無償購読申込・変更
Email Newsletter登録
記事検索

検索方法の詳細



2005年10月号
欠陥捕捉率を改善して
すばやく異常を検出
L. Lin, S. Chen
台湾Powerchip Semiconductor社
www.psc.com.tw
A. Bousetta, R. Yang, J. Liao
米KLA-Tencor社
www.kla-tencor.com
 米KLA-Tencor社のSample Plannerを使ってコスト分析を行えば、異常発生によるコストやロットリスクに基づいてサンプリング計画の最適化を行なうことができる。最先端の300mm工場における現在の欠陥異常発生率やコストパラメータ、ウェーハ投入量、検査性能を考慮してサンプリング計画を行うため、全体の検査コストに大きな影響を及ぼすことはない。
* * * *
 最先端の300mmウェーハ半導体工場では、ウェーハの大口径化や急速なデザインルール微細化により、製品ウェーハの潜在的な価値は何倍にも跳ね上がってきている。このためどの半導体工場でも、歩留まりを迅速かつ継続的に改善していくことが重要になっている。
 通常、最先端の工場では数百のプロセスステップがあり、製品が出来るまで数週間もかかる。最終試験での製品リスクを最小限に抑えるためにはインラインで検査を行い、重要なプロセスステップでは開発段階と量産段階の両方で欠陥レベルのデータを収集する。高い歩留まりを達成するための最も重要な方法の1つは、効率的に工場全体で製品をインラインで検査する計画を立てることである。
Advertisement
 半導体産業は集積度を上げ、製品寿命が短くなる方向に進んでいるため、ウェーハ検査にかかるコストを詳細に算出する必要がある。全てというわけではないが、多くの半導体メーカーは、欠陥検査や管理計画の1部として複数のウェーハ検査技術を導入している。サンプリング計画(検査をするロットの数、1ロットあたりに検査をするウェーハの数、ウェーハの検査範囲)は、検査技術(スループットの高低)や量産段階(開発中か量産段階か)によって大きく影響される。包括的にインライン欠陥検査技術を用いればウェーハ検査の効果を最大限にすることができる。効率的に歩留まり学習や歩留まり改善を行えば、ウェーハ検査にかかるコストを最小限に抑えることができる。もちろん、これを理由に重大な欠陥の検出や異常検知を見逃すわけにはいけない。これらはともに、迅速な歩留まり学習や長期間にわたって性能を維持することが重要である。
 今回の実験では、米KLA-Tencor社のSample Plannerというプログラムを用い、異常を制御するうえで重要と思われる検査工程に優先順位をつけるという方法で、検査のサンプリング計画の最適化を行った。

欠陥データ解析

 台湾Powerchip Semiconductor社の12A工場では現在、インライン検査を32のプロセスレイヤーに対して行なっており、そこでは明視野・暗視野検査装置が使われている。Sample Plannerを使った最適化の第一段階として欠陥データ解析を行い、重要なパラメータを決定した。ロット間分散とウェーハ間分散差の比をとった分散比、異常の頻度または異常が起こるまでのロット数、材料リスクの割合、そして欠陥率(欠陥の数)で規格化した平均値シフトなどである。平均値シフトとは、制御不可能な(OOC:Out-Of-Control)欠陥率の平均値と制御可能な欠陥率の平均値の間の差であり、欠陥率の標準偏差を用いて規格化している。検査を行なった32のプロセスレイヤーの欠陥データ解析結果をにした。6ヵ月分の製品ロットのインライン検査データを解析に使用した。
表 検査対象膜の欠陥データ解析結果
プロセスステップ
分散比
異常発生
ロット数
ロット
リスク%
規格化された
平均値シフト
酸化膜エッチ+WM
1.03
18
5.56
0.74
CVD TiN
1.10
17
5.88
0.68
Wデポ2
1.04
22
4.55
0.13
HDP
1.52
26
3.85
1.75
a-Siデポ
1.12
23
4.35
1.94
WSiデポ
1.01
23
4.35
64.01
W CMP+TiN 1
1.46
45
2.22
3.05
AlCu 1
1.45
27
3.7
0.27
SiN E/B
1.01
21
4.76
1.10
SiP TiN
1.26
27
3.7
7.80
Wデポ3
1.11
22
4.55
0.11
酸化膜E/B
0.99
24
4.17
2.35
W CMP+TiN 2
1.31
133
0.75
2.00
AlCu 2
1.28
35
2.86
0.34
ノンドープ/ドープ a-Si
0.95
18
5.56
0.64
フォト/ウェット
1.38
22
4.55
0.50
Co除去
1.10
23
4.35
0.25
BL TiNデポ
1.17
21
4.76
0.34
Wデポ 1
0.98
28
3.57
2.62
HM SiNデポ
1.09
19
5.26
1.17
BS酸化膜エッチ
1.30
24
4.17
0.61
フォト
1.01
22
4.55
0.37
Siトレンチエッチ
1.03
19
5.26
12.88
WSi/Polyエッチ
1.23
28
3.57
2.35
AlCuエッチ 1
1.17
19
5.26
1.50
Poly-Si除去
1.15
23
4.35
0.36
AlCuエッチ 2
0.99
16
6.25
0.16
SiN E/B
1.20
22
4.55
0.76
Wエッチ
1.38
18
5.56
2.81
BS CMP
1.02
23
4.35
6.11
CP TiNエッチ
1.25
25
4
25.09
Ta2O5/TiN
1.00
30
3.33
81.52

