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2005年10月号
CMPスラリーに
最適なフィルタを特定する
Rakesh K. Singh
米Entegris社
www.entegris.com
 砥粒にシリカを採用したCMPスラリーでは、1.5μmと5.0μmのフィルタがPOU(Point of use)ろ過使用と分布ループフィルタに適したフィルタ特性を持つことが分かった。また、フィルタ選択における実験的評価の重要性について述べる。
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 ウェーハの大径化に伴い、CMP(Chemical Mechanical Planarization)プロセスに要求される性能も厳しくなってきている。平坦化性能の向上や欠陥レベルの低下が求められているため、結果的にCMPスラリー内の粒子サイズが微細になってきている。
 CMPプロセスの品質を保つためには、要求された平坦化粒径分布(PSD:Particle Size Distribution)を保持しながら不要に大きい粒子を除去するCMPスラリーのろ過技術が不可欠である。ほとんどのCMPスラリーは30〜200nmの砥粒を通常濃度0.3〜12wt%で使用している。このようなスラリー特性は、結果として厳しい大粒子カウント(LPC:Large particle count)とPSDスペックを満たす高い保持能力を持ちながら低コストの0.5、0.3および0.2μmフィルタの要求を高めている。同時に、フィルタは適度な流量と長い寿命を持っていなければならない。
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 フィルタが有効なPDS領域でパーティクルを除去してしまうと、目詰まりが起こりすぐにだめになってしまう。特に、保持される粒子と通過する粒子の大きさの差が1桁未満の場合、ろ過技術は困難な課題に直面する。サブミクロンのCMP粒子をろ過するために溶解繊維素材でできたデプスメディアが使用される。ろ過性能はメディア内の繊維サイズの分布と繊維の配置によって決まる1)2)。繊維の径が小さい場合、繊維が大きい場合よりも保持力や圧力損失特性は優れている。しかし、最適なフィルタ性能には、どのような特殊なスラリーを使用する場合においてもフィルタサイズの適度なバランスが必要である。
 フィルタの繊維は粒子サイズの範囲にわたって粒子保持から通過へと段階的に移行する。保持率と粒子サイズのS字曲線を図1に示す。製造プロセスが薄膜を使用し複雑なものに変わったことで、平坦化砥粒の大きさが30〜200nmの一般的なCMPスラリーから、500nm未満の粗大な砥粒を全て除去する必要がでてきた。しかし、ほとんどのメディアの遷移曲線が数μmに及ぶ場合、これを達成するのが困難になる。200nm粒子の通過が可能なフィルタメディアは、粒子サイズが2000nmより大きくならなければ保持力は80%以上に到達できない。
 しかし、保持力曲線をさらに鋭くする方法がいくつかある。同じメディアを多段で使用することで、必要な小さな粒子は通過し、大きな粒子が連続する層でそれぞれ捕えられる可能性が高くなる。もし特定の大きさの粒子を捕えるのに必要なデプスメディアが小さい場合、ひだを付けるなどメディアの表面積を増やすことで大きな粒子の保持力を高めることができる。デプスメディアは段階分けすることが可能で、目の粗い層をフィルタの流入側に、目が密な層を流出側に配置することで保持率を保つことが可能になる(図1)。
図1 多層デプスメディアのフィルタ保持力に対する効果
 いくつかのスラリーに含まれるゲルの存在がフィルタの設計をより複雑にしている。フィルタの寿命を大幅に縮めることなくゲルを効率的に除去するためには、最も目の粗いメディア層のデプスでゲルを捕える大きな三次元構造が必要である。ゲルを上面の密なメディアで捕えると流量が低下し目詰まりが起こってしまう。この層を形成することでメディアが圧縮され、保持力は圧力損失と同様に大幅に高まる。他のスラリー(例:アルミナやセリア)では通常ゲルの考慮は不要だが、シリカ系スラリーでは必要となる。
 我々は、最も厳しいCMPスラリーのろ過にも対応できるフィルタを開発してきた。POU(Point of use)ろ過と分布ループでのスラリー処理フィルタの適合性について調査した。また、フィルタの選択には、特定のスラリーでフィルタ性能の評価を行うことが重要であると分かった。酸化物(シリカスラリー)、STI(Shallow Trench Isolation)のセリア系スラリー、Cu CMPプロセス用のアルミナ系スラリー、ポリスチレンラテックス(PSL)ビーズ溶液に使用されるそれぞれのスラリーろ過について研究した。その結果、同じフィルタで異なるスラリーを処理したところ、保持率、流量および圧力損失(ΔP)の挙動がまったく異なっていた。実際にCMPスラリーフィルタの最適化が依然として経験的なものであることが分かった。また、密度を段階的に分けた多段フィルタは、新しいCMPスラリーで大きな粒子を管理するのに効果的であることが明らかになった。
図2a シリカスラリー使用時の5.0μmのCMP5分布ループデプスフィルタと1.5μm多層POUSLR1 フィルタ

