無償購読申込・変更
Email Newsletter登録
記事検索

検索方法の詳細



2005年8月号
Inspection, Measurement and Test
トプコンが回転位置ずれ補正アルゴリズムを独自開発
イントレイチップ外観検査装置「Vi-3100」を製品化
Kazuo Tsuchiya
* * * *
 
 携帯電話やデジタル情報家電の小型化に伴い、半導体チップを基板に直接実装するプリップチップパッケージが使われてきている。フリップチップパッケージにより高密度実装が可能になるが、高密度バンプによる接合では半導体チップ上にゴミや異物、バンプに傷があると接続不良を引き起こしてしまい基板が無駄になってしまう。
Advertisement

 また、自動車に搭載される半導体チップも増加してきている。自動車向けの半導体チップは、温度や湿度、振動など過酷な条件化で使用されるため、はんだ接続が不十分でも電気試験で合格してしまうが、出荷した後に振動や衝撃によりとれてしまう可能性がある。これでは大きな事故につながる可能性があるため、検査の品質や信頼性への要求がさらに厳しいものになっており、出荷前の最終検査としてチップ外観検査の重要性が年々高まっている。これまで数十μmの欠陥検出できれば十分であったが、パッケージの高密度化に伴い2〜3μmの欠陥を全自動で精度よく検出することが可能な外観検査装置の開発が急務となっていた。
 このような市場のニーズを受け、トプコンは半導体チップの最終試験を行うイントレイチップ外観検査装置「Vi-3100」(図1)を2005年7月から発売を開始した。これまで、チップ外観検査は主にウェーハ顕微鏡を使って目視検査で行われてきた。 Vi-3100はトレイに入っている半導体チップを取り出すことなく、非接触かつ全自動で外観検査を行うことができる。また装置の全自動化により、生産ラインで操作するオペレータの数を削減することが可能になり、装置の稼働率の向上や検査コストの低減、検査品質の安定性向上を実現することができるようになった。

Vi-3100の概要

 Vi-3100の装置構成とトレイの流れを図2に示す。ロード側にエレベータが2つあり、1つのエレベータにトレイを30個置くことができる。搬送ロボットが半導体チップの詰まったトレイを検査ステージに搬送する。検査ステージは、振動によりトレイのポケットの中にあるチップが動かないように除震台が設置されている。チップの外観検査を始める前にトレイの歪みをレーザー変位計で複数点計測して、この結果をカラムにフィードバックしてフォーカスの補正を行う。欠陥検出の感度に関係してくるため重要である。
図1 Vi-3100の外観

 次にトレイのポケットの中にあるチップの回転および位置ずれの補正を行う。CD-SEM装置や膜厚測定器では、ウェーハやチップ内の基準となる複数の座標から補正量を求める方法が使われているが、この場合は具合が悪い。それは、トレイポケットに入っているチップが一様にずれているわけではないので、チップごとに複数の座標に移動させて補正量を求めていては時間がかかる。また、ステージ移動中にチップが動いて正確に補正量を求めることができないかもしれない。トプコンは、画像処理で高速にチップの回転および位置ずれの補正を行う独自のアルゴリズムを開発し(図3)、これによりイントレイのチップ外観検査が全自動で行えるようになった。
 この後に、チップの外観検査を行う。検査は予め準備した欠陥のない参照画像と145万画素のCCDカメラで取得した検査画像を比較して、欠陥検出を行う。他の「Vi4000」シリーズなどと同様にパターンの欠けや異物、浮遊ゴミ、傷、パッドの針跡ズレおよび針跡異常など多様な欠陥を検出することが可能になっている。また、欠陥の検出感度は照明によって変わるため、落射照明や斜光照明、フィルタを使った照明など検出する欠陥に応じて柔軟に選択することができる。検査時間は1視野あたり0.035秒と非常に短いため、全チップ領域を全てのチップに対して検査することが可能になっている。
図2 装置構成とトレイの流れ
 検査の結果、不良と判定されたチップは、検査トレイからチップ搬送ロボットで別のトレイに分別される。不良チップは接触しても構わないが、場合によって救済できるチップもあるため強く接触することは避けるべきである。Vi-3100の場合は、チップ搬送ロボットがある一定のところまで検査トレイに上から降りてきて近づくが接触はせず、今度は検査トレイの方から近づき、チップをチップ搬送ロボットにバキューム吸着させ、搬送時のダメージを防いでいる。

