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2005年8月号
Yield Management
なぜLow-k絶縁膜の絶縁不良は起きるか?
Laura Peters
* * * *
 今日まで実デバイスの配線構造に使われているLow-k絶縁膜のTDDB(Time-Dependent Dielectric-Breakdown)劣化に関する十分なメカニズムが完全に理解されていなかった。しかし、60以上のスプリット条件と100枚以上のウェーハを使った大がかりな調査を行ったところ興味深い結果が得られた。
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・SiCOH TDDBは全てのインテグレーションに反応する。
・SiCOHの絶縁破壊は3つのステップからなる電気化学的なモデルに従って発生する。
・電界や温度、水分、酸化したCuによりCuのイオン化が起こる。
・CuはSiCOHとキャップの界面に沿って移動するようである。
 米IBM Microelectronics社や米ソニー、シンガポールChartered Semiconductor Manufacturing社、米AMD社、独Infineon Technologies社、東芝の研究者は、この膨大な実験データを基にSiCOHのTDDBのばらつきによる影響についての共同研究を2005年4月にカリフォルニア州サンノゼで開催された「IEEE International Reliability Physics Symposium」で発表した。
 櫛状のパターンと蛇行パターンが入り組んだテスト構造を使って、ウェーハレベルまたはモジュールレベルで一定電圧のストレスがかけられた。低い電圧を短い時間で小刻みに加えて、ストレス誘起リーク電流(SILC: Stress Induced Leakage Current)を観察した。SILCの100倍の電流が流れた時に破壊が起こった。TDDBのテストは100〜175℃の温度範囲で行われた。
 リーク電流と絶縁破壊強度はともに、Taライナープロセス、具体的に言うとCMP後のトレンチ上部のTaライナーの形状に依存することが分かった。ライナー膜の厚さや品質がSiCOH膜のTDDBに影響を与えていた。
 研究者たちは、層間絶縁膜やライナー膜、配線間隔に関係なく、CuのCMP工程とキャップ成膜工程の間の時間がCuに対して問題を引き起こしていることを突き止めた。BTS(Bias Temperature Stress)試験前後のTEM写真から、Low-k絶縁膜とキャップ膜の界面にパーティクルが存在していることが分かった。これはCuの電子エネルギー損失スペクトルによって確認できた。
TDDBテストを行うとSiCOH膜とキャップ膜の界面に沿ってCuイオンが拡散していく。メタルブリッジの形成により抵抗短絡が起こる
(出典:米IBM社)

 「一般的に、2つのLow-k絶縁膜の不良メカニズムがBTS試験中に別々に起こっている。1つ目は、熱化学的な反応プロセスによるLow-k絶縁膜の分子結合の切断。これには温度依存性はあまりない。2つ目はCu拡散によるメタルブリッジの形成。これには比較的大きな温度依存性がある」とIBM Microelectronicsの信頼性技術エンジニアのFen Chen氏は説明した。SiCOH膜の絶縁破壊特性(8MV/cm)と大量なTDDBのデータを見ると、65nmではCu拡散()がSiCOH膜の絶縁破壊を左右している。
 SILCの変化をモニターしたところ、劣化の過程には3つのステップがあることが分かった。ストレス開始直後電流は減少しその後次第に電流が増加していき、突然電流が急増する。最初の段階ではライナー膜の状態に依存する。2番目の段階では配線間の絶縁膜の劣化が始まり、リーク電流が増加する。最終段階では絶縁破壊と共に構造が破壊される。
 界面の酸素や水分と接触するとCuは酸化する。トラップされた水分に電界や熱が加わると、Cuはイオン化と絶縁膜中を移動する推進力を得る。
ここでnは1または2である。Cuイオンはライナー膜を通り抜けてSiCOH膜中に入る。リーク電流が増加して、さらに多くのパーティクルが絶縁膜界面に形成されるため、電界に変化が起きる。SiCOH膜中のCu濃度が臨界レベルに達すると、その電界で抵抗短絡によって発生するポテンシャルジュールエネルギーにより、致命的な不良が発生する。
 TDDB不良の多くは上部界面で観察されるため、SiCOH膜とキャップ膜の界面が非常に重要である。キャップ膜の成膜やキャップ前のプラズマクリーン、CMPプロセス中にSiCOH膜はダメージを受ける可能性がある。Cu腐食や表面水分レベルを管理することで、電気化学的な反応を防止することが可能である。
 最終的に、従来のモデルや厳しいテスト構造や電界モデルの加速要因を用いた寿命予測を行ったところ信頼性の目標値を超えることができた。

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