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2005年11月号
In-situパーティクルモニターで
生産性を向上
Jonathan Allinger
米LSI Logic社
www.lsilogic.com
Ray Burghard
米Inficon社
www.inficon.com
 クリーンルーム内のパーティクル制御は、ウェーハ搬送の完全自動化によって改善されたものの、プロセス環境内においては依然、パーティクルにより問題が起こり続けている。米LSIロジック社では、製造装置にセンサーを搭載し解析装置を活用することで、パーティクルの発生レベルを制御することを可能にした。
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 ウェーハプロセス中のパーティクル制御は、半導体の量産現場では依然、重要な要素であり続けている。クリーンルーム内のパーティクル制御は、完全自動ウェーハ搬送システムが導入されたことで完璧といえるまでに抑えられているが、実際のウェーハプロセス環境内では突発的に発生するパーティクルが歩留まりの伸び悩みの原因になっている。In-situパーティクルモニター(ISPM:In Situ Particle Monitor)は長い間実際のウェーハプロセス環境でパーティクルをモニターし、制御できる方法の1つとして認識されてきた。In-situのモニターを導入することにより歩留まりや装置の生産性を改善することができると考えられてきた1)。しかし、2つの問題がネックとなって、これまでISPMシステムをうまく活用できずにいた。まず、検出結果をチャンバ状態やウェーハへの影響とうまく相関づけることができなかった。さらにセンサーを量産ラインへ持ち込んだ場合、絶え間なくインテグレーションを行なっていくことが困難だったのだ。
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 APC(Advanced Process Control)の出現で、パーティクル測定を含め、プロセス条件をセンサーに従って制御するという考え方ににわかに関心が集まるようになった。米LSI Logic社の200mm工場には最先端の設備が導入されており、積極的に先端技術を取り入れていることもあって2)、今まで以上にセンサーを活用すべきとの声が強かった。同社は、製造装置にセンサーを搭載し、解析装置を利用することで、エンジニアが即座にセンサーや装置情報にアクセスし、重要なパラメータを統計的に制御することが可能であった。例えば、工場全体に設置したISPMによって検出されたパーティクルレベルを管理することができるのだ3)

センサー制御とデータ収集

 残留ガス分析装置(RGA:Residual Gas Analyzers)やパーティクルセンサーのような最先端のセンサーを制御するには、ホストと製造環境の両方に対し、それらセンサーのインテグレーションを確実に行なう必要がある。このようなインテグレーションを可能にするためにLSI Logicでは、米Inficon社のセンサーインテグレーションおよび解析システム「FabGuard」を活用している。FabGuardは、標準SECSプロトコルを通じて製造装置と通信を行なう。装置上の第1もしくは第2SECSポートのうち、空いているポートを経由する。センサーデータはツールの状態変数ID(SVID:Status Variable ID)と組み合せて、工場内のどこにいてもウェブを通じてエンジニアへ提供される。
 このシステムは、データ収集ピアおよびIPMコントローラで、終点検出や重大な障害、装置の停止のようなリアルタイムの制御を行うことができる。これは従来のピアツーピア方式と類似の方式だ。中央サーバ(実行システムおよびデータベース)はデータ取得、解析、モデリング、報告、データ保存、データベース、およびウェブサービスなどの管理を行なっている。これは、クライアント/サーバーアーキテクチャと類似した構成となっている。このインテグレーションシステムは拡張性に優れ、LSI Logicのエンジニアはたった1つのユーザインターフェースを通して、ありとあらゆる製造装置に取り付けられたさまざまなセンサーを監視することができる。センサーの構成やデータ収集計画、データ解析、統計的プロセス管理(SPC:Statistical Process Control)などを全て、ウェブクライアントを通じて工場から遠隔管理できる。何らかの異常が起こった場合にはe-メールやツール画面で製造オペレータにFabGuardシステムから情報が提供され、必要に応じてさまざまな警告を発生させる。また、装置を停止することも可能となっている。

