図4 Virtuoso RET Suite を使ったこのシミュレーション例は、リソグラフィを意識した設計コンセプトを示している。異なるRETアプローチごとのリソグラフィ能力をレイアウト環境で表示できるようにした
(提供:米Cadence Systems社)
Cadence DFM部門RETソリューションズ製品マネージャWolf Staud氏は、リソグラフィシミュレーションに求められていることは、既知の積層構造、既知のレジスト特性に基づいて特定のパターンを形成し、OPCと並行してフルチップをモデリングすることだという。「そんなことができるサーバーはこの世に存在しない。世界中のCPUをつなぎあわせたって、この仕事を終わらせることはできない。だから依然として人間が抽象化を行わなくてはならない。パラメータをひとまとめにする必要がある」(Staud氏)。
Synopsys社のWeed氏は「フルチップシミュレーションの精度が低いなんてことはない。必要とされるだけの精度は十分に得られる。シミュレーションを行おうとする範囲と、そのシミュレーションで得られる精度、それにかかる時間の間には必ずトレードオフがある」と述べる。
Sturtevant氏によれば、パターンサイズが小さくなるにしたがってコストの大部分を占めるようになる光学的な現象を処理する機能をいかに追加していくかが今後の課題となる。「我々の役割は、どこよりも優れたモデリング機能を提供することだ。ランタイムとのバランスをどう取るのかはユーザー自身が決めること」と同氏はいう。
生産を受け持つファウンドリとIDMにとっては、TAT(Turn Around Time)とTime to Market(製品化期間)がすべてであり、したがってスピードが鍵となる。一般にフルチップシミュレーションが用いられるのもここだ。しかし、デスクトップシミュレータで精度が問題になることはない、とBlaesi氏は語る。「当社の製品は非常に高精度で、ランタイムと処理面積にある程度の制約があるだけだ。しかし、従来のリソグラフィシミュレーション・ツールでさえ今ではマルチプロセッシングが可能で、高精度を維持しながら処理面積とスピードを向上させている。現在は20×20μmに対応しているが、並列処理によって100×100μmまで拡大することができる。今後も、精度を損なわずに処理面積を広げるための取り組みが続く」と同氏はいう。
「今日、そして今後の先端技術ノードに向けてプロセス開発を続けながらも精度の面で妥協が許されないとなると、精度をそれほど損なわずにスピードを上げるための革新的な方法が必要」と、Bettadapur氏はいう。
デスクトップシステムの処理速度が速くなるほど、従来のシミュレーションツールと、フルチップシミュレーション・ツールとの境界線が曖昧になってくる。同様に、フルチップシステムにもスピードを損なわずに精度を高める新しい方法が取られ始めている。Wiley氏によれば、BrionはFPGAを搭載した専用ボードにシミュレーション機能を組み込むことで、従来の「スピード vs 精度」の図式から脱却した。フルチップシミュレータよりも速いスピードと、デスクトップシステムに近い精度を実現している。
Sturtevant氏によれば、Mentorのソフトウェアもフルチップ修正のためのシミュレーションという従来の役割から脱却しつつあるという。「顧客はCalibreをリソプロセス開発モードでよく使うということが徐々に分かってきた。感度分析の予測とプロセス最適化の両方の目的。彼らが考えているのは、このプロセスに最適なアパーチャは?最適な照明設定は?4極か輪環型か?といったこと。だから、たとえフルチップ用にスピード重視で設計されていても、ツールの精度が高いに越したことはない」(Sturtevant氏)。
図5 KLA-Tencorの「Prolith」など、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)法とFDTD(Finite Difference Time Domain)法の両方を用いたマルチアルゴリズム3次元EMFツールを使えば、新しいマスク技術とマスク製造品の最終転写イメージを高速かつ高精度で形成できる
(提供:米KLA-Tencor社)