測定方法

 まず最初の実験では、分布ループとPOUろ過を対象とした最適なフィルタを見出すため、シリカスラリー(〜12wt%固体のシリカ-A)を評価した。まず初めのテストでスラリーはCMP5で公称定格密度50μmの多段別デプスフィルタを通して、流量4.3L/minで再循環を5時間行った。
 次のテストでは、SLR1で公称定格密度1.15μmの多層POUデプスフィルタ(図1)を流量400mL/minで使用してスラリーをろ過した。それと同時に5.0μmのグローバルループフィルタで再循環されている。グローバルループとPOUフィルタの性能はフィルタ内のLPCとΔPを監視して評価した。スラリー供給とろ過LPCは上部チャンバ追加モードにあるアナライザ「AccuSizer 780 APS」を使用して測定した。この試験で、5時間再循環されたスラリーはCS05の0.50μmとCMP1の1.0μmの異なる2つの密度の多段デプスフィルタを使用したシングルパス試験でもろ過された。
 2段階目の実験は、異なるCMPスラリーでのCS05とCMP1フィルタの保持力、流量および圧力損失データを取得する目的で行った。25wt%のシリカベースCMPスラリー(シリカ-1)、1wt%のセリアベースSTI CMPスラリー(セリア-1)、1wt%未満のアルミナベースのCu CMPスラリー(アルミナ-1)を処理するためにそれぞれのフィルタを使用した。さらに、高密度なCS05メディアで25wt%のシリカベースのスラリー(シリカ-2)と1wt%のアルミナベースCu CMPスラリー(アルミナ-2)を使用してテストを行った。フィルタメディアへのスラリー供給には蠕動ポンプを使用した。ループ内にはフィルタが無く、ポンプはCS05に500mL/min以下で、CMP1のテストフィルタハウジングに535mL/minの流量でそれぞれに純水を通過させた。
 3段階目の実験は、粒径が0.772〜20μmの粒子を含む純水ベースのPSLビーズ溶液におけるフィルタ保持力、流量およびΔPデータを取得する目的で行った。さまざまなフィルタの相対する保持力データを得るためにPSLビーズ溶液が一般的に使用されるである。これらの溶液は、パーティクル特性が時間と共に変化する実際のCMPスラリーに比べて安定した粒子サイズ分布を保ち、一貫した情報を提供すると思われる。CMPスラリーサンプルと同じようにPSLビーズサンプルのLPCは上部チャンバ追加モードにあるAccuSizer780APSアナライザで測定した。
図2b 分布ループフィルタへの初期供給と5時間再循環後のループフィルタろ過。5時間再循環したスラリーのPOUフィルタ供給とろ過

