無償購読申込・変更
Email Newsletter登録
記事検索

検索方法の詳細



2005年10月号

マレーシア1st Silicon社
CEO
Dr. W. John Nelson氏

 マレーシアにあるファンドリ1st Silicon社が同社製品ラインナップの拡充に動いている。台湾の大手ファンドリおよび中国やシンガポールの競合ファウンドリが130nmプロセス以降の先端技術の開発を加速させる中、1st Siliconは独自の戦略で盤石な体制を整えようとしている。同社CEO Dr. W. John Nelson氏は「先端技術で勝負するならば300mm化は必須。しかし、台湾の大手ファンドリに真っ向勝負をするつもりはない」と述べる。同社は日本に拠点を設立し日本市場での拡販を狙う。Nelson氏に1st Siliconの戦略を聞いた。
* * * *
Semiconductor International (以下SI):1st Siliconの設立から今までの経緯は?
Dr. W. John Nelson:当社は1998年に設立された。現在、200mmウェーハで3万枚の生産能力を持ち、4万5000枚までの生産能力を得るべくラインを拡張している。250nmから180nmプロセスまでのデジタルおよびミクストシグナルCMOS技術を提供している。250nmプロセスは2001年、180nmの認証は2003年に完了し、150nmは2005年第3四半期に量産に入る。フラッシュメモリーでは既に130nmプロセスで量産に入っている。
 当社は2000年に工場が立ち上げた。2001年と2002年の市場は厳しく、需要がなかった。顧客は実績のない新工場には消極的だった。今までは、主にフラッシュメモリーを製造し、ラインナップ拡充の準備を進めていた。ここにきて業績は上向いている。2004年に比べて2005年は売上高前年比10%増を見込んでおり、2006年には新しい技術で新しい顧客を取り込み前年比50〜70%増を達成する。2005年からは、多数の新技術を投入し、多数の顧客に対応していくことになる。これは大きな変化であり挑戦だ。スタートアップから、確立されたファンドリへと今生まれ変わりつつある。年内には顧客25社を獲得する計画で、2006年には35〜45社を期待している。顧客数はこれで十分だ。我々のファンドリモデルは他社とは異なる。実績の高い台湾TSMC社や台湾UMC社などの大手ファンドリに競合できるとは思っていない。キャッシュフローが潤沢で大型投資ができるファンドリとは違う。
SIJ:なぜ今製品ラインナップを拡充し、日本拠点の新設に動いたのか?
Nelson:過去5年にわたり主にフラッシュメモリーでシャープとの良好な関係を築いてきた。また、その他のメーカーとも良い関係を築けそうな時期にあると見ている。工場が整い、エンジニアも揃った。過去3年でラインナップ拡充の準備をしてきた。混載フラッシュメモリー技術「eFlash」は日本市場で受け入れられると見ており、また、ファンドリ互換のプロセスは価格的にも魅力的な設定となっている。
 日本の顧客は当社とシャープの信頼関係を知っている。さらに親密な関係を築くためにも、日本拠点を設立するのにはいいタイミングだった。同時に日本市場で拡販を図りたいと思っている。日本メーカーとの経験は積んでおり、期は熟した。ゼネラルマネージャに滝沢秀樹氏を任命した。彼は経験も豊富だ。すべてのタイミングがあったと言えよう。市場はあまりよくないが、チャンスは今だ。日本の顧客は保守的だが、これから関係を築くためにもこのタイミングが重要であると考える。
SIJ:フラッシュメモリーの製造で救われたと言える。
Nelson: 2003年から2004年と、当社が苦しい時期においてもフラッシュメモリーを製造していたので工場はフル稼働だった。ここにきて生産能力を増強しているので、稼働率は低下したが2006年中盤には85〜90%の稼働率になると見込んでいる。市場が好調なので、当社が好調なのは当たり前。実際は当社は技術を導入し新しい顧客を得ることで市場シェアを上げている。
SIJ:ニッチで古い技術に注力するとのことだが、先端技術に興味はない?
Nelson:古い技術と呼ぶのは好きではないが、当社は非先端の領域に注力するのは確かだ。多くの人々は全ての顧客が90nmプロセスや65nmプロセスを必要としているかのように考えているが、現実は違う。そのような性能は不要であり、そこまでの高価な製品にお金を払う必要はない。0.25〜0.13μmプロセスの間に、顧客と連携をとり最適なプロセスを見つけることで、利益の高いビジネスの構築が可能だ。
