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2005年9月号
工場の生産性をいかにして向上させるか?
Carl Fiorletta
米Adventa Control社
www.adventact.com
 ウェーハの口径の大型化など、大きな変更を行うことなく製造装置の生産性を上げることはまだまだ可能だ。
* * * *
 半導体業界で最近よく議論に上るトピックとして、工場の生産性の限界に関する懸念と450mmウェーハの採用がある。皮肉にも、大きなウェーハサイズへ移行することで製造効率が悪くなってしまうので、この考えは業界に一種の緊迫感を与えてしまう。150mmや200mmウェーハサイズから300mmへ移行するのも不経済であった。450mmへの移行は、原料となるSiウェーハ製造プロセスの段階から見ても必ず無駄が生じることになる。しかも、「業界はいつ450mmウェーハに見合った生産量を必要とするのか、また、450mmという大きなウェーハを精製し、引き上げ、スライスし研磨するためにどれだけの設備を入れ替えなくてはならないのか」という論理的な疑問が生じてしまう。
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 ウェーハ原材料の話は置いておき、工場の生産性について考えてみたい。工場の生産性とは1時間に1工場で生産され販売されるチップ数が目安となり、測ることができる。このチップ数は考慮されるべき多くの生産性に関する要因を示唆している。
 例えば、1時間当たりの工場の生産コストはいくらか?または、ウェーハサイズの大口径化以外に生産性を著しく上げるチャンスはあるのか?これらの疑問を解決するため、直接費と間接費の両方のコストを考慮しなければならない。
直接費、固定費には以下の項目が含まれている。
□不動産
□設備
□税金
□工場の減価償却費
□製造装置の減価償却費

変動費は以下が挙げられる。
□原料ウェーハコスト
□消耗部材
□人件費(オペレータ、プロセスエンジニアサポート、装置エンジニアリング、メンテナンス)
□製造装置 (生産時間、メンテナンスコスト、運営費)
□電気などの公共料金
 生産性を向上するために明らかに削減すべきターゲットとなるのは変動費である。表1はコスト削減ターゲットと目標達成の手段をリストアップしている。対象はいたってシンプルだ。
表1 コスト削減ターゲットと目標達成の手段:変動費
ターゲット 可能な対策案 具体案
原料ウェーハ
スクラップウェーハを削減する
プロセス制御の改善
オペレータのエラーをなくす
消耗部材
需要に対してウェーハ処理数を最小限に抑える
プロセス制御の改善
オペレータのエラーをなくす
人件費(オペレータ)
オペレータ1人により多くの装置をアサインする
以下を自動化する
装置選択
ロット移動処理
装置へのレシピダウンロード
生産レシピへのエンジニアリング変更通知
プロセスレシピとパラメータをモデルベースで調整する
人件費
(プロセスエンジニアリングサポート)
プロセスエンジニアリングの維持負担を減らす
以下を自動化する
プロセスデータ収集
プロセスレシピ最適化
装置へのレシピダウンロード
生産レシピへのエンジニアリング変更通知
プロセスレシピとパラメータをモデルベースで調整する
人件費(装置エンジニアリングおよびメンテナンス)
メンテナンス中のダウンタイムを減らす
装置再検証を減らす 以下を自動化する
プロセスデータ収集
装置をスペック内に収めるためのプロセス調整
プロセスデータを他の装置にフィードフォワード/フィードバックする
装置生産性
一年当たりの生産時間を増加させる
レシピを自動的に調整、最適化し、装置をオンラインに保ちスペック内に収める
装置生産性
メンテナンスコストの削減
装置がスペック内に調整できない時のみメンテナンスを行う。時間基準、サイクル基準のメンテナンスは行わない
装置生産性
装置再検証の年間サイクルを減らす
1年あたりのメンテナンスサイクル数を減らす。再検証による作動時間ロスを減らす
・プロセスウェーハのみを製品ウェーハとみなす。テストウェーハやスクラップウェーハは認めない
・消耗部材はテストウェーハやスクラップウェーハでなく、製品ウェーハにのみ使われたものを示す
・製造装置の自動化技術は、装置の性能がスペックの範囲内に収まり、オンラインで収益ウェーハを生産できるように調整されるべきである。自動化技術によってデータを収集しプロセスエンジニアやオペレータによる人的作業やプロセス調整を最小化しなければならない
・レシピを調整しても装置がスペックの範囲内で動作しない場合のメンテナンス時のみ、装置をオフラインにする
 生産性損失コストは、予測可能である(“Lost Productivity Example”を参照)。工場コストと生産速度をもとにこれらのブランクにされている項目を埋めることで予測できる。これに従えば自社の工場のモデルに当てはまる数字を導くことが可能だ。