結果

 シリカ-AスラリーのPOUと分布ループフィルタのLPCの結果を図2に表す。図2aは、スラリーが5μmのCMP5のフィルタを170回ほど通過した5時間の連続稼動中に、分布ループのLPCが安定していたことを示している。実際の工程では、通常スラリーはフィルタが消耗するまで100回ほど循環される。図2bはシングルパスでの大粒子除去における1.5μmのSLR1 POUフィルタでスラリー供給とLPCろ過結果を表す。これらの特性化試験において、フィルタはシリカ-Aスラリーの性質をもとに選出された。この性質とは、平均パーティクルサイズ、平均LPC、研磨剤の種類、wt%と、目標保持力、流量ならびに許容ΔPと期待寿命を含む要求値のことである。この研究で、実験に使用した1.5μm POUフィルタと5.0μm分布ループフィルタがシリカスラリーの処理に適していることが明らかになった。しかし、スラリーが使用前に何度もターンオーバーすると、グローバル分布ループろ過にはやや粗い7.0μmのCMP7フィルタが採用される可能性がある。
 図3は0.5μmと1.0μmのデプスフィルタを使用してスラリーを5時間再循環させた結果を表す。CS05、CMP1およびSLR1を使用した0.56μm以下のパーティクルの累積保持率は、それぞれ55%、38%、37%となった。CMPスラリーろ過において一般的にシングルパスの目標保持率は30%から90%の範囲である。いくつかのスラリーでは、目標保持力レベルに達するために2回以上のフィルタ通過が必要になる。しかし、極度に高い保持力レベルに達するとフィルタ寿命が制限され、ΔPが非常に高くなってしまうことに留意しなければならない。実際のスラリーろ過ではほとんどの場合、許容できるフィルタ寿命で適度に高い大粒子保持力を保つことが目標となる。特定のスラリー向けにフィルタを選出するには実証が必要だ。たとえ類似したスラリーを使用した場合でも、研磨粒子形態、LSP、PSD、wt%、粒子安定特性と化学組成、添加剤や酸化剤の性質などにより、フィルタ性能がスラリーによって大きく異なることが分かった。
図3 シングルパスろ過紙権における0.5μm(CS05) と1.0μm(CMP1)定格デプスメディアフィルタでのLPC
 図4はシリカ-1、セリア-1、アルミナ-1の各スラリーを使用したCS05フィルタメディアろ過実験の結果を示す。供給PDSデータは予想したとおりスラリーによって大きな違いが見られた。フィルタのLPC低減効果は3つのスラリーでかなりの違いがあった。例えば、両スラリーにおいてwt%は同じくらい低かったにもかかわらず、CS05フィルタはアルミナ-1スラリーから大粒子を除去するには非常に効果的だが、セリア-1スラリーに対してはあまり効果的ではなかった。シリカ-1、セリア-1、アルミナ-1スラリーのサンプルでは、0.56μm以下の粒子が、それぞれ1mLあたり〜8×105、2400×105、130×105個あり、セリア-1スラリーとアルミナ-1スラリーは、それぞれシリカ-1スラリーの300倍、17倍多く含まれていたためである。1.01μm以上の粒子数は、それぞれ1mLあたり〜1.4×105、73×105、8.2×105個であった。
 ろ過試験の開始から10分後にフィルタでΔPと流量を測定した。LPC、流量およびΔPの実験的誤差を、それぞれ±5%、±10mL/min、±0.5psiと推測した。0.56μm以下のパーティクル累積率削減を見ると、CS05(0.5μm定格)でLPCが低減され、1.01μm以上の場合CMP1(1.0μ定格)がLPCを低減させていた。
 異なるスラリーではCS05とCMP1フィルタの性能にかなりの差が見られた。研磨剤のwt%が同じ程度のアルミナ-1、アルミナ-2スラリーでCS05メディアを通した場合、保持力と流量は同じくらいであった。CMP1フィルタでもアルミナ-1とアルミナ-2スラリーの結果は類似していた。CS05メディアでは、シリカ-1と同程度のwt%を有するシリカ-2では、低保持力、かなりの高ΔP、低流量という結果となった。同じくCS05メディアで、セリア-1と同程度のwt%を有するアルミナ-1の場合では、保持力とΔPは非常に高く、流量はやや低いという結果となった。セリア-1でのLPC保持力はCMP1を用いた場合のアルミナ-1よりも大幅に低かった。
図4 シングルパスろ過実験で0.5μm(CS05) 定格デプスメディアフィルタを使用した時のLPC 上からシリカ-1スラリー(a)、 セリア-1スラリー (b)、 アルミナ-1スラリー(c)
 wt%が微小なPSLビーズ溶液では、その他のスラリーと比較するとCS05とCMP1フィルタで保持力、ΔPおよび流量が低く、予想通りの結果となった。各種スラリーの安定率はパーティクルのコロイド安定性と濃度によって大幅に異なる可能性がある(例:シリカ、アルミナおよびセリア研磨剤濃度はそれぞれ2、4、8g/ccであった)。 実験に使用したスラリーの平均パーティクルサイズは120〜160nmであった。
 これらの結果でフィルタメディアの大粒子保持性や圧力損失、流量が化学添加物やスラリー中の研磨特性に強く影響されることが明らかになった。加えて、経験に基づいたフィルタの特性評価と最適化が今後のCMPスラリーに必要不可欠であることも分かった。