プロセスおよびセンサー技術

 スパッタエッチによるクリーン化のプロセスでは、コンタクトやビアのホール底から自然酸化膜を除去する。これはメタルのPVD(Physical Vapor Deposition)プロセス前に行なわれる、一般的な工程である。自然酸化膜を除去することによって、MetalとPoly-Si、もしくはMetalとMetalの界面で、良好な電気的特性が得られる。
 酸化膜は高バイアスのArプラズマを使って、下地表面からスパッタ除去される。プロセス中は終始、酸化膜がチャンバの天板に再付着しているため、パーティクル異常が発生する可能性が高まっていく。再付着した酸化膜が厚くなっていくと、最終的には剥がれ落ちてプロセス中のウェーハに乗っかってしまう。ひとたびチャンバ天板からの剥離が始まると、天板を交換して(パーツ交換)手作業でプロセスチャンバをクリーニングし、チャンバを基準値であるパーティクルのない状態に戻さなければならない。リアルタイムでチャンバ状態を監視することで、チャンバ部品のばらつきを特定でき、パーティクル水準を制御することによってプロセスの歩留まりや生産性を改善することができる。
図1 ISPMの設置場所。チャンバとターボポンプ間のポンプラインに設置
 Inficonの「Stiletto ISPM」を、スパッタエッチング装置のチャンバとターボ分子ポンプ間のポンプラインに設置した(図1)。ISPMを設置するには、プロセスチャンバの直近に設置することが重要である。これにより良好なパーティクル挙動の監視ができ、チャンバ内で起こっていることとウェーハ欠陥水準との対比が容易になる4)
 In-situパーティクルモニター「Stiletto」では、ごく基本的な光散乱を用いてパーティクルを検出している。ターボインレットの前側にレーザービームを投影し、ビームを横切ったパーティクルを検出する。センサーには走査型レーザーを使用しているので、ポンプラインのかなりの領域をレーザー光でカバーすることができ、0.2μmサイズまでのパーティクルの捕捉が可能だ。この感度はウェーハプロセス中に必要な測定速度を得るのに充分であり、チャンバのパーティクル水準を確実に制御することができる。

プロセス制御を導入する

 パーティクルのリアルタイム測定は、パーティクルレベルがプロセスレシピの持つ化学的な作用や入ってくる膜材料の性質にも左右されるため、プロセス制御の中でも独特な問題を抱えている。また、パーティクルは何の前触れもなく発生して製品歩留まりに多大な影響を与えるので、通常のチャンバ消耗と予想外に起きる異常の両方に対して、制御手法が最大限の感度を持っていることが重要になる。In-situパーティクル測定において効果的に制御を行なう上で重要なことは、そのプロセスチャンバにおけるパーティクルの基準値を設けて、この基準値から外れた場合の異常値と、実際のチャンバの消耗およびまたはウェーハレベルでのパーティクルとを関連付けることだ。
 装置内のパーティクルレベルは、チャンバに搬送されてくるウェーハの状態や装置のプロセス条件に影響を受ける。この制御装置はレシピIDやロットIDのような、ウェーハ物流に関する情報も収集するので、製品構成やプロセスタイプに基づいて制御限界を設定することが可能となっている。そこでチャンバにおける種々のプロセスのタイプごとに限界値を設けてみた。各レシピタイプには、独自のパーティクル挙動と独自の制御限界がある。
 ひとたび基準となるパーティクルレベルを決めたら、長期間にわたってチャンバ状態を監視することが重要で、それによって制御方法を決定することができる。データ収集と解析の結果から考えると、パーティクル異常に対する最善の対処方法としては、2つの異なる制御方法が必要であると結論付けられた。
1)プロセスを制御するため、N限界内のMを使って傾向則を適用した。連続処理したウェーハ9枚中、いずれか5枚のパーティクル総数がスペック値上限(USL:Upper Specification Limit)を超えた場合は、警告を行う。
2)単一限界も適用し、壊滅的なパーティクル発生を避けるようにした。ウェーハが1枚でも上限値を超えた場合は、警告を行う。