Lost Productivity Examples
1.スクラップウェーハは生産損失のうち__%を占めている。スクラップウェーハになるまでの工程で付加された価値を足し、ウェーハコストに換算すると$__である。
2.装置をより長くオンライン状態にすることで、生産力は__%高くなる。
3.プロセスエンジニアリングと装置メンテナンスの人件費は、1年当たり$__である。
4.装置のスペック対応性能ではなく時間基準やサイクル基準メンテナンスで装置電源を落とすことで、1年あたり$__の生産損失がある。(もしくは何時間で__台の装置がダウンしているか)

投資利益率(Return on Investment)ワークシートを使うことでこれらのコストが把握できる。また工場の生産性改善による効果も知ることができる。

実例を見る

 ここで、実例とケーススタディを用いて、容易に生産性を向上させるガイドラインとなるデータを提示しよう。まずプロセス別や装置別のデータに注目する。それから工場レベルでの生産性向上を調べる。
 23ページの「Run-to-Run制御を用いて装置レベルで生産性を改善した実例」は、Run-to-Run制御で得られる装置レベルでの生産性向上の例を示している。このような進歩は、ウェーハレベル、チップレベル、そして工場レベルにおいても大幅に生産性を向上することができると言える。
 このページの「Run-to-Run制御を用いて工場レベルで生産性を改善した実例」の表で分かるように、工場#1ではウェーハ/ダイレベルで1年当たり$5530万米ドル相当の生産性を向上し、工場の生産性で見ると、パッケージされたチップでその4倍以上の1年あたり$2億7650万米ドルに相当することになる。
工場#2の例では、工場データを当てはめ、生産性の上昇を計算した結果が提示してある。

工場レベルで生産性を向上する

 製造装置レベルで何が可能かを調べた後には、次は工場レベルでの生産性向上について検討しなければならない。装置生産性の向上をツールレベルの基準を工場レベルの算定へと発展させ、工場の生産性全体の向上を予測することができる。
 二つの補足データに示す装置・工場レベルでの生産向上をあわせて、表2が表す数字を工場のモデルに当てはめることで、Run-to-run制御の実施によって見込まれる工場レベルの向上値が計算できる。

Run-to-Run制御を用いた装置レベルでの改善
CMP装置Strasbaugh:
Sigma −55% 見込みがあまり無い
センタリング +85% 装置強制終了で自動SPC(24/7)
Cpk +100% 
リワーク −10% オペレータの影響は少ない
スクラップ −8% 決定的なデータ
重ね合わせ測定装置:キヤノンのDUV露光装置I4/I5、 KLA-Tencorの測定器「5100」、 FSI のリソセル、ASMLの露光装置(Run-to-Runシステムでモデルベースのコントロールを行い、前ロットの測定をもとに重ね合わせ精度のパラメータを算出する)
□工場の資本回避 $2000万米ドル
□リワーク削減 70%
□Cpk改善 +40%
□平均歩留まり改善 +4〜6%
□プロセス技術作業 −50%
□自動制御 X&Yマークシフト、X&Yスケーリング、拡大
□自動調整 1万5000の制御パラメータ
ゲートエッチング装置:Applied Materials 5200 
(エッチタイム算出にモデルベース制御を使用 プロセス変動の主要要因を特定する)
□フォトプロセス 露光装置間変動
□エッチング デバイス間変動
□Cpk改善:2.04〜3.44
□テストウェーハの削減で1ロット8時間のサイクルタイムを削減
□シングル制御戦略:
エッチング装置、3ターゲット、20万パラメータ
[露光装置]×[エッチング装置]×[レチクル]
CMP装置:Applied Mirra (研磨時間をコントロールするためRun-to-Run制御を使用 目的はCpkの増加、テスト・パイロットウェーハの削減、リワークの削減)
□工場資本回避 $3600万米ドル     
□装置スループット +25%
□ウェーハリワーク −7%
□スクラップ削減 40%
□Cpk改善 150%
□テストウェーハ削減 40%

