|
2006年10月号
|
天の時、地の利、人の和、
力を蓄え機を待つLinde |
|
|
Semiconductor International China 特別インタビュー
|
|
林徳電子特殊気体(蘇州) 社長 Abul Kawser氏
|
|
|
テクニカルエディター:銭 敏
|
|
|
|
|
半導体産業においてガスと化学薬品への注目度は主なプロセス装置には及ばないものの、電子材料は、人体にとっての血液と同じく、製造過程全体を促進するものと言える。国外の一流電子材料メーカーが中国市場に続々と進出する中、林徳(Linde)電子特殊気体(蘇州)有限公司(Linde Electronic & Specialty Gases (Suzhou) Co.,Ltd.)は今年5月25日に中国初の電子特殊ガス生産工場として設立された。
|
Advertisement
|
|
|
|
|
|
|
BOCを買収
目指すは業界トップ
今年3月、独Lindeは英工業用ガス大手BOCグループを買収することで合意し、グローバルベースでのBOC買収に乗り出した。懸念されていた欧州連合(EU)と米連邦取引委員会(FTC)の承認も相次いで取得し、Lindeは今年9月にBOCの買収を完了させた。
Lindeは工業用ガスの世界4位、BOCは2位。今回の「蛇が象を呑み込む」かのような買収がLindeにもたらす直接的な利益は、仏Air Liquideを抜いて工業用ガス世界最大手へと躍進することである。買収完了後のスケールメリットも容易に想像することができ、しかもそれは連鎖的である。これにより、Lindeがより有利な価格で原材料を調達できる一方で、その顧客もコストダウンの恩恵を直接受けることになる。
林徳電子特殊気体(蘇州)有限公司の社長であるAbul Kawser氏によると、買収完了の際には、資源統合を目指してまずは両社の重複業務を整理し、「速戦速決」戦略で資源を短時間で統合し、利益の最大化を図る予定であるという。なお、この資源統合には人力と技術などの資源が含まれる。また両社は地理的な補完性がある。つまりLindeの業務は欧米中心で過去数年間はアジア太平洋市場の開拓に消極的だったが、アジアの業務が3割以上を占めるBOCは、Lindeの中国を含むアジア太平洋市場への進出の出遅れを充分に補うことができるだろう。同時にLindeは買収によるBOCの技術力の獲得に期待を寄せている。BOC傘下の合弁子会社については、買収するか売却するかは慎重に考慮するという。
中国での生産、
中国本土での優位性を発揮
IC製造で用いられる電子特殊ガスは工業ガスの一種で、現在、中国ではほぼすべてを輸入のガスボンベに頼っている。これは電子ガスの流通の現実的な難問であり、さらに電子ガスが持つ特殊性により輸送に危険性がともなうため、流通が一段と難しくなっている。Lindeは中国に生産拠点を置くことで、流通面では他社に比べ優位に立つが、直ちに成功を収めるためには数多くの困難と挑戦に立ち向かわなければならない。
中国は、「人を以て本となす」(人本主義)という科学的発展観を打ち出している。電子特殊ガス産業は比較的新しい領域であるため、中国では、この分野の経験が豊富で言葉の問題のない、技術・生産用の人材が明らかに不足している。Linde (Suzhou)は中国初の電子特殊ガスメーカーであるため、国内に引き抜ける人材などいるはずもないことから、人材不足が最重要課題となっている。目下、蘇州工場の中国人エンジニアは、ほとんどが未経験の新人だという。さらに蘇州工場は工場設計から生産設備にいたるまですべて外国から直接「輸入」しているため、中国人技術者がこれらの設備を使いこなすにはまず言葉の壁をクリアしなければならない。この点からも人材の国際化は中国電子産業が直面する問題の一つであることが伺える。
現在、中国市場は過去数年間のように「ホット」ではなくなってきており、中国市場に対する投資家の分析もより理性的になっている。統計によると、中国で稼動を開始している200mmおよび300mmウェーハ工場の生産ラインは計10本、建設中は200mmウェーハ工場の生産ラインが10本、300mm工場は5本もある。しかし、中国半導体製造業の現状についてAbul Kawser氏はさほど楽観視しているわけではない。どれだけのウェーハ工場が利益を生み出しているかを考えれば、楽観視できない理由も容易に想像が付く。しかも建設中の生産ラインには不確定要素が多すぎる。しかし、こうした未成熟な市場環境と確かな成長動力こそ、多くの外資系設備材料供給業者が中国市場に進出するきっかけになっている。Abul Kawser氏は、中国市場には極めて大きな潜在性があると確信しており、今後、蘇州工場の拡充は必至であると考えている。また、Linde (Suzhou)はドイツにある2つの工場と共同でR&Dを進めていくという。
中国の電子ガス市場規模は約1400万ドル。Air Liquide、Praxair、Air Products and Chemicalsなどの工業用ガスメーカーがLindeに先駆けて既に中国に進出し、中国市場の争奪戦を繰り広げているものの、どこも依然として王者の座には就いていない。競争相手に取って代わることも、OEM業者と新たな提携関係を確立することも短期間で達成し得るものではない。Lindeは製品の品質を保障し、品質を絶えず向上させていく以外にも、柔軟的なサービスを現地で提供できるという重要な優位性を持っている。ただし、中国現地での優位性を存分に発揮するためには、輸送問題を解決する必要がある。Linde (Suzhou)は交通網が発達しているSuzhouに位置しているとは言え、電子特殊ガスの輸送コストは一般物資の輸送よりはるかに高い。このため、Lindeは関連許可証を申請し、輸送許可の獲得を通じてコストの一段の削減を図り、製品の競争力を高めていこうとしている。
会社概要:
林徳電子特殊気体(蘇州)有限公司(Linde Electronic & Specialty Gases (Suzhou) Co.,Ltd.)は蘇州工業園区に位置し、敷地面積は3万5000m2、総建築面積は1万6000m2。2003年に着工され、2005年竣工。2006年初にパイロット生産を行い、2007年なかばには稼動態勢が整う見込み。主に中国、台湾、韓国、シンガポールなどの半導体業界に高純度の電子特殊ガスを供給する。 |
|
|
|