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2006年10月号
歩留りに大きく影響する
DRAM構造の欠陥モニタリング
Uwe Streller, Carlos Mata
独Qimonda社
www.qimonda.com
Martin Tuckermann
米KLA-Tencor社(ドイツ法人)
www.kla-tencor.com
 新しい高解像度の暗視野検査コンセプトで、高アスペクト比の構造やシャロートレンチ・アイソレーション(STI)の酸化物ボイドの残渣をモニタリングすることに成功した。的確なプロセス工程と合わせることによって、潜在的なエクスカージョンに迅速に対応し、フィードバックサイクルを短縮することができる。
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図1 FEOL DRAMスタックにおける重要なプロセス工程には、埋込ストラップ・エッチングとSTI CMPが含まれる
 100nm以下の設計基準を適用してDRAMの開発および製造を行う際には、従来の設計基準が適用されていた世代には見られなかった独特の難問に直面する。新しい設計コンセプトによってデバイスの構造がますます密度の高いものになっているため、トポグラフィのアスペクト比が高くなり、プロセス制御がより一層難しくなっている。ストリンガやボイドを確実に検出するためには、高アスペクト比(HAR:High Aspect Ratio)検査が必要である。さらに、欠陥のサイズが全体的な構造のサイズに近づいているため、従来はそれほど重要でなかった数多くの欠陥が、致命的な欠陥になっている。その結果、迅速に開発して生産につなげるためには、革新的な欠陥の検出と歩留り管理が必要不可欠である。
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検査方法

 独Qimonda AG社(旧Infineon Technologies社)は現在、Dresdenにある300mmの設備で、90nmの設計基準を生産に適用している。とりわけトランジスタ形成工程(FEOL:Front End of Line)では、プロセスを変更すると歩留り上の問題がいくつか生じるため、歩留りバストを防ぐために集中モニタリングが必要であった。1)そこでDRAM FEOL積層構造で発生している2つの問題について論じる(図1)。これらの問題は、最近のディープトレンチモジュールと、アイソレーショントレンチ(IT)モジュールで発生した。関係する極めて重要なプロセス工程は、埋込ストラップ・エッチングとSTIのCMP(Chemical Mechanical Planarization)である。
図2 トレンチクラスタ(左)では、埋め込みストラップ・エッチング後の残渣が、トレンチウォールの周囲に付着する(A)か、またはトレンチ構造の底でブリッジのような構造になって現れる(B)。また孤立した状態で現れることもある(右)
 1つ目の問題は、埋込ストラップ・エッチング工程の後でほぼ充填されたトレンチにある、HAR構造の残渣が原因である。このような残渣は、トレンチウォールの周辺部に付着しているか、トレンチ構造の底でブリッジのような構造になって現れる(図2)。この残渣は、広い面積にわたって数多くのトレンチに影響を及ぼし、次のエッチング工程でプレビアレイヤ欠陥として容易に検出される。従ってこの埋込ストラップ・エッチングに対する新しい検査工程の目的は、的確なプロセス工程でこの欠陥を検出し、より迅速にフィードバックループすることであった。
 モニタリングが必要な2つ目の歩留りの問題は、STIボイドであった。STIモジュールの能動領域(AAアイル)の間に、複数の小さな酸化物のボイドが発生した(図3)。これらの欠陥は、設計基準が小型化するにつれてますます重要になっている。これらのボイドは後のプロセス工程で充填され、短絡やデバイスの信頼性低下を引き起こす原因となる。
図3 30nm〜70nmのSTIボイドは、一般に能動領域(AAアイル)の間で発生する。これらは通常、酸化物充填プロセスで発生し、CMPによって露出する
 両方の欠陥のサイズと性質から、歩留りの問題を解決するには、選択性の高いモニタリングおよび検査方法が必要であった。これらの欠陥は100nmサイズのノードよりもはるかに小さく、トポグラフィや材料のコントラストもはっきりしないが、暗視野検査システムの場合は散乱強度を高めるのに有効である。最適な検査方法は、高い解像度を特徴とし、インラインモニタリングができるほどスループットが高いのが理想的だ。提示した解決方法では、米KLA-Tencor 社の新型のパターン付ウェーハ検査システム「Puma 9000」を使用した。このシステムの機能で中核をなしているのは、新しい「Streak」撮像技術であり、これは照明パス上でのレーザー散乱技術と、散乱信号の高解像度撮影を組み合わせたものである。高解像度の暗視野撮影を用いれば、重要な感度とスループットとを両立させることができる。Infineonはこの検査コンセプトによって、HAR残渣とSTIボイドの効果的なモニタリング方法を確立し、プロセスの改善に対して組織的に取り組むことができた。
図4 残渣の影響を受けたトレンチを、クラスタサイズ別の分布で見ると、クラスタが大きいほど捕捉率が高くなることが分かる