将来に備えて

 次世代のウェーハサイズを考えるのと同時に、業界に影響を及ぼす製造の非効率性を考慮することが大切だ。高価な材料を消費し、高額な運用時間を費やす半導体製造は材料をスクラップすることを容認しているただ一つの分野かもしれない。しかし、全てのウェーハが収益ウェーハとなる日が来るよう考慮しなければならない。装置エンジニアやプロセスエンジニア、オペレータがあまり介入せず、プロセス制御はさらに自動化され、装置モニタリングも完全に自動化されなければならない。
表2 生産改善の工場モデル
Cpk改善平均
85%
スクラップウェーハ削減
10〜40%
テストウェーハ削減
35〜40%
資本増加平均
12%

Run-to-Run制御を用いた工場レベル生産性改善
工場#1:月産1万7500枚でスタート
Run-to-Run制御とモデルベースプロセス制御にて装置を管理
Run-to-Run制御による改善
□工場レベルで生産能力が12%向上
□装置生産性が25%向上(テストウェーハ、モニターウェーハの削減を含む)
□プロセス制御を改善しプロセス変動を削減することで平均歩留まりが2%増加
工場#2:月産4万5000枚
Run-to-Run制御による改善
□工場生産能力が12%向上
□工場で$2340万米ドルの利益増加(ウェーハダイ)     
□工場で$1億1700万米ドルの利益増加(パッケージダイ)
Fab#3:
Run-to-Run制御による改善
□Fab生産性が20%向上
□1年当たりの装置作動時間を25%増加
□テストウェーハ、スクラップウェーハを90%削減
□リワークを96%削減
□歩留まり3〜10%増加
工場への付加価値
□プロセス技術用の時間を削減
□装置資本要求の削減:リソグラフィで$2000万米ドル、CMPで$3600万米ドル
□利益の増加。これらの数値は年間生産量とウェーハもしくはパッケージダイの価格次第である。

 25mmから300mmウェーハサイズまで長い道のりがあり、大幅な進歩があった。そして今450mmウェーハが真剣に検討され始めている。これは、半導体デバイスはウェーハサイズとウェーハプロセスの二つの観点から生産性を向上させ、製造されているという考え方を変える良い機会でもある。今回のデータを見れば、既存工場の運用を改善するだけでも大きな生産性の向上が得られることがわかる。その上で自問しなければならない。既存の製造技術のままでウェーハサイズの拡大を進めるのか、それともデジタルデバイスのアナログ的な製造手法とは決別し、デジタルデバイスをデジタルな方法で製造するのかを、今決断せねばならないのだろう。
* * * *
Carl Fiorlettaは、米Adventa Control Technologies社のマーケティングディレクタ。1993年の米Texas Instruments社のMMST(Microelectronics Manufacturing Science and Technology)プログラムでは、ソフトウェア、装置設計、センサー設計の責任者でこれらの技術の製品化に努めた。1998年にはMMSTプログラムを前身としたAdcentaの設立に加わる。MMST以前は、米Veeco Integrated Automation社の共同創立者でもあった。半導体業界に従事する前は米LSC Systems社マーケティング部門長であり、米Sciaky International社の生産ラインマネージャを務めた。米ノーステキサス大学を卒業。
E-mail: c-fiorletta@adventact.com

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