無償購読申込・変更
Email Newsletter登録
記事検索

検索方法の詳細



2006年2月号
携帯機器が牽引する先端LSIパッケージ技術
TesseraとSemiconductor International日本版共催セミナーから
Kenji Tsuda
* * * *
図1 PoP(パッケージオンパッケージ)の例。TIとAmkor、Samsung、Nokiaが共同開発した
(出典:米Prismark社/米Binghamton大学)
図2 携帯電話の標準的なブロック図
(出典:米Qualcomm社)
 携帯機器が先端LSIパッケージング技術を牽引することがはっきりしてきた。去る1月17日、東京港区台場で本誌と米Tessera社との共催による「2006 Electronic Product Minituarization Symposium」において、複数のLSIチップを一つのパッケージに実装、あるいはパッケージに入ったLSIを積み重ねて一つのパッケージに収容する、といった傾向は、携帯機器においてますます顕著になっていくことが示された。
 最近のデジタル家電機器を引っ張る携帯電話は、従来の低コスト化から低コスト兼小型化へユーザーの要求が変わってきている。エレクトロニクス業界のコンサルティング会社である、米Prismark Patners社は、携帯電話における小型化のトレンドを各社の電話の例を挙げながら、それに使われている技術を紹介した。SiP(システムインパッケージ)では、一つのパッケージの中にSiのBiCMOSチップとGaAs HBT(ヘテロバイポーラトランジスタ)、GaAsのpHEMT、SAWなどを搭載した例を紹介した。SoC(システムオンチップ)では、マイクロコントローラコアとDSP、D-AおよびA-Dコンバータ、RF回路、SRAMを集積した英Cambridge Silicon Radio (CSR)社のLSIや、独Infineon Technologies社のGSM/GPRS方式のクワッドバンドLSIを例としてあげた。

PoP技術を世界の4社が共同開発

 携帯電話の小型・薄型化実装を推進するため、米国のTexas Instruments(TI)社とAmkor社、韓国のSamsung Electronics社、フィンランドのNokia社の4社共同によるPoP(パッケージオンパッケージ)技術について紹介した(図1)。これは、パッケージに入ったベースバンドプロセッサの上にパッケージに入ったメモリーLSIを積み重ねて集積度を高めようというもの。上のメモリーチップは、3個のSiチップを重ね合わせてパッケージに封止されている。ともにパッケージの外形は14×14mmでトータルの厚さは1.8mmに収まっている。最終的にはパッケージ間にはギャップはなくなる。
Advertisement
 LSIを実装するプリント基板の高密度化にも触れ、基板中に受動部品やチップを埋め込む技術についても述べた。フィンランドのImbera社が推進するプリント基板へのチップの埋め込み技術の利害得失を議論した。さらに、米Knowles社のMEMSを利用したマイクロフォンとその実装技術を紹介した。
 携帯電話向けCDMA技術の基本技術を持つ米Qualcomm社の先端パッケージング部門ディレクタTom Gregorich氏は、LSIパッケージの優れた技術が携帯電話が低コスト化だけではなく高機能化や高性能化、小型化、開発期間の短縮をもたらす牽引車になると主張する。携帯電話に使うLSIが1チップになることは理想だが、1チップでは高機能・高性能・開発期間短縮などのすべてを満足させることは難しい。

Bluetooth、GPSが標準搭載

 そこで、何をどうチップ化するかというパーティショニングが実現のカギとなる。Qualcommは標準的な携帯電話のブロック図(図2)として、通信機能の他にBluetoothとGPSを組み入れている。この基本ブロックの内の何をLSI化することで、パッケージが何個いるかが決まる。例えば、マイクロプロセッサとメモリーを1チップ化し、ベースバンドとBluetooth、GPSを1チップ化、トランシーバを1チップ化すると3チップで作れる。
図3 国内の主要民生機器の生産高
(出典:JEITAの資料を基にSemiconductor International日本版が作成)
 この3チップをPoP法、チップの積層法、マルチチップモジュールなどで作ることになる。受動部品はプリント回路基板に埋め込むこともできる。いずれにしてもパッケージ開発がカギを握ると見られる。
 Tesseraの研究開発部門ディレクタのGiles Humpston氏は、携帯電話用イメージセンサーのパッケージ技術について議論している。イメージセンサー市場をこれまで牽引してきたデジタルスチルカメラの国内生産が2005年に初めて減少に転じた(図3)。同氏は、イメージセンサー市場を牽引するのは携帯電話用のセンサーだとしている。
 日本ではカメラフォンは珍しくないが、世界的には2004年に全携帯電話の30%しかなく、2005年でさえ37%にしか満たない。今後世界中の携帯電話にカメラが搭載され2010年には76%に達すると見ている。デジカメ用はリードレスセラミックパッケージのLCCに搭載されていたが、携帯電話にはCOB(チップオンボード)のモジュールとして載っている。しかし、COBでチップをボード上に実装する際に問題となるコンタミネーションの影響を避けるため、今後ウェーハレベルパッケージングが主流になると見る。
 同社は、Siウェーハの上に枠とシールウェーハを載せチップを封止するという技術を提案する。Siの裏面にBGAのはんだボールを載せ配線するという仕組みだ。しかし、BGAは実装上、レンズ系の許容誤差が厳しくなり実装作業が難しくなるという欠点がある。しかもパッケージの面積が厚さに対して相対的に広くなるほど、ボールの精度に問題が出てくる。そこでTesseraはコンプライアント層の導入を提案している。これにより光軸あわせが容易になるとしている。
 電磁界解析ソフトウエア企業の米Ansoft社の日本法人代表取締役の中本英治氏は、高性能な設計手法にもコンバージェンスの波が押し寄せていると述べた。アナログ、デジタル混載、RF回路混載などをはじめ、RFタグに見られるようなチップとアンテナの集積、さまざまなバスを搭載したシステム設計など、コンバージェンスはあちこちで見られるようになった。システム設計から回路設計、EMIノイズ対策などシステム全体に渡る設計にはクリティカルな要素を一体化してしまうことがカギとなる。このために解析ソフトが必要だというわけだ。
図4 Tesseraの提案するコンプライアント層の導入
(出典:米Tessera社)

薄く、軽く、強く

 LSIパッケージの小型化はコンピュータの世界でも起きている。米Hewlett-Packard社のディスティングイッシュド・テクノロジストであるWalter Fry氏は、PCの世界ではデスクトップからノートブックへの強いシフトが進行中で、2004年9月にPC需要を予測したIDGは2005年6月には上方修正した。2004年に4900万台から、2005年には6000万台、2006年7000万台と2009年までは一様に増加傾向にあるとIDGは予測している。ノートPCで要求されるものは、電池の長寿命化、小型化に加えてPCとしての性能、機能、コネクティビティなどの向上も加わる。もちろん、低コストは必須条件だ。
 性能はデスクトップ並みで、WLANやPAN,WANなどさまざまなネットワークともつながらなければならない。ネットワークへの接続は電力を消費する方向にある。電池の長寿命化には電気化学的な材料開発などが必要だが、実装技術ではパッケージの小型化が不可欠になる。筐体は薄く、軽く、強くなければならないとしている。

HOME | SI(日本版)について | 無償配付申込・変更 | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載について | 関連サイト