Sample Plannerによるコスト分析

 多くのICメーカーが、欠陥検査装置に付加価値がないと見なす傾向にある。このため、工場全体の検査計画の1部として、検査能力の計画に多くの時間や労力を割こうとはしない。Sample Plannerのコストモデル・プログラム1〜3)は、最新の統計モデルと確率モデルを組み合わせたもので、重要な工場のパラメータを解析する仕組みや装置を構築して最適な検査計画を立てることが可能になる。
 感度(異常が起こるまでの時間短縮)とスループット(検査費用の削減)のバランスを保つことが検査効率を高め、製品リスクの量を低下させる上で非常に重要である。図1は、検査頻度を上げると異常発生によるコストが低減する様子を示した簡単な例である。これは、より早く異常検出が行われるためだ。しかし当然のことながら、検査頻度が増すと検査コストも増加してしまう。目指すべきところは、異常発生によるコストと検査によるコストが最小となる最適なポイントを見つけ出すことである。
 これまでに触れた欠陥データ解析パラメータに加えSample Plannerによるコスト分析では、その他の工場パラメータや検査パラメータ−半導体チップ調整後価格(ASP:Adjusted Selling Price)、一週間あたりのウェーハ投入量、欠陥の初期発生率、検査時間、ロットとウェーハのサンプリングなど−も入力データとして利用されている。
 すでに挙げたリストから適切なデータ入力を用いて、材料リスクの一週間あたりのコスト(異常発生によるコスト)をSample Plannerを用いて算出した。サンプリング計画による解析を行ったところ、検査能力を効果的に最適化できるかは材料リスクの値にかかっているという多くの結果を得られた4)5)。固定費と変動費の両方を含む検査費用と検出されなかった欠陥異常による歩留まり低下のコストとはトレードオフの関係にあり、両者間にしばしばバランスが求められる。
図1 検査頻度を増していくと異常によるコストは減少するが、検査コストは増加する。効果的に検査計画を立てるには、製品に対するリスクを減らしながら検査コストを最小限に留めるようにバランスをとることだ
(出典:米KLA-Tencor社)
 最適化を図った主要なパラメータとしては、
●プロセスフローの中に組み込む検査工程
●検査頻度(検査するロットの割合、ロットあたりのウェーハ数、ウェーハ検査領域)
●検査感度あるいは欠陥捕捉率
●異常監視を行う欠陥種
●検査能力の分配
 解析するため、ある仮定と入力値をもとにモデルの構築を行った。
●異常による影響のみを考慮し、基準となる欠陥率は変化しないものとした。このため、欠陥率の基準値が減少することで得られた利益は除外される。
●現行の工程では、重要なタイプの欠陥すべてが生じうる。(新たに欠陥が付け加わる)
●発生頻度は確率で表わされ、異常事態が発生したときには、それが注意を払っていた欠陥が発生したためと捉える。
●全検査コストは、異常発生によるコストと誤検知によるコスト、異常発生時に問題の調査/解決にかかるコストおよび検査装置のコストを足し合わせたものである。
●検査装置のコストには、減価償却、人員、サービス/パーツ、設備が含まれる。
●異常発生によるコストまたは異常発生により損失は、異常の影響でウェーハの歩留まりが低くなったために売れなくなった半導体チップの価値と同等である。
 図2はSample Plannerの解析結果を示しており、それぞれの異常発生によるコストから検査工程に優先順位をつけている。最も高い異常発生コストを示した上位10工程のみを示す。同様に、検査を行うレイヤーや分散比、検査装置の検出感度からさまざまなサンプリング手法を使用して全体の全体的な検査コストが最小になるような、最適なサンプリング計画を割り出した(図3)。今回の場合、サンプリング計画には33%のロットサンプリングが最適であった。
図2 それぞれの異常によるコストに基づいて、Sample Planner解析によって図示された結果から優先順位をつけた。ここで図のY軸に示される収入/コストは、一週間ごとの値である
(出典:米KLA-Tencor社)