ケーススタディ

 スパッタエッチング装置のチャンバにおけるStilettoの初動稼働期間中に、何度か障害が検出された。さらにその後のメンテナンスおよびエンジニアリング活動を通じて、それら障害を分類分けした。パーティクル制御のために行なう予防メンテナンス(PM:Preventive Maintenance)には通常、パーツ交換が含まれており、天板を含むチャンバ内パーツの交換を行っている。Stilettoで監視を行なったチャンバは、ウェーハプロセス時のプラズマオン状態でパーツ寿命が30kWhというPM周期であった。

図2 平常時のPM周期における、In-situでのパーティクル変化の傾向。天板の状態は良好であった。平常時のPM周期は30kWh
図3 天板が汚染されていた場合のPM周期における、In-situでのパーティクル変化の傾向。SPCスペックアウトにより、天板状態に問題があることが発覚。24kWhで早々にチャンバー停止に至った
図4 チャンバ汚染の兆候を示す、In-situでのパーティクル変化の傾向。SPCスペックアウトにより、たった12kWhでチャンバ停止となっている。チャンバをクリーニングしたところ、システムは基準値の水準にまで戻った
事例 1. 平常時のPM周期

 図2に、Stilettoにより測定した結果の傾向を示す。このときのPM周期は、限界値の30kWhまで達した。パーティクル数は低い基準値を示しており、周期中一貫して安定していることがわかる。

事例2. ウェーハの処理ミス

 図3に、Stilettoによる測定傾向を示す。このときのPM周期は、わずか24kWhであった。パーティクルレベルが上昇し、処理規定の制御限界を超えるスペックアウトが、3回も発生している。3回目のスペックアウトの後、エンジニアがチャンバを製造ラインから切り離し、パーツを検査した。黒色の薄片状のものが発見され、これは酸化膜の付いていないウェーハがチャンバ内で処理されたためであることが分かった。酸化膜のないウェーハが処理されると、チャンバ内パーツ上にスパッタされた酸化膜は付着力が弱くなり、チャンバ壁から剥がれて再度ウェーハ上へと落下してしまう。

事例3. 天板の汚染

 図4に、非常に早い段階、パーツがプロセスに使用され始めてたったの12kWhでパーティクルがスペックアウトとなった例を示す。SPCスペックアウトが何度も起こり、エンジニアがチャンバを製造ラインから切り離してパーツ状態を調べた。チャンバを開けてみると、天板およびチャンバ内に汚染が見られた。パーツ交換を完了し、チャンバを量産に戻した。パーツ交換後、パーティクル数の基準は格段に低くなっており、パーティクルの問題が解消されたことがわかる。
 この例は、ISPMが最も有効に活用された事例と言える。ISPMによって、早くスペックアウトを検出することが可能になり、メンテナンス作業後に素早くチャンバを復帰させる方法をも提示している。

事例4. ロット内パーティクル数上昇

 スパッタされた酸化膜の付着物が剥がれ落ち始めると、急激にパーティクルレベルが上昇する。たびたびほんのつかの間だけ壁からの剥離が起こり、続けてウェーハ処理を行なうことで膜が再び安定することがある。図5は、このような現象を示す例。1ロット(#37081)を処理する間、チャンバ内では剥離によるパーティクルが発生している。基準値の水準は、このロット内の数枚のウェーハで上昇している。
 異常が発生した時にウェーハの処理方法を決定する方法として、通常装置の外にあるパーティクルの測定装置で測定を行っている。図5でみた異常時に処理されたウェーハ2枚の、チャンバ内外での測定結果を図6に示す。チャンバ外での検査でもパーティクル数の上昇が見られ、Stilettoによる異常検出を裏付けるものであった。

図5 この制御チャートは、1ロット内でスペックアウトが起きた場合を示している。原因は、チャンバからパーティクルが剥がれ落ちている状態で、処理を行なったためであった。基準値の水準はこのロット中、数枚のウェーハにおいて上昇している
図6 ウェーハ2枚の、チャンバー内外でのパーティクル数。この2枚は、図5にみられたパーティクル異常の期間に処理されたもの
パーツ交換周期の延長

