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2005年10月号
Emerging Technologies
DNA分子を足場に超伝導ナノワイヤが完成
Peter Singer
* * * *
 科学者は、DNA分子をベースにした超伝導ナノデバイスの作製に成功した。このナノデバイスは新しいタイプの量子干渉を引き起こし、磁場や超伝導領域の測定に使われる。将来的には、この技術は半導体あるいは他の電子デバイスの作製に使用できる可能性があるという。
 米イリノイ大学の研究者は、ナノ構造を作製して研究を行った。このナノ構造は分子が3〜4個程度(約5〜15nm)という大きさで中空状の超電導ワイヤのペアで構成されている。この研究は、同大学のAlexey Bezryadin教授、Paul Goldbart教授、大学院生のDavid Hopkins氏およびDavid Pekker氏によって行われた。
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 Bezryadin 氏は、「この2つのナノワイヤデバイスに磁場をかけて測定したところ、奇妙な周期的な振動が観測された。実験と理論を通して、我々はこの不可解な振舞いについて詳細に解析を行った」と語った。
 ナノデバイスの作製は、まずSiウェーハに100nmの浅いトレンチを形成し、そこにDNA分子を配列させた。次に、分子とトレンチの側壁に超伝導性の材料(MoGe)の薄膜を塗布して、非常に良好な形状を持った1組の均質の超伝導ナノワイヤデバイスが完成した。
 「DNA表面に薄い膜をコートすることにより、直径10nm以下のナノワイヤを作製することができた。これは、おそらく既存の方法では到底できないであろう」とBezryadin 氏は述べる。「まず、基板にホールを形成する。このホールにまたがるようにDNAを落とすと、DNAは自然に大きくなっていく。まっすぐなワイヤが得られるため、この方法は非常に便利である。そして、DNA上に金属をスパッタさせれば、超伝導ナノワイヤを製造することができる」と同氏は説明した。さらに、「磁場のない状態で、この極細ワイヤは広範囲の温度領域で非ゼロ抵抗を示した。厚いワイヤが超伝導になる温度領域で、これらのDNAワイヤにまだ抵抗が残っていた」と付け加えて説明をした。
 しかし、デバイスにかける磁場強度を変えていくと、どの温度領域でも非常に著しく周期的な振動が発生した。Goldbart氏は、「磁場をかけたことにより微小電流がトレンチの側壁に沿って流れ、この電流により抵抗が大きく変わった。電流強度は磁場とワイヤを支えている側壁の幅によってのみ制御されている」と説明した。
図 ストレッチされたDNA分子が橋を渡るかのように接続され、Moがスパッタにより成膜された。径10nmの超伝導ナノワイヤのコンセプト画像
(出典:米国イリノイ大学)
 Goldbart氏は、結果として起こる周期的な振動は量子力学のまさしく本質が反映されたものだと指摘する。「普通の物質と異なり、これらのワイヤの電子はまるでそれらが1つの量子の機械的な物質として反応しているようだ」と同氏は語る。
 DNAベースの金属性ナノデバイスは、局所的な磁気測定や超伝導位相磁気傾度計に使用できると科学者はいう。
 「DNAの自己組織化プロセスをうまく利用すれば、分子スケールの電子デバイスを作製することができる。特定の配列でDNAを合成することができる。仮に異なるタイプのDNAを持っていても、DNAは自分の思うように集合するだろう。人々はDNAを使ってネットワークや、例えば立方体のような幾何学的な物を作ることができる。そして、DNAをプログラムすることもできる。複雑なネットワークの中で自己形成させることが可能となる」とBezryadin氏は説明する。
 Nanotechnology誌の8月号には、Bezryadin氏と大学院生のMikas Remeika氏が、収束電子ビーム(EB)を使ってナノ製造プロセスを改良し、局所的に金属ナノワイヤの形状や構造を変えることができたという記事が掲載されている。
 透過電子顕微鏡(TEM)の中で行えば、EB加工と結晶化によりナノワイヤの1部を分解能3nm以下で加工することができるとBezryadin氏が指摘した。このような手法を使えば、10nm未満の単電子トランジスタなどのような新しいナノデバイスを形成することができる。
 Bezryadin氏は、この手法を他のタイプの電子デバイス作成にも使用できたと発表した。「DNA上に半導体材料や磁性材料を置くことができれば、半導体または磁性体のワイヤを製造することができる。また、その他にも応用することができるだろう」と同氏は語った。

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