無償購読申込・変更
Email Newsletter登録
記事検索

検索方法の詳細



2006年9月号

米KLA-Tencor社
CEO
Richard Wallace 氏

 Rick Wallace氏は昨年1月に米KLA-Tencor社CEOに任命された。過去18年、社長兼COO、レチクルおよびマスク検査部門とフィルム/表面処理技術部門バイスプレジデント、ソフトウェア/顧客グループCTO、そしてウェーハ検査部門のエクゼクティブバイスプレジデント、社内の要職を歴任している。ウェーハ検査部門でマーケティングの部長と同時にリソグラフィ制御グループのグループバイスプレジデントを努めた。1988年にアプリケーションエンジニアとして入社。それ以前は、米Ultratech Stepper社と米Cypress Semicoductor社でエンジニアとしてリソグラフィおよび歩留まり管理技術の経験を積んできた。ミシガン大学で電子工学士、サンタクララ大学で技術経営の修士号を取得。
* * * *
Richard Wallace 氏
(出典 : 米KLA-Tencor社)
Semiconductor International(以下、SI):1月に、Ken Schroeder氏が退職し、社長兼COOからCEOに任命された。新しいポジションについてどのように考えているか?
Wallace:ここ最近は、エキサイティングやチャレンジなどという言葉はありふれた感じがする。当社は、前もって計画を立てる会社。私はこの異動に対して充分準備していた。しかしながら、CEOがいなくなり新しい責任を背負っているというのは今までとは違う。
SI:CEO就任にともない、CFO John Kispert氏は社長兼COO、Jeffrey Hall氏がCFOに任命された。全員がKLAの重鎮とはいえ、いす取りゲームのように見える。違いは何か?
Wallace:(笑)いす取りゲームでは通常いすは一つ足りない。しかし、今回の場合は違う。我々それぞれに違う役割があるが、新しい会社ではない。お互いによく知っているし長年一緒に働いてきている。
SI:今後の戦略は?
Wallace:社内体制でいくつか変更したところがある。それは経営の変化というより、産業の変化、そして産業におけるKLAのポジションの変化からくるものであった。現在我々が重視している3つの分野がある。
 1つ目にプロセス制御技術。これがこの業界では極めて重要であるということだ。開発者が直面する新材料、リソグラフィによる制約、そして経済的な課題もあって、65nmプロセスの量産、45nmの開発、32nmのR&Dにおけるハードルは高く、検査・測定技術が今まで以上に重要になる。2つ目には、当社の市場におけるポジションを見た場合、大きな市場シェアを握っているものの、さらに拡大の余地があることだ。3つ目としては、売上よりも早いスピードで収益を獲得する経営モデルへと改善することだ。
SI:業界はどのように変化しているのか?
Wallace:ほとんど全ての生産拠点がアジア地域へと移行している。これは、我々自身がグローバル企業でなけれならないことを意味している。より多くの製造がアジアで行われていることによって、当社のさまざまな決定案件もそちらで行われていくということ、そして米企業はアジアの顧客にどのように近づくかということを見出し、世界的スケールで考え、さらに計画していかなければならない。
 その他の変化としては、当社の顧客の顧客は消費者であるが、消費者はコストと市場投入期間に注目している。我々にとって、これは「好機」と「挑戦」の両方を意味している。なぜ好機かというと、我々は30億ドルの投資の全てで生産を上げていく必要があるといこと。そしてなぜ挑戦かというと、検査・測定装置に投資する場合、その効果が保証されることを望む。よって、その価値を継続的に向上させていかなければならないこととなる。
Advertisement
SI:開発コストは増加し続けている。これにはどのように対応するのか?
Wallace:確かにR&Dを行うのがますます高価になってきている。このため、R&Dプロジェクトが整理統合されてきているのであろう。我々のような企業は、開発を進めている企業にいち早く関与し、開発から製造までの移行に協力する。