欠陥捕捉率の評価

 多くの場合、検査装置は新しい製造技術と一緒に導入される。どの検査段階においても、各検査装置は致命的な欠陥のタイプを最大限捕捉できるように、感度調整されている。重要なプロセスレイヤーでは高い割合で検査が行われ、新しい欠陥が特定される。これが、欠陥の原因や歩留まりへの影響を理解するのに役立てられる。これは欠陥について迅速に学習し、歩留まりを改善するには不可欠である。この段階においては高感度の検査装置が必要とされるが、この次に考慮される能力はスループットである。製造技術が成熟して製造段階へと移っていった場合、注意を払うべき欠陥、つまり歩留まりへの影響が高い欠陥の捕捉率が高い検査技術を選択しなければならない。
 効率的に歩留まり学習と歩留まり改善を行える装置を選定する場合には、同時に、欠陥が歩留まりに与える影響を理解することが不可欠である。検査装置は注意を払うべき欠陥に対して感度が良くなければならず、その欠陥というのは歩留まりに対して影響を与えるものでなければならない。新しい製品やプロセス、装置などが導入されるにあたって重要なのは、歩留まりを管理するエンジニアが、欠陥によって歩留まりが抑制される可能性について理解をし、その欠陥による不良の発生率を日ごとに確認することである。重要な欠陥すべてについてその原因を特定し、歩留まりに与える影響を認識あるいは見積もる必要がある。
図3 最適化されたサンプリング33%ロット vs 現行25%ロット
(出典:米KLA-Tencor社)
 例えば、欠陥が歩留まりに与える影響の大きさを調査すると、歩留まりに最も大きな影響を与えたのは、デザインルールによって定められた最小間隔の1.5倍の大きさの欠陥であった6)7)。したがって、あらゆる検査装置が検査レベルで使用するにしても、歩留まりを制約する欠陥を捕捉するためにはさらにその感度は高くなければならない。また検査の効率を最大限に上げるためには、歩留まりエンジニアが検査装置の感度と能力を把握している必要がある。注意を払うべき特定の欠陥を検査するのに適した装置を選べば、さして重大ではない欠陥を検出してしまうこともないし、歩留まりに影響を来したり重大で致命的な欠陥を見落としたりすることもなく、コストを抑えることができる。
 Sample Plannerを使って、欠陥のタイプごとにウェーハの検査にかかる全体的なコストや欠陥発生による影響に捕捉率が与える影響を評価した。Sample Plannerのモデリングでは捕捉率の改善はできないが、捕捉率を使って全体のコストへの影響を説明付けることができた。欠陥のタイプごとの検査装置の捕捉率は、結果としてその装置の有効性を決める基準となる8)
図4 注意を要する欠陥の3種類は、配線オープン、くぼみおよび配線ショートで、歩留まりへの影響はそれぞれ、40%、20%、10%と算出された。4ロット分のデータによる
(出典:米KLA-Tencor社)
 ある特定のプロセスレイヤー(SiNエッチバック)の解析結果を見れば、歩留まりに影響を来すような欠陥の捕捉率がいかに重要であるかは明らかだ。図4は欠陥タイプのパレート図であり、この工程において歩留まりに対する影響が最大であった重大な欠陥3つを示している(40%、20%、10%)。
 図5は重要な3つの欠陥の捕捉率を、異常によるコストを表わす関数として示したものである。つまり配線オープンやくぼみ、配線ショートの歩留まりに対する影響は、それぞれ40%、20%、10%であった。各欠陥の歩留まりへの影響をパーセンテージで括弧内に示した。異常によるコストの差額(捕捉率5〜100%)は、歩留まりへの影響が40%、20%、10%のとき、それぞれ44万8384米ドル、10万683米ドル、15万8000米ドルであった。この結果には、歩留まりエンジニアも大きな関心を示すに違いない。総体的な欠陥を数え上げるのではなく、注意を要する特定の欠陥に対して高感度の検査装置を使うべきなのだ。
 Sample Plannerをインライン検査手段や包括的なウェーハ検査計画に向けて使用することで、さらに次のような効果も得られる。
●インライン検査計画と欠陥率異常による影響を評価。
●欠陥データ解析に基づく検査工程の優先順位付け。動的サンプリングを用いて、種々の分散比およびまたは異常頻度に基づいてサンプリングを増やしたり減らしたりすることも可能9)
●異常によるコストに基づく検査工程の優先順位付け。
●欠陥捕捉率を評価し、欠陥の歩留まりに対する影響度に応じて感度(高捕捉率)とスループット(低捕捉率)の基準のバランスをとることが可能。
図5 配線オープン、くぼみ、配線欠陥についての異常によるコスト vs 捕捉率とそのときの歩留まりへの影響
(出典:米KLA-Tencor社)
 Sample Plannerのコスト分析を用いて、Powerchipの12A工場における現在の欠陥発生率とコストパラメータ、ウェーハ投入量および検査能力に対し、異常によるコストとロットリスクに基づいて最適なサンプリング計画を提供することができた。今回の解析結果から言えるのはロット検査を25%から33%に増加させ、異常コストの高かった工程の検査領域を25%から50%に増加させるのが良いということである。検査領域を広げれば包括的な検査コストに多大な影響をおよぼすことなく、空間シグネチャの検出を高めることが可能になる。

