RSS

データ・ストレージ

Reed Business Informationグループ ウエブサイト



2006年11月号
厚膜レジスト用途向け
全面一括露光リソグラフィ・システムの性能を向上
Dr.Dietrich Toennies
Brigitte Wehrmann
独SUSS MicroTec Lithography社
www.suss.jp
 多層薄膜のウェーハレベルパッケージ(WLP)技術を利用することで、高性能な受動素子を容易に搭載することが可能となる。この技術は、特に高周波デバイスで搭載されるQ値の高い、いわゆるHigh-Q部品を搭載するのに役立つ。
* * * *
Advertisement
 全面一括露光システム・マスクアライナは、その特有のコスト優位性、柔軟性、生産の容易性から、広範なリソグラフィ・プロセスの極めて魅力的なソリューションとして注目されている。特に、全面一括露光リソグラフィは、レジストの膜厚やウェーハの段差が数μmを超え、数百μmにもおよぶ生産プロセスに極めて適していることが実証されている。この機能は、ウェーハレベルパッケージング(WLP)、MEMS、オプトエレクトロニクスの実現技術の核となるものだ。新しいマスクアライナの概念により、かつては等倍ステッパーが優位を占めていた領域においてコスト効率の良いマスクアライナが使用可能になった。この新世代マスクアライナで採用される技術は、大幅にスループットを向上し、1μmの解像度とサブμmのオーバーレイを達成するとともに、コストの厳しいアプリケーションにおいてリソグラフィのコストを66%(ステッパーとの比較)削減することができる。
 現時点では、全面プロキシミティ露光マスクアライナおよび等倍ステッパーが厚膜レジスト用途の主流を占める露光ツールとなっている。等倍ステッパーは、レティクルの1:1投影像をウェーハ上に投影し、これを複数のショットで露光するという投影システムだが、それに対してマスクアライナは、マスクとウェーハ間に20〜100μmの範囲の露光ギャップという隙間を設けるプロキシミティ露光システム。プロキシミティ露光を使用することにより、300mmウェーハでさえマスクとウェーハ間に一定のギャップを保ちつつ、1ショットでの露光が可能となりる。マスクアライナのマスクはウェーハより大きく、すべてのウェーハレイアウトをカバーする。標準的な露光照度の範囲は、20〜100mW/cm2(波長350〜450nm)。プロキシミティ・アライナは、大量生産用途での低コストのリソグラフィソリューションを提供する。マスクアライナと等倍ステッパーの長所と短所の比較については、既にいくつかのレポートで取り上げられている。1)〜3)それらの論争を要約すると、マスクアライナは保有コストと使いやすさに優れ、ステッパーは解像度とオーバーレイ精度に優位性を持つと言える。資本投資を最小限に抑えるためには、解像度とオーバーレイ精度、側壁形状が実際に必要かどうかなどのプロセス要件を明確に理解することが重要だ。ステッパーの解像度とオーバーレイ精度を必要としない限り、コスト効率に優れたリソグラフィ・システムを選択するべきとなる。
 MEMS、WLP、ウェーハバンピングなどの厚膜レジスト技術は、今後もデバイス製造における最もコストに敏感な要素であり続けるだろう。したがって、半導体メーカーやファウンドリでは、全面一括露光リソグラフィのテクノロジ向上によってもたらされるメリットを最大限に引き出すにはリソグラフィ・プロセス全体をどのように最適化する必要があるかを理解することが重要だ。これらの新規技術として、ダイレクト・アライメントによる1.サブμmアライメント、2.マスク保護テクノロジ(MPT)、3.高度なレジスト技術、4.温度制御式 露光チャックステージ(ThermAlign)などの選択肢がある。これらの先進技術を組み合わせることにより、Auバンピングなどのファインピッチ・アプリケーションで要求される歩留まり、オーバーレイ精度、スループット、高アスペクト比の厚膜レジストプロセスに関するマスクアライナ技術のパフォーマンスが拡大される。
図1 MPTコーティングをしたフォトマスクの使用したマスクと通常のフォトマスクの比較データ ※データは、米Dow Chemical社製のBCBでコーティングした200mmウェーハにプロキシミティ露光を行いました