SI:全てが動く標的のように見える。
Wallace:まさにその通り。先端技術のNAND型フラッシュメモリーを見ればわかる。家電製品は決して先端の製品にはなり得ないということは常識だった。全ての予想を裏切った200%というNANDの驚異的な成長率そして検査および測定がこれに大きく関わっている。
SI:市場の見通しは?
Wallace:当社は一定の分野で大きな市場シェアを持っているが、その他にも検査・測定で参入できる分野がある。それは今まで検討もしくは競合したことのない分野だ。今それを見た時、市場シェア成長の可能性を感じた。
SI:それは米ADE社買収に関係する分野か?
Wallace:その通り。両社の有機的成長の組み合わせを行うにために、良いビジネスモデルを持っている。9年前のKLAとTencor の合併が良い例だ。
液浸リソグラフィで欠陥の問題が
障壁にならないことを保証し、
液浸リソグラフィの移行を促進する
SI:R&Dへの取り組みでは、リソグラフィプロセスの最適化を目的に米Cymer社と開発を進めている。
Wallace:欠陥の問題は、液浸リソグラフィ導入の障害ではないということを分かってもらい、液浸リソグラフィへの移行を促進する。影響を過小評価することは容易であるため、注意しなければならない。これについては学会や企業と共に取り組んでおり、開発対象分野はマスク検査から二重露光、位置決め精度などの測定要求まで及んでいる。
SI:業界はこのR&Dコストの高騰にどのように対応すべきか?
Wallace:顧客はより有能なプラットフォームとより良いCoO(Cost of Ownership)を求めている。これを叶えるためには、我々は今まで以上に協働しなければいけない。顧客に何が必要かとたずねても、アンケートを実施しても、イノベーションを創出することなどできない。顧客にとって何が問題になると考えているかを見極めなければならない。問題を理解すれば、解決策を生み出す。例え焦点を絞ってもR&Dは依然高価だ。このため、当社は再利用可能なプラットフォームという概念に的を絞った。新しい機能を開発する際には、ゼロから新規開発を行うことは避けている。もし当社が次世代明視野検査装置を開発する場合、元からある75〜80%の物を再利用する。現在のマスク検査装置は1000万本のコードを使っている。全てをやり直す方法以外で次世代装置へ移行することを考え出すことが当社の挑戦だ。R&Dコスト削減の答えは、「再利用すること」といえる。
SI:大統領から市議会議員まで全ての政治家は、シリコンバレーに来ては、ここがいかに素晴らしく必要とされているかを語る。米政府はもっと産業界に援助すべきだと思うか?
Wallace:政府とビジネスは、競争力を保持するために協働しなければならない。医療費の管理、才能獲得に向けた移民者への対応、そして将来の労働力を確保するための教育基金などの問題がある。私は教育の質が、競争力を保持するために必要な熟練した労働力の確保にどのような影響を及ぼすかと心配している。シリコンバレーだけの問題ではない。産業が必要としている研究の大部分はソフトウェアおよびアルゴリズムの研究であり、それはどこででも行うことができ、米国内である必要性もない。それ故に、産業は才能のいる場所へと移動する。人件費の問題ではなく、どこにそのような人材がいるか、の問題だ。半導体および電子機器製造の大部分は、国外にシフトしてきている。当社のような会社は、顧客がいる場所にいなければならない。
SI:この問題で我々がすべきことは?
Wallace:人材のトレーニングとビザ規制だ。あたかも他の場所に拠点を置くように奨励されているようなもの。才能を育成し理系卒業生を輩出する高等教育の整備が必要だ。教育者ではないので、何をすべきか、どんな選択肢があるかは分からない。開発が行われるところは、開発が必要とされるところだ。米国にはほとんど製造業は残っていないということを認めなければならないだろう。この点において、物事はますます難局を迎えている。
(聞き手:Alexander E. Braun)

HOME | SI(日本版)について | 無償配付申込・変更 | サイトマップ | お問い合わせ | 広告掲載について | 関連サイト