謝辞

 PSCの12A工場並びにKLA-Tencorの歩留まり管理コンサルタント(YMC:Yield Management Consultant)グループの欠陥対策に関わる全てのメンバーから、貴重な協力を得たことに感謝する。
* * * *
Luke Linは、台湾Powerchip Semiconductor社(12A工場)の歩留まり技術部門のマネージャ代理である。表面解析や、200mmおよび300mmにおける欠陥測定、300mm DRAM製造ラインでのパーティクル対策/歩留まり向上の強化などに従事している。台湾の淡紅大学で学士号、台湾の清華大学で物理化学の博士号を取得。
Stephen Chenは、Powerchip Semiconductorのシニアバイスプレジデント兼メモリービジネスグループのジェネラルマネージャである。半導体業界で16年にわたる経験を持つ。Chen氏は、台湾の国立成功大学でエンジニアリングサイエンスの理学士号、台湾の国立清華大学で物質科学とエンジニアリングの修士号を取得している。
Ali Bousettaは、米KLA-Tencor社の歩留まり技術ソリューション部門のエンゲージメントマネージャである。主任アプリケーションエンジニア、マーケティングエンジニア、主任歩留まり管理コンサルタントとして同社のウェーハ検査プラットフォームに従事し、現場で8年以上の経験を持つ。仏モンペリエ大学にて固体物理学の修士号、英マンチェスター工科大学にて電気電子工学の博士号を取得。
Richard Yangは、KLA-Tencorの歩留まり技術ソリューションの台湾および中国のリージョナルディレクタである。同社で6年間勤務しており、当初は歩留まり管理コンサルタントとして、後にマーケティングマネージャとなる。米バークレーのカリフォルニア大学で化学工学の学士号、米サンノゼ州立大学で管理工学の修士号を取得。
Jack Liaoは、KLA-Tencorの歩留まり技術ソリューションのスタッフ欠陥コンサルティングエンジニアである。8年にわたる現場経験を持ち、カスタマーサービスエンジニア、WINアプリケーションエンジニア、欠陥アプリケーションマネージャとして勤務。台湾科技大学で電気工学理学士を取得している。
* * * *
参考文献
1. R.K. Nurani, R. Akella and A.J. Strojwas, “In-Line Defect Sampling Methodology in Yield Management: An Integrated Framework,”IEEE Trans. on Semi. Manufacture, November 1996, p. 506.
2. R.K. Nurani, M. Stoller, D. Gudmundsson and J.G. Shanthikumar, “Evaluating Inspection Strategies Using Advanced Statistical Methods,”KLA-Tencor Yield Management Solutions, 1999, Vol. 1, Issue 3.
3. W. Randy et al., “Challenging the Paradigm of Monitor