歩留まり向上

 アライメントおよびUV露光ステップの全体を通じて高い歩留まりを維持するためには、マスクの汚染を最小限に抑えることが必要だ。歩留まり損失の一因は、Crパターン面に付着したパーティクルなどの異物によるマスクの汚染。米Motorola社で開発されたマスク保護テクノロジ(MPT)を、「プロキシミティ・モードを使用した標準的な厚膜レジスト」+「リソグラフィシーケンス」に適用することにより、マスク汚染および歩留まりの影響が大幅に抑制される(図1)。MPTの原理は、標準的なフォトマスクのパターン面上に施した薄い、撥水性の高いコーティングを応用したもの。レジストのスティッキング現象は、次々とウェーハ上に付着し、ウェーハの歩留まりに影響する可能性がありますが、この特殊処方のフッ素重合体層により、ウェーハの欠陥が大幅に減少し、マスクの汚染が抑制される。その結果、エンドユーザーのマスク洗浄サイクルの頻度が下がり、マスク利用時間が向上される。また、MPTでは、マスクとウェーハ間にコンタミなどが付着しにくくなるモノレイアーが形成され、その結果 レジストがマスクに付着する可能性が低減される。さらに、MPTはバキュームコンタクト露光などの微小ギャップの露光にも対応し、解像度とオーバーレイ精度の向上を実現する。特に、サブμm用のバキュームコンタクト露光にも適している。
図2 DirectAlignを備えた全面露光システムは0.5(3σ)のアライメント精度を達成
図3 SUSS MicroTecのマスクアライナ「MA200Compact」で達成したアライメント結果
(25サンプル、100μmアライメント・ギャップ、35μm露光ギャップ)

オーバーレイ精度

 ここ数年にわたり、ステッパーとアライナの比較に関する論題は、おおむね300mm装置の導入が中心だ。4)マスクアライナの新しいオプションである「DirectAlign」は、さまざまな用途への道を開き、Auバンピングにも対応する。Auバンピングは、はんだバンピングと比較して極めて細かいピッチが要求されるため、リソグラフィの観点から特に興味深いテーマだ。Auバンピングは、露光システムの解像度とオーバーレイの性能を要求する。最近まで、マスクアライナには、そのアライメント精度(1μm以下)および解像度の限界から、バンプ分離が10μm未満のウルトラ・ファインピッチのAuバンピングに対して制約があった。今回、高度なパターン認識ソフトウェアを利用し、0.5μmのアライメント精度を保証するアライナが発表された(図2図3)。
図4 変位補償:ウェーハチャックの温度制御の有無による100回露光時の変位
 アライメント精度の他にも、ウェーハオーバーレイ精度に対する最小マスクが先進の全面一括露光リソグラフィにおける重要な要点の1つだ。潜在的なオーバーレイ精度悪化の主な原因は、マスク温度の上昇による熱変位だ。熱変位は、ガラスマスクとウェーハ(Siなど)の間の熱膨張係数(CTE)の差に比例する。これらの熱変位効果は、ウェーハサイズが200mmや300mmに増加するほど顕著に表れる。厚膜レジスト生産ラインの高いコスト意識に基づき、石英・ガラスマスクに代えてソーダライム・ガラスマスクを使用するのが業界の標準になっている。CTEが9.310-6/℃のソーダライム・ガラスは、CTEが0.5*10-6/℃の石英ガラスよりも大幅に高い熱変位を示します(ちなみに SiウェーハのCTEは2.310-6/℃)。フォトマスクとウェーハ間の潜在的な熱変位を補償するために、温度制御システムが実装され、評価が行われた。この温度制御システム(ThermAlign)により、プロセス全体を通じてウェーハチャック上の温度が一定に維持される。そして、全面一括露光プロキシミティ・システムではウェーハとフォトマスクのプロキシミティが近接しているため、マスク温度も一定に保たれる(図4)。
図5 Suss Microtechの新しいアライメントシーケンス「DirectAlign」を備えることにより、マスクアライナは、最も要求の厳しいウルトラ・ファインピッチのAuバンピングの制約を克服した。上記のSEM画像は、化学増幅型のポジティブ型レジストであるPMER P-CA1000PM(東京応化製)のレジスト膜厚20μmでのAuバンピング・モールドの図で、レジストは、マスクとウェーハ間のプロキシミティ・キャップが50μmの条件で、広帯域UV光により露光したもの。Auバンピングのロードマップで要求される90°の側壁と5μmのバンプ分離を容易に達成し、大幅なプロセスの余裕がある
(提供:東京応化工業)
MA2000 Compact
(提供:独Suss Microtech社)