部位分類

 従来の方法では検出感度を一定以上に保つためにチップを細かく分割しそのエリア毎に検出する欠陥のサイズや感度、階調テーブルを指定するという方法がとられていた。これは、チップ全面を一律の感度で検査すると良品でも不良と判定されたり、これとは逆に不良が見落とされたりすることを避けるために行われていた。しかし、チップを細かく分割しエリアごとに感度を変えていく方法は煩雑で、チップが複雑になってくると検査レシピの作成が困難になり数時間もかかってしまう。パット部を検査する場合パット1個ごとに矩形のパターンでエリアを指定しなければならない。特に、携帯電話向けのチップのように製品サイクルが短い場合、次から次へと検査レシピを作成し最適化を行わなければならなくなる。
図3 トレイ内のチップ回転位置ずれ補正

 また、エリアの分割を行う際に、丸いパターンや曲がったパターンなどでは十分に矩形のパターンで囲えない場合があり境界がはっきりとしない問題があるため、従来の方法は1画素を問題にする場合には向いていなかった。そこで、トプコンは画像内容に応じて自動的にエリアを区分する、「部位分類図」のアルゴリズム(4)を採用し、Viシリーズの全機種に搭載されている。CCDカメラで取得した検査画像の階調(256階調)を調べ、階調ごとにレベル分けを行う。そして、階調レベルごとに色を指定し、その色ごとに一括で検出感度やサイズを指定できる。これにより、検出感度を過不足なく適切なレシピを簡単に作成できることが可能になっている。どこまで検査レシピの最適化を行うかにもよるが、数十分レベルで作成することができるという。

最適化Min-Max法

 欠陥検出は参照画像と検査画像を比較しその差分から判定を行っている。しかし、単純に差分を行った場合、検査画像の回転や位置ずれ(画素ずれ)などにより差分値が0になることがない場合が発生する。このため良品であっても不良と判定されてしまい、誤検知の原因となる。この誤検知の発生を抑えるためには、一般的に判定しきい値を大きくとる方法があるが、この場合検出感度を下げる結果となってしまうことが多い。あるいは、大量の良品の画像を学習させて誤検知の要因となっているノイズへの反応を小さくさせる方法もある。しかし、微妙に異なる良品画像を大量に用意しなければならず、学習させるまでに時間がかかってしまい簡単に検査することができない。
 この画素ずれによる発生ノイズを抑制するために、トプコンはゲームプログラミングでよく使われているアルゴリズム「Min-Max法」を改良した「最適化Min-Max法」を開発し、欠陥検出のアルゴリズムに採用している。最適化Min-Max法は、局所的な位置合わせを行った後にMin-Max法の考え方で差分演算して残ったノイズを低減させる方法である。
図4 部位分類による検査エリアの設定例
局所的な位置あわせは、ある画素とその隣接する画素からなる局所的なエリアを少しずらした(1画素以下)9種類の基準画像との比較を全ての画素について行う。このとき、どの方向に差がどのくらいあるかを演算する。この演算した結果から差分が一番小さくなるように局所的な位置合わせを行う。これにより、単純な差分演算で残ったノイズ成分を半分以下に低減させることができる。しかし完全にノイズを除去することができないため、Min-Max法でノイズを抑制する。これらの演算で残ったものを欠陥として検出している。最適化Min-Max法により、明度差を大きくとることが可能になるため欠陥検出能力をあげることができる。
 この結果、目視による検査結果とほぼ同じ結果を全自動で行えるようになった。これが実現可能となったのはアルゴリズムの改良によるものであるが、近年のCCDカメラの画素数の向上とコンピュータの処理能力が上がったことも忘れてはならない要因である。トプコンはイントレイチップ外観検査装置 Vi-3100を2005年中に30台の販売を計画している。

HOME | SI(日本版)について | 無償配付申込・変更 | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載について | 関連サイト