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2005年10月号
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| 歪みSi、かつては日本のお家芸 |
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Semiconductor International日本版
編集ディレクター
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津田建二
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2005年7月に開催したSemiconductor International日本版主催のセミナー「次世代メモリーの行方」に続いて、第2回のセミナーを10月12日に東京コンファレンスセンター・品川で開催する。テーマは、「65nm以降のカギを握る歪みSi/SOI技術を徹底検証する」である。
1990年代の終わり頃、米IBM社が歪みSiやSOI(Silicon on Insulator)が従来のバルクSiよりもさらに性能を上げられることを提唱して以来、米国や日本で開発に火がついた。すでに米AMD社はマイクロプロセッサチップにSOI技術を使っているのに加え、沖電気工業は時計用LSI製品、米Silicon Wave社はBluetoothチップに使っている。これからもSOI技術はさらに増えていくとSOIウェーハを供給している仏Soitec社は言う。
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歪みSiは、これから製品に使われる技術である。Si結晶の格子常数よりも大きな材料をSiと接触させると、結晶の格子間隔がそれに合わせて広げられ、その広げられた部分は結晶学的に歪みを生じる。このため歪みSiと呼ぶわけだが、格子間隔が広がった分、電子は走りやすくなる。
これは次のようにして説明できる。常温ではSi結晶格子は熱振動している。MOSトランジスタの電子は、格子の間をまるで回廊のように走行する。しかし、熱振動の影響によって格子と衝突するとエネルギーを失い、スピードが落ちてしまう。電子がソースからドレインへと走行するのにかかる平均速度が電子移動度に比例し、これがMOSトランジスタのチャンネル抵抗に相当する。
もし熱振動の影響が少なければ電子の速度は高まり移動度は上がる。抵抗値は下がるため、短時間に大電流を流せることになる。デジタル回路的には理想的なスイッチングトランジスタである。すなわち、高速のトランジスタができるというわけだ。
もちろん、Siを冷やしても同様な高速動作は期待できる。しかし、冷却装置が必要になるため、民生、産業など一般用途にはまず使えない。
歪みSiもSOIも、もともと日本が世界をリードしていた分野である。SOIのSi層が薄ければ、電子移動度が高くなるという実験結果が、1980年代に学会で次々と発表された。当時SOIのSiの結晶性はバルクよりも悪いはずなのに、電子移動度が高いというデータが出ていた。これは、酸化膜とSiとの界面でSiの格子間隔が広げられて歪みが生じるためだということが各種の計測の結果、分かった。
すなわち、Si結晶格子間隔を広げるような材料をSiと意図的に接触させれば格子間隔が広がり、電子移動度は上がる。このような研究が歪みSiである。バルクSiではもはや性能を上げられないような場合の切り札になる。Siの結晶格子間隔を人工的に広げる訳だから、結晶面方位やn/p型などにも当然左右される。加えて、Si上に形成するゲート絶縁膜やチャネル側壁の材料などによっても変わってくる。ここに研究の深みがある。
しかし、いつの間にかSOI研究の縮小と共に歪みSiの研究が日本ではあまり行われなくなった。そこにIBMからの発表がやって来た。再び関心が高まっている。ただし、日本での研究がなぜ続けられなかったのか残念でならない。 |
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