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2005年10月号
Lithography
液浸技術導入に向けて
各社からデュアルステージが出そろう
Aaron Hand
* * * *
 
 この数ヶ月間、液浸リソグラフィ開発の状況は、まるで蘭ASML社の一人芝居のように見受けられていた。それは米IBM社と台湾TSMC社がASMLの液浸露光装置の採用を明かしており、また、同じく同社の露光装置を導入した各国の液浸技術開発プロジェクトの結果が出始めているからだ。しかし、ここにきて日本から露光装置大手2社が、独自の結果を携えてこの競争に戻ってきた。
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 2005年7月に米国で開催されたSEMICON West 2005の2週間前に、ニコンはNA1.07の投影レンズ搭載した業界初のハイパーNA(NA1.0以上)液浸露光装置「NSR-S609B」を発表した。
 この2週間後に、ASMLはSEMICON West 2005会場で、業界最高のNAを持つ「XT:1700i」を世に送り出した。これは同社第4世代の液浸露光装置で、NA1.2の光学系を搭載している。ASMLは、この装置を2006年第1四半期に主要半導体メーカーに出荷する予定である。
 一方、キヤノンは新プラットフォーム「FPA-7000」シリーズに向けて動き出しており、これはNA1.3の光学系の液浸技術を搭載し、45nmプロセスに対応できる。キヤノンのシニアリソグラフィフェローPhil Ware氏は、SEMICON Westにおいて詳細な計画を発表した。キヤノンの露光装置の特徴はその拡張性にあり、Ware氏によると水よりも屈折率の高い液体を使用する「Kool Aid時代」の到来に備えているという。また、同社は液浸評価センターを新設する予定だという。
唯一、露光装置メーカー大手3社が
足並みをそろえるのは、
液浸技術の導入には2ステージが必要だということ
 各社が高NA化でしのぎを削っていた露光装置市場だが、液浸の導入によってその競争は以前より少し興味深いものになってきている。各装置メーカーは独自のシステムを開発し、メーカー間でもさまざまな技術的な違いがあり、各社が自社の優位性を主張している。適切なNA値、液体の導入技術、ステージの機能性、レンズ設計など何をどうすべきかという論議が盛んに行われているような状況だ。
 このような中、装置メーカー3社は液浸技術には2ステージが必要ということでは合意したと言える。ニコンとキヤノンは、ASMLのデュアルステージについてフットプリントの大きさという点で以前は軽視していたが、両社とも液浸露光装置では2番目のステージが必要ということに気付いた。しかし、これら2つのステージをどのように利用するかという点ではまだ大きな違いがある。例えばASMLの場合、ウェットステージで露光が行われている間、ドライステージで各種測定が行われる構成となっている。ニコンにおいては「タンデムステージ」を搭載し、ウェーハ搬送中に装置をキャリブレートする「キャリブレーションステージ」を持っている。この構成では、投影レンズとウェーハがタンデムステージ上で待機し、水の充填または除去する時間を解消している。またキヤノンも2つのステージを持つシステムへの移行を進めている。これはASMLのTwinscanのコンセプトと似ているが、Ware氏によると、「液浸には最高の2ステージ構成となる」という。
 ASMLおよびキヤノン両社ともNA1.2〜1.3から、それぞれ反射および屈折の要素を持つ反射屈折レンズ設計に移行しつつある。ニコンがNA1.07にこだわる理由は、屈折式の光学系によるシンプルなレンズ設計へのこだわりだという(反射屈折設計ではNA=1.1以上が必須)。しかし、米Nikon Precision社のPrincipal Engineer Gene Fuller氏によると、ニコンは反射屈折光学系を搭載したNA1.3の露光装置を2006年内に発表する予定だという。Fuller氏は、実際のところ45nmプロセスではNA1.2では効果がなく、NA1.3が必要であると強調した。ASMLはこれに反論し、1700iでハーフピッチ45nmは達成可能であると主張している。
 各社の液浸露光装置に関するその他の違いと言えば、水の送出方法が挙げられる。もちろん、各社ともベストな解決策に行き着いたと主張している。ASMLの液浸シャワーヘッドは、最高のスキャン速度において水を保持するように設計されたエアーカーテンを備えている。これにより、ウェーハ上には一滴の水滴も残さないようにしている。一方ニコンは、水滴もしくは裏面汚れなしに高いスキャン速度を達成するというローカルフィル技術を発表している。前述のようにこの設計ではウェーハは常時投影レンズ下に待機することになる。
 この他にも、高NAにおいて必須となる偏光方式やスループット(ニコンおよびキヤノンが130wph、ASMLは122wphと発表している)、ウェーハ表面の処理性能などの各種技術が装置メーカー間で争われている。その結果、露光装置メーカーはしのぎを削りあうが、しかしまだその結末を耳にしたことはない。2006年には、おびただしい数の技術発表や液浸技術に関する新発見が表に出てくることは確実と言えよう。
三井化学、液浸露光用高屈折率液体「デルファイ」を開発
Seleteにおいて線幅32nmの微細加工を実現
     
デルファイを使用して解像した32nmパターン(写真提供:三井化学、出典:Selete)
 液浸露光技術では、現在屈折率1.44の水を使用し65〜45nmプロセスの実現に向けた開発が主流となっている。三井化学は、液浸露光技術に利用可能な高屈折率液体「デルファイ(開発コード名)」を開発した。半導体先端テクノロジーズ(Selete)における評価では、線幅32nmのパターン形成を実現した。デルファイは、環状炭化水素骨格を基本とする化合物で、屈折率は1.63。ArF液浸露光装置で32nmプロセスの実現を可能にする。 
 2005年9月にベルギーで開催された2nd International Symposium on Immersion Lithographyにおいて、Seleteと共同で発表した。
三井化学 www.mitsui-chem.co.jp
Selete www.selete.co.jp

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