埋込ストラップ後の残渣

 HAR構造残渣の検出には、主に2つの問題が生じた。残渣は、影響を受けた複数のトレンチと共にクラスタのように見え、細長い痕跡を形成する。1つ目の問題は、検出したクラスタの平均サイズがはっきりしないことであった。さらに、孤立したトレンチの残渣欠陥の捕捉率もはっきりしなかった。
 図4は、クラスタが大きいほど捕捉率が高くなり、しかも低い頻度ではあるが、孤立したトレンチも捕捉されることを示している。孤立したトレンチで発生した単独ブリッジの捕捉についてより詳細な調査を行ったが、これはS/N比を解析して行った。
図5 孤立したトレンチの残渣:検査パッチ(欠陥が丸で囲まれている)とそれに付随するS/N比(左)、ならびに関連するSEM画像(右)
 図5に示すのは、このクラスで見られる典型的な3つの欠陥である。この検査では、欠陥のあるパッチの画像を、隣接するダイの基準パッチと比較する。両方のパッチは、定期的に設備に保存することができる。これらのパッチは、後でインライン欠陥分類(iADC)を設定したり、SEMで欠陥の位置を特定したりする際に利用できるため、非常に有用である。これらの欠陥のS/N比は、2〜7の範囲であることが分かっている。それぞれの欠陥の検出パラメータ特性と、検出アルゴリズムに使用するしきい値パラメータとを比較した結果、これらの欠陥は、十分な余裕を考慮することによって、良好な捕捉率で検出することができることが分かった。
 2つ目の問題は、トレンチの対称軸に対して、レーザービームが入射する方向、および照明と集光の特殊な偏光機構に関するもので、これらは共に、痕跡を捕捉するために必要不可欠なものであった。レーザービームがトレンチの対称軸に対して垂直に入射する場合は、照明パスをS偏光し、検出パスに無偏光またはS偏光フィルタを入れることによって、これらの欠陥を検出できることが明らかになった。
 レーザービームが対称軸に対して並行に入射する場合は、照明パスで偏光を組み合わせ(180°シフト、P偏光)、検出パスはP偏光のみにすることよって欠陥を検出できる。偏光の組み合わせは他にもあるが、いずれもこの特殊な残渣欠陥を検出することができなかった。この特殊な残渣欠陥は、トレンチの中にあるため、光学的な方法やSEMでは評価しにくい。
図6 埋込ストラップ後のトレンチの残渣。影響を受けた痕跡が、図2および図4に示した痕跡に対して垂直になっている
 残渣の影響を受けたトレンチクラスタが細長く見えることを考えると(図4)、痕跡の方向そのものが検出に影響を及ぼす可能性もあるということが懸念された。しかしながら特定のプロセス状況下で、痕跡の方向がトレンチ構造の対称軸に対して垂直であれば、残渣の影響を受けたトレンチの痕跡を検出できるということが分かった(図6)。
 上述した詳細な調査を通じて、検査を十分に特性化および適応させ、問題を解決するためのプロセス活動を推進したりモニタリングしたりするためのツールとして役立てることができた。検査結果を迅速にフィードバックすることによって、意図的なプロセス変更の問題に取り組むこともできたが、残渣の問題は設備のエクスカージョンとして再浮上する可能性がある。このため検査の目的を、単なるHAR残渣モニタリングから、統合残渣エクスカージョン・モニタリングを用いたベースライン検査へと変更した。
図7 埋込ストラップ検査時の一般的な欠陥は、表面の微小パーティクル(A、B)、孤立トレンチ内の残渣(C、D)や複数のトレンチにまたがって影響している残渣(E、F)などである
図8 2種類のボイドが発生する。主に注目しているのは、AAアイルの間で斜めにあるボイドである。AAアイルのショートエッジにあるライナーボイドは、大きなクラスタ状に現れる
 このベースライン・モニタリング工程で捕捉した主な欠陥を図7に示す。これらの欠陥には、痕跡(図7のE、F)の原因となる表面の粒子やトレンチの中にある残渣(図7のC、D)や、表面に付着したりランダムに分布したりする残渣(図7のA、B)がある