 パーツ交換までの時間を延ばすには、チャンバの通常の稼働状態での変化を検出し、チャンバが定常状態から外れ始めたら生産を停止できる、ということが重要だ。基準となるチャンバの欠陥レベルを設定し、N規定内のMの許容範囲を決めて、それに基づいて処理を停止して製造ラインへ警告を行うようにしたので、製品ウェーハに欠陥が生じる恐れがなくなり、パーツもこれと定めた所望の寿命まで、あるいはStilettoセンサーによってチャンバにアラームが発せられ寿命と判断されるまで、使用期間を延ばすことができる。
 アラームが立った場合には、それがチャンバ状態の変化によるものなのか、入ってきたウェーハによるものなのかを明確にすることが重要である。アラームが発生するたびにパーツを交換していたのでは、経済的ではない。一方で、アラームを解除しウェーハの処理を続けた場合には、生産にリスクが伴うことになる。この問題を軽減するために、エンジニアは修理手順の一覧図表を作成し、製造チームがアラームに対処する際、指標として使えるようにした。この修理指標にしたがえば、ユーザは段階を踏みながら、最終的にはチャンバが制御状態から外れたのか、外来の物質が欠陥水準を上昇させる原因になったのかを決定できる。SPCチャートのスペックを外れたものや、30日間のロット平均、インラインパーティクルモニターのデータ、あるいは実際にアラームが発生したその場でウェーハの検査データなどを精査することで、問題が発生したのはチャンバによるものなのか、チャンバに搬送されてきたウェーハによるものなのかを決定付けることができる。
 In-situでパーティクルを監視し制御するという手法を通じて、LSI Logicではパーツ寿命を25%高めることに成功した。

結論

 In-situパーティクルモニターの活用が半導体製造において主流となるであろうことは、ITRSロードマップでは1997年と早い段階から公式に認知されており、「装置やプロセスのばらつきを検出するのに必要な精度と迅速さを提供する唯一の方法」であるとされている。捕捉効率やノイズ除去、これらパーティクルセンサーのインテグレーションといった問題が、この技術を広く浸透していくのを妨げてきた。進歩したセンサーや使い勝手のよい製造インテグレーションシステムの出現で、半導体メーカーはプロセス制御性や生産性を改善することの有用性をようやく実感することができるようになった。
 パーティクル異常を捕らえ、それをウェーハレベルでの欠陥やチャンバ状態と結び付けることが可能になったために、LSI Logicの工場内においてはパーツ交換までの平均間隔時間が25%改善され、これまでにない水準でパーティクルを制御する手法をもたらした。
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Jonathan Allingerは、薄膜プロセスエンジニアとして、米国オレゴン州グレシャムにあるLSI Logicの製造部門に勤務。ポートランド州立大学にて、2000年に電子工学および物理学士号を取得している。
Ray Burghardは、InficonのIn-situ解析グループの戦略マーケティングマネージャであり、走査型レーザーパーティクル測定器Stilettoを含む最先端センサー技術を担当している。Inficonに以前は、米Advanced Energy社の地区セールスマネージャ、米Pacific Scientific Instruments社の顧客担当マーケティングディレクタであった。Burghard氏は1990年、米National Semiconductor社から出向して米SEMATECHのIn-situパーティクルセンサープロジェクトに加わったのをきっかけに、以来、センサー技術活用関連業務に従事している。米スティーブンス工科大学にて、レーザーおよび光学を専門とする工学学士号を取得。
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参考文献
1. H.D. Pham, M. Elzingre and P.G. Borden, “LSI Logic Proves Yield Gain Using In-situ Monitor,”Semiconductor International, April 1995, p. 101.
2. M.A. Lester, “Top Fabs of 2002 ,” Semiconductor International, May 2002, p. 77.
3. Z. Prather and N. Graff, “Success Using e-Diagnostics at LSI Logic,”Solid State Technology, September 2003, p. 49.
4. K. Takahasi and J. Dougherty, “Current Capabilities and Limitations of In Situ 
Particle Monitors in Silicon Processing Equipment,”Journal of Vacuum Science & Technology A: Vacuum, Surfaces, and Films, November 1996, p. 2983.

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