先進のレジスト・プロセス

 厚膜レジスト・プロセスにおける最も重要な要素には、新しいレジスト材料が挙げられる。これまでは、厚膜レジスト用途には主にポジティブ型レジストが使用されていた。このタイプのレジストの場合、90°近い急勾配の側壁はg線露光でしか対応できないのが普通だが、現在では100μmまでやそれ以上の非常に厚いレジスト膜に対してネガティブ型のレジストが使用される傾向にある。これらのレジストは広帯域UVで露光可能なため、露光装置のスループット向上が可能になる。ただし、ポジティブ型材料の場合と比較して、ネガティブ型レジストは、通常、レジスト剥離が難しいという欠点があった。
 レジストメーカーでは、ますます要求が厳しくなる市場の要求に対し、化学増幅型のポジティブ型レジストを導入し、厚膜レジストのより垂直に近い側壁形成の要求にも対応できるようになった。例えば、東京応化工業の「PMER P-CA1000PM」は、Auバンピング専用に設計されたもの。図5 は、20μmの膜厚のPMER P-CA1000PM内に露光しためっきモールドを示す。Suss Microtechの量産用マスクアライナを使用し、マスクとウェーハ間のプロキシミティ・キャップが50μmの条件で、レジストを広帯域光により露光したものだ。Auバンピングのロードマップで要求される90°の側壁と5μmのバンプ分離を容易に達成し、大幅なプロセスの余裕がある。このポジティブ型フォトレジスト、広帯域露光、および50μm露光ギャップの組み合わせは、目覚ましい結果を示し、高コスト効率のウルトラ・ファインピッチ・Auバンピングのプロセスに新たなプロセス選択を提供できる。めっきの均一性は、300mmウェーハでも検討済みで、最も要求の厳しいAuバンピング・アプリケーションを容易に満たすことが証明されている。5)
* * * *
ズース・マイクロテック株式会社 SUSS MicroTec
TEL.045-931-5600
http://www.suss.jp E-mail:Info@suss.jp
* * * *
参考文献
1. R. Melzer, M. Wimplinger, A. Malzer, C. Brubaker, “Lithography for Wafer- Level-Packaging”, Chip Scale Review, July 2004, Vol. 8, pp 45-51
2. D. Tönies, “Mask Aligner for IC Packaging Applications”, Chip Scale Review, July 2004, Vol. 8, pp 53-57
3. M. Ranjan, S. Zafiropoulo, S. Kay, “Using Steppers for Wafer-Level-Packaging”
4. D. Mis, “300mm Integration of an Electroplated Solder Bumping Process”, Flip Chip Bumping and Wafer Level Packaging Supplement to Semiconductor International, April 2004, pp 3-5.
5. K. Saito, E. Cullmann, “Novel High Aspect Ratio Positive Photoresist Demonstrated on 300mm Gold Bump Wafers”, Suss Report, 3rd Quarter 2004, pp 11-12.