STI酸化物ボイド

 感度に選択性があるスループットの高い検査は、STI酸化物ボイドを効果的に捕捉するための鍵である。この調査の主な焦点は、ウェーハ上のボイドエクスカージョンに対して、高速モニタリング検査を実施することであった。この検査工程では、その他の欠陥――ブリッジ、パーティクル、パターン欠陥およびスクラッチなど――も検出できるが、ボイドエクスカージョンが発生すると欠陥数が著しく増える傾向がある(図8)。このため、欠陥の総数をモニタリングすれば、ボイドエクスカージョンが発生した可能性があることを知らせる1つの簡単な方法になる。
 図9に示すとおり、すべての欠陥タイプは任意の検査倍率で検出できる。ボイド欠陥に対しては、調査したすべてのスループットおよび倍率モードで、該当する痕跡をすべて捕捉できるだけの十分な感度があった。さらに重要なのは、非常に低いニューサンス率(SEMで識別できない割合)でボイドを検出できたことである。
 すべてのピクセルサイズでボイドを十分に捕捉できたため、最大のピクセルサイズを用いても非常に費用効果的な検査を実現できる可能性がある。
 これらのsL10 Puma検査結果(約17wph)を、KLA-Tencor 2365明視野パターンウェーハ検査ツールの光感度標準と比較したところ、予想した通り、ピクセルサイズが0.12μm の2365による検査(約1wph)の方が、STIボイドの捕捉率がはるかに高かった。図10に示すのは1つのダイで比較した結果である。但し、評価した欠陥はすべてSTIボイドである。2365による検査では、より小さなボイドも見つかり、感度とスループットが両立しないことが明らかになった。
 ピクセルが大きいPuma検査はボイドの捕捉数が少ないが、明視野検査技術を適用した際に優勢なプレビアスレイヤノイズの影響を受けにくい。これは基本的に、Puma 9000のあらゆる倍率に対して当てはまる。図9に示すように、ニューサンス率はどの倍率でも同等であり、ボイドの捕捉率は、Pumaの高感度ピクセル(sL60)の方が、Pumaの大型ピクセル(sL10)よりも約2倍高い。より感度の高い明視野検査の場合は、設備や歩留り管理システムでフィルタリングを繰り返すことによってニューサンス率を下げなければ、図10に示す結果を得ることができない。
図9 Puma 9000はボイドを検出することができ、テストしたすべてのピクセルサイズでニューサンス率が低かった
 上述した調査はすべて、確立されたSTI最終検査工程で行った。しかしながら、実際のボイド形成工程と最終検査工程の間には、一部の材料を除去してボイドをデコレートする、いくつかのドーピング工程と洗浄工程がある。より厳重なプロセス管理を実現するため、STI酸化物ボイドが形成された直後にそれを捕捉することによって、ボイドをモニタリングできるかどうか評価した(図11)。これが実現すれば、フィードバックループを大幅に短縮できる可能性がある。検査結果からは、この段階でもボイドを十分に捕捉することができ、ボイドエクスカージョンを十分にフィードバックできることが分かった。

DRAM FEOLの課題を克服
図10 Puma 9000 sL10検査(右)と、2365 ピクセルサイズ0.12μmカバレッジ25%検査の全ダイ比較。Puma検査は、面倒なフィルタリングを追加しなくてもスループットがはるかに高く、ボイドに対する感度が十分にあり、また非常に限定されている

 100nm以下の設計基準を適用してディープトレンチDRAMを製造するには、新しいプロセスや設計コンセプトを導入しなければならない。プロセスや設計が新しくなれば、開発や立ち上げの段階で必ず歩留りの問題が生じることになる。しかも、特にFEOLの場合は、ダイ中の印刷パターンのサイズが、欠陥(例えばボイド、パーティクルなど)のサイズと同じになるため、酸化物充填ボイドのような既知の欠陥メカニズムがますます重要になる。この調査で我々は、感度に選択性がある新しい暗視野検査技術によって、先進的なDRAM製造で歩留りを抑制する2つの主なプロセスの問題に非常に効果的に対処し、これによって開発や立ち上げに要する期間を短縮できることを実証した。
図11 初期のプロセス工程で、ここに示すような小さなSTI酸化物ボイドがクラスタ状に発生する。これらは後に、いくつかのドーピング工程と洗浄工程を経てデコレートされるため、検出しやすくなる

謝辞

 この記事は、2005年International Symposium on Semiconductor Manufacturing(ISSM)、および第2回International Sematech Manufacturing Initiative(ISMI)Symposium on Manufacturing Effectivenessで発表された論文を基にしたものである。発行するに当たって、IEEEおよびSematechから承認を得た。
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Uwe Strellerは、Qimonda AG社 (旧Infineon Technologies社)のパターン付きウェーハ検査システムの専門家。1998年にDresden University of Technologyを卒業して電気工学の学位を取得した。Infineonに入社する前は、Institute of Polymer Research (Dresden)でバイオマテリアル/バイオテクノロジー分野に従事していた。
Carlos Mataは、DresdenにあるQimonda AG社(旧Infineon Technologies社)の欠陥密度グループ(300 mm Technology Center)の上級マネージャである。Infineonに入社する前は、スペインのMadridと米フロリダ州Orlandoにある、米Agere Systems社(旧Lucent Technologies社)で、ウェットプロセス技術者、およびインライン・テクノロジー主任技術者として勤務していた。
Martin Tuckermannは、KLA-Tencor社の、暗視野および明視野パターン付きウェーハ検査システムの地域製品マネージャである。ドイツのUniversity of Heidelbergで大気物理分野を卒業し、Technical University of Dresden で生物物理学/材料科学の博士号を取得し、2000年にKLA-Tencor社に応用技術者として入社した。
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参考文献
1. Y. Sugita et al.,“Wet-Cleaning Technology in Next-Generation LSI Manufacturing,” Semiconductor Manufacturing, March 2005, p. 34.