまくいくという従来のスケーリングはもはや適用不可能であり、技術革新を通して新しい方法を見つけなければならない。
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SI
:微細化よりもシステムレベルの革新が必要?
Meyerson:確かに未来のチップの性能は今後登場する革新的な技術によって決まるだろう。微細化は意図する効果とは全く逆のものをもたらすことになる。例えば、90nmから65nm、45nmの微細化をやみくもに続けると、酸化膜厚は1.0nmから0.5nmへと薄厚化しチップは熱によって熔けてしまうだろう。微細化できないと言っているのではない。チップを縮小することでコストも下がる。しかし、結果として出来上がったものの出力密度を要求値に抑えるには材料、プロセス、構造の驚異的な革新技術が必要だろう。
SI:PCの処理能力が半導体業界の行方を決めていました。米Intel社はMPUをシングルプロセッサからオンチップマルチプロセッサへと変え、動作周波数競争から身を引いた。クロックスピードが重要でなくなっているとしたら、「Power5」と「BlueGene」の間にあるPC用デバイスの未来をどのように見るか?
Meyerson:我々は1996年ごろMPUの将来を熟考した。そして、もしこれまでのメガヘルツ競争にのっとりクロックスピードを上げたとしても、必ず電力の壁にぶつかるという結論に達した。だから我々は別の道を選んだ。2001年にマルチコアプロセッサを用いた初期の「Power4」を出荷した。このデュアルコアデザインのチップは同時に両方のコアを作動でき、特筆すべき追加性能が得られた。クロック周波数はシステムが性能を強化するたびに速くならなければならないわけではない。現在業界で広がりつつあるこのマルチコア技術は主流になりつつあり、次のレベルへと持ち越されるだろう。
 当社は2001年にはすでにマルチコアチップへと移行していたが、次の論理的な一歩は、多数のプロセッサコア、メモリー、ネットワーク、ストレージなどの資産を有効活用することである。現在では短い期間でチップに多くの機能を搭載できるようになった。デスクトップにおいてさえ、最近までは高性能サーバでしか見られなかったアーキテクチャ上のトリックを使用できるシステムを見かけるようになった。数年前「ホリスティックデザイン」という新しい言葉を提案したが、最近では広く使われている。これはユーザーのIPを最大限に生かすため、マイクロプロセッサからそれをサポートする半導体まで、OSにつながる全ての要素を考慮した設計技術である。すなわち、自分で全体のシステムをマイクロアーキテクトするのである。
SI:ナノテクノロジーの発展をどのように思うか?
Meyerson:我々は、比較的初期の段階でポロジェンを使用するコンセプトを発明した。SiCOHのLow-k層間絶縁膜を研究した。ポロジェンはLow-k膜の基礎材料と混ざったときに、SiCOHから規則的で組織的に自己を分離し、再現性の高い微細構造を形成できる。この成分のユニーク化学組成により、膜からこの成分を選択的に排除することが可能となる。熱、光、電子ビーム(EB)などを用いて、絶縁膜だけを残してこれらの物質は発散される。結果、材料そのものより誘電率が大幅に低い絶縁膜を得ることができる。
SI:DFT(Design for Test)は不可欠になるか?
Meyerson:いくつかの理由から不可欠になっていると思う。現在組み立てているものの複雑さが、実際に機能の全てをテストすることがどれだけ難題であるかをますます実感させる。テストで発見されるまえに問題に対応するために、設計しているものが失敗か成功かをできるだけプロセス初期の段階で分かる高性能なBIST(Built-in Self-test)を組み込まなければならない。
SI:我々が直面している最大の課題は?
Meyerson:開発を進めている次の数世代の製造技術には、ある程度の自身がある。あえて挙げるとすれば、材料の基礎研究である。材料は数世代にわたって使用されることになるため、根本的に新しい材料を導入する時には確実に確かな選択をしなければならない。High-kゲート絶縁膜などデバイスのコア技術を置き換えるならば、歩留まりの問題や信頼問題が製造後に発見されることを避けるために、過去に十分な実績を持ち、確信したい。新材料の導入に際しては冒険することはできない。我々は将来に向けて新しい材料のロードマップを確保しなければならない。
(聞き手:Alexander E. Braun)

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