結論

 今後のCMPスラリーろ過の目標はCMP特性を向上させるより小さなカットオフで大粒子の保持力を高めることである。段階的に粗さが異なるデプスフィルタを適用すればこれらのスラリーで大粒子の挙動を制御するのに効果的である。
 最適なフィルタ設計は、スラリー研磨粒子形態、組成、大粒子と平均粒子分布、wt%、粘度、濃度、研磨安定、圧力損失、流量、フィルタ寿命およびCoO(Cost of Ownership)が考慮されていなければならない。密度段階別デプスメディアを用いたろ過試験で大粒子の保持性や流量、圧力損失は、PSLビーズ溶液、シリカ、アルミナ、セリアスラリーでそれぞれに大幅に異なる挙動を示した。今後、新しいCMPスラリー向けたフィルタ最適化も実験的検証に基づいて行われるだろう。

謝辞

 著者はChristopher Wargo、Craig Lazinsky、Chintan Patel、Tim Towelに謝辞を述べたい。
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Rakesh K.Singhは、米Mykrolis社の液体&アプリケーションRDを指揮している。彼の専門分野はCMPスラリーろ過、特性化、測定、調合、分配、CMP後洗浄PVAブラシに及ぶ。以前は、英BOC Edwards社でR&D研究室を管理していた。機械工学の教育学士と教育修士を取得し、流体力学の博士号を取得している。Singhは20年もの業界経験と研究経験がある。
※EntegrisとMykrolisは、2005年8月に合併を完了した。新社名はEntegrisを継承する。
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参考文献
1. K.W. Lee and B.Y.H. Liu, “Theoretical Study of Aerosol Filtration by Fibrous Filters,”Aerosol Science and Technology , 1982, Vol. 1, p. 147.
2. L. Spielman and S.L. Goren, “Model for Predicting Pressure Drop and Filtration Efficiency in Fibrous Media,”Environmental Science and Technology , 1969, Vol. 2, p. 279.
3. R.K. Singh, G. Conner and B.R. Roberts, “Handling and Filtration Evaluation of a Colloidal Silica CMP Slurry,”Solid State Technology , 2004, Vol. 11, p. 61.
4. R.K. Singh et al., “Efficient Filtration of New-Generation CMP Slurries: Challenges and Solutions,”Semiconductor Manufacturing , 2004, Vol. 5, p. 70.
5. R.K. Singh and B.R. Roberts, “On Sedimentation and Redispersion of Abrasive Particles in CMP Slurries,”Proc. of the 6th Intl. CMP-MIC Conf. , 2001, p. 441.

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