無償購読申込・変更
Email Newsletter登録
記事検索

検索方法の詳細



2005年8月号
Semiconductor Packaging
マルチチップ技術市場の成長していく兆し
John Baliga
* * * *
 
 消費電力を抑えながら、コスト効率よくボード上にあるチップ間で信号を高速に送る方法が盛んに研究されている。チップとそれと似たものの間で光通信について研究されたものがあるが、米Silicon Pipe社は、ボード上にある1つのチップから他のチップまで10Gbpsと高速に信号を送信できることを実証した。
Advertisement

 2004年に同社は高速信号をパッケージ上部に巡回させ、専用の伝送回線を使って他のチップに信号を送るというOTT(Off-The-Top)技術を発表した。1)また、SERDES回路を使わずに短距離の信号送信を行うことができたと発表している。それ以来、標準的な800mVでなく100mVで75cmループ回路を通したSERDESチップの高速信号送信を可能にしている。
 に示すようにループ回路には、SERDESチップから加工した汎用コネクタに接続している25cmのフレックス配線が2本ある。さらに、バックプレーンとして機能する25cmフレックス配線がコネクタ間に1本接続している。実際チップ同士は互いに隣接しているが、これは互いに75cm離れて通信しているのと同じである。チップの消費電力は通常のものと比べて2%少なかった。
 高速信号の送信という点で、この構造は非常に単純なものである。信号を遅延させる様々な材質の単/複合体を通してボードに接続しているのではなく、インピーダンスの合った配線を通して直接通信している。高速通信が可能で信号の減衰はない。同社によると、三次元フィールドソルバーモデルの結果では20Gbsの通信が可能だという。
 フレックス配線という案は安価に実現できる提案ではあったが、電圧やグラウンド、低速信号とは別に高速信号が異なる平面へ巡回できるようにチップとパッケージの設計がされていなければならないという問題がある。この問題が発覚したとき、チップ/パッケージ/ボード間で協調設計を行うことが新しい傾向となったが、これは主に90nmプロセスで製造されたチップに対応するためのものであった。2)OTT技術を使うための専用の設計ツールは必要ない。
 もしこれが実現すると、製品化までに要する時間の点でも有利になるかもしれない。チップ/パッケージ/配線間で整合をとるためにそれらの協調的な設計が必要になるが、I/Oドライブ回路の削減や単純化をすることができIC設計者の作業負荷を軽減することが可能になる。減衰したパルスを認識する高度なアルゴリズムは、削減あるいは完全になくすこともできる。
図 専用のフレックス伝送回線を使うことにより低電力で長距離を高速通信できるようになった(出典:米Silicon Pipe社)
 このような技術は、最近の傾向で見られる分散コンピューティングでも有用かもしれない。これは大きなタスクを実行するために処理能力を残しておこうという話だけではない。デュアルコアプロセッサの製造計画の発表に伴って、最先端のプロセッサに組み込まれている特殊回路ブロックは、チップ内での分散コンピューティングを実行する例と考えられている。チップ間の高速信号の送受信を低コスト/低電力で行えるようにできれば、大きな負荷を1つのチップで稼動させていた機能を、いくつかのチップに分散させることが可能になる。
 現在、パッケージを行う方法としてさまざまなものが実用化されている。このため、1つのボードやパッケージに異なる機能を統合する技術が多く存在している。これら技術は広く使われており今後主流になると思われる。しかし、これまでは低コストのアプリケーションに使われる簡単かつ低コストの技術が大きな傾向になっていた。マルチチップ技術が確固たる地位を占めるか、どのような市場に展開されていくかはまだ分からないが、OTTのような低コストの技術が出てきたことが、マルチチップ技術の市場がこれから成長していく兆しと言えるだろう。
* * * *
参考文献
1. J. Baliga, ‘“Pipe’ Provides Express Lane for High-Speed Chip-to-Chip Signals,” Semiconductor International, September 2004, p. 36.
2. J. Baliga, “Chip-Package Codesign: Capabilities Improving, Need Growing,” Semiconductor International, October 2004, p. 36.

HOME | SI(日本版)について | 無償配付申込・変更 | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載について | 関連サイト