 当社の目標は利益の確保だ。利益の創出に専念すべきと考えている。混載フラッシュメモリー技術には競合がなく、高電圧デバイスの需要は大きく、生産能力を持つところは限られている。eFlashのメインボリュームは現在250nmプロセスで、この技術は今後5〜7年は有効だ。高電圧デバイスは、180nmプロセスを持っているが、この分野では微細化はあまり必要ない。当社は製品寿命サイクルの長い製品を選択し、注力していく。
SIJ:選択した製品においては、古い技術とは言い切れない。
Nelson:フラッシュメモリーの150nm、自動車用高電圧の180nmは古い技術ではなく、先端プロセスと言える。微細化だけが先端のプロセスではない。これらのアプリケーションは製品寿命が長い。自動車用半導体では350nmプロセスの需要が大きいことからも分かる。特に高電圧デバイスは、液晶ディスプレイの大型化により需要はさらに増加すると見ている。いくつかのアプリケーションでは微細化は意味をなさない。価格が高くなるだけだ。
Advertisement
SIJ:真っ向勝負は避けるのが安全。
Nelson:ニッチな市場に特化する。300mmウェーハで製造されたチップのコストは、200mmのものより大幅に安価となる。90nm以降でコスト効果を出すには300mmウェーハへの移行が必然であり、300mm工場に投資できるようになるには、収益性の高いビジネスでなければならない。個人的な考えだがTSMCやUMCに追いつくのは難しい。300mm工場では装置導入に必要なキャッシュは膨大だ。先端のファンドリから3〜4年遅れており、もう追いつくことは難しい。我々のビジネスモデルは顧客がその製品を次の3〜4年は使い続けるものに絞っている。
SIJ:シンガポールChartered Semiconductor社の戦略をどう見る?
Nelson:興味深いビジネスモデルであり、近隣メーカーであるから成功を祈っている。Charteredは多くの顧客を持ち、実績もある。しかし、我々が300mm工場を建てるまでには稼働率を上げ、株式を上場するなど、多くのステップが必要であり、その後に検討することになる。当社は市況の低迷時に古いラインが利益を出し、先端ラインの損失が大きかった。先端プロセスが必要と考えるならば300mmを導入しなければならないが、我々の立場は違う。技術に焦点をあてずに、収益性に焦点をあてる。
SIJ:中国ファンドリをどう見る?
Nelson:中国のファンドリに関する多くの情報を目にするが、全てが実現するとは思えない。ファンドリは増えていくだろうが、思うほどスムースにはいかないだろう。また、価格圧力も強い。我々には高電圧デバイスやeFlashなど独自の製品も持っている。中国と価格競争はしない。
SIJ:マレーシアという地域的な優位性は?
Nelson:マレーシアという立地条件も重要だ。独Infineon Technologies社がマレーシアに新たな拠点を設立することからも分かるが、マレーシアはIP保護政策などを慎重に行っており、これは、中国のファンドリに対して大きな優位点となろう。
SIJ:中国には不安が残る?
Nelson:ファンドリビジネスではユーザーのプロセスをいかに安全に移管するかが重要であるが、それが中国できちんとなされているかというと疑問が残る。その心配はマレーシアでは一切ない。シャープとの関係を見てもらえば分かる。シャープは自社の非常に重要な製品を設立当初から当社に委ねている。
SIJ:これからの貴社の戦略は?
Nelson:長期的な計画を持つことが重要と考えている。5〜10年先に花開くような計画が重要だ。現在、当社は自動車分野に注目している。自動車用の製品の要求は厳しく、これらのインフラを整えておくことは、将来的に差別化に繋がる。自動車用半導体では今後1st Siliconが大きな役割を担っていくだろう。
SIJ:現在、注目する技術は?
Nelson:ICカードに注目している。銀行のICカードから始まり、eパスポートや医療データの入ったICカードなど、これから10年間で大きな革命が起こると思う。日本の半導体メーカーはその中で中心的な役割を担い、そのような中で当社のeFlash技術は有効であり、ユーザーに与える利益は大きいと期待している。
(聞き手:高橋 潤)

HOME | SI(日本版)について | 無償配付申込・変更 | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